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日本の若い世代に「慰安婦」問題を伝えるための基金が発足

2017年6月29日5:01PM

日韓「合意」以降、「慰安婦」問題に対する日韓の市民意識のギャップは広がり続けている。「合意」への抗議運動の韓国の若い世代の爆発的な広がりに比べ、日本の若者をとりまく環境は、学校教育、メディアで「慰安婦」問題はタブー視され、被害者の名誉を傷つける言説がネットを中心に繰り返されている。こうした状況を変えるため、日本の若者に学ぶ場を提供しようと、長年「慰安婦」問題解決に取り組んできた活動家、研究者、性暴力問題に取り組む弁護士らが一般社団法人「希望のたね基金」(愛称:キボタネ)を発足した。

6月9日に開かれた記者会見で代表理事の梁澄子さんは、「日本の若者が『慰安婦』問題を学び、日韓の若者交流をとおして記憶を継承していくことが性暴力のない未来への一助になれば」とその目的を語った。

理事の太田啓子さん(弁護士)は、性暴力事件に取り組んできた経験から、性暴力被害者に対する誹謗中傷が出るメンタリティは、「慰安婦」問題への反応と地続きであり、若い世代とともにその暴力性と闘いたいと述べた。

希望のたね基金は、韓国の財団法人「日本軍性奴隷制度問題解決のための正義記憶財団」と連携して活動していく。同財団は「合意」後、500余の市民団体と市民が10億ウォン(約1億円)を集め昨年6月に発足した。韓国内被害者の福祉および人権活動支援、アジアの被害者支援、真相究明と追悼事業、若者への記憶の継承と教育などを始めている。

同財団常任理事の尹美香さんが来日し、10日の記念集会では、26年にわたるサバイバーと支援者たちの闘いの歴史を当事者の肉声をまじえて紹介。「『合意』はむしろ大きな希望へ向かう礎となった」と言い切った。韓国の市民社会は変化し、社会の共通の課題として認識するようになり、何より若い世代を動かしたというのだ。

この日、福岡から参加したという20代の男性は、韓国で「慰安婦」問題に取り組む若者との交流からもっと知りたいと思い、ネットで知って駆けつけたと言う。

同基金では、講師派遣、スタディツアー、留学支援、若者による企画への助成などを行なっていく。そのための募金集めがスタートした。
URL www.kibotane.org

(岡本有佳・編集者、6月16日号)

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