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獄死した「狼グループ」元メンバー、大道寺将司氏がのこした表現

5月24日に東京拘置所で亡くなった、「東アジア反日武装戦線」狼グループ元メンバーの大道寺将司氏(享年68)は、7年前から多発性骨髄腫を病んでいた。身体的な痛みに全身を苛まれる中で彼が遺した句作を通して、42年間にわたって獄中で抱えていたその思いを顧みる。

迫りくる自らの「死」と向き合いながら(「棺一基四顧茫々と霞みけり」)、同時に、さまざまな「死」とも向き合っていたと思う。74年8月、彼らが企図した「侵略企業」三菱重工ビル爆破は、意図せぬ多数の死者と負傷者を生んだ。悔いて余りあるその時の死者の苦しみや口惜しさを実感する日々であった(「いなびかりせんなき悔いのまた溢る」)。この期間はまた、東北大地震を筆頭に自然災害で命を喪う人が多かった(「数知らぬ人呑み込みし春の海」)。さらに、国家が発動する新たな形の戦争=反テロ戦争や、それに抗するテロリズムによる「死」も驚くべき数で累積されつつある日々でもある(「雲厚く戦機いやます春来る」)。

最終句集のあとがきに、彼は書いた。

「死刑囚である私が作句を喚起されるものと言えば加害の記憶と悔悟であり、震災、原発、そして、きな臭い状況などについて、ということになるでしょうか」。

肉体と精神の極限的な苦しみの中から生まれた、その深みのある表現に耳を傾けたい。

(太田昌国・評論家、6月2日号)