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都内で「共謀罪を考える」シンポ “政府は考える国民が育つのを恐れている”

2017年6月9日12:14PM

5月16日夜、立憲デモクラシーの会主催のシンポジウム「『共謀罪』を考える」が東京都文京区で行なわれ、約250人が会場に駆け付けた。

高山佳奈子京都大学教授(刑事法学)は、政府が国連国際組織犯罪防止条約の締結には共謀罪法案(組織犯罪処罰法改正案)の法制化が不可欠と主張することに対し、「現行法の下でも十分に対応可能だ」と語った。

また「テロ対策のため」とする安倍内閣の説明に対し、「日本はテロ対策の主要国際条約13本をすべて国内立法化しているし、国連安保理決議などによるテロ対策の国内法化もすでに終わっている」「2014年に大改正されたテロ資金提供処罰法によって、未遂犯や幇助犯までカバーしている」とし、「共謀罪のような新たな立法は必要ない」と語った。

梅森直之早稲田大学教授(日本政治思想史)は、1925年に制定された治安維持法の運用の実態を語った。同法の本来の目的は「共産主義者や無政府主義者を取り締まる」ことであり、当初は「一般の人には何の危険も及びません」とされたが、そのうち「取り締まられた人が共産主義者や無政府主義者だ」といった転倒した“理屈”に変わっていったという。

梅森氏は、「人は『テロ対策』など口当たりのいいスローガンに接すると、それを受け入れてしまいがちだ」と警鐘を鳴らした。

長谷部恭男同大教授(憲法学)は共謀罪法案について、「法の基本原則を動かそうとしている。国民に『自分でものを考えるな』ということだ。(安倍政治は)自律的市民が育ってくるのが怖くて仕方がないのだろう」と語った。

司会を務めた山口二郎法政大学教授(政治学)は最後に、「私たちにとって、政府の言っていることは本当なのか自分で調べる、ステレオタイプを自ら壊す、ということが重要な時代だ」と語った。

(星徹・ルポライター、5月26日号)

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