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人骨収集は「アイヌのため」とうそぶく学者にアイヌ被害者が苦言

アイヌ遺骨を所蔵する札幌医科大学を訪れた木村二三夫エカシ(左から2人目)ら。(撮影/平田剛士)

「大学関係者、人類学、考古学の連中は、もっと深く歴史を勉強してもらいたい」

北海道平取町在住の木村二三夫エカシ(アイヌ語で年長男性の尊称)は5月16日午後、北海道公立大学法人札幌医科大学を訪問した後に開いた記者会見でこう語った。これは研究者に対する研究「被害」者からのレッドカードだ。

全国の大学・博物館などに大量のアイヌ遺骨が長らく留め置かれたままになっている。2012年以降、各地アイヌの提訴が相次ぎ、昨年から少しずつ地域返還が実現し始めたばかりだ。

平取も被害地。木村エカシは、副会長を務める平取アイヌ協会を通じて、遺骨を地元に戻すよう各大学に働きかけている。相手のひとつが札幌医科大学で、保管する全294人分の中には平取町内から移送された10体が含まれる。

そのさなか、国立科学博物館(東京)などの研究チームが、同大学が保管するうち約100体を利用して、骨(歯)の部分的破壊をともなう遺伝子抽出を行なっていたことが明らかになり、木村エカシはこの日、同様に地元への遺骨返還を進める「コタンの会」などとともに、経緯の説明を求めて所蔵管理担当者らと面談した。

非公開の会合には、同大学OBで、約40年にわたって収集アイヌ人骨を研究利用してきた百々幸雄・東北大学名誉教授(日本人類学会元会長)も同席。じかに痛みを訴えにきた目の前のアイヌたちに対し、百々氏は「人類学者はアイヌのためにこの研究をしている」「われわれの研究がアイヌの先住性を証明する」と自己正当化に終始したという。

明治─昭和期の人類学者・解剖学者たちも「アイヌのため」とうそぶいてアイヌ墓地を掘りまくった。盗掘容疑のケースもある。

性懲りなくそれを踏襲し続ける研究者は即刻退場せよ、と木村エカシは言っているのだ。

(平田剛士・フリーランス記者、5月26日号)