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「ブラックリスト」登録が1万7279件に激増――給付型奨学金早期に創設を

2016年6月3日2:48PM

集会には250人以上が参加した。東京都千代田区、衆議院第一議員会館。(撮影/林克明)

集会には250人以上が参加した。東京都千代田区、衆議院第一議員会館。(撮影/林克明)

5月10日、奨学金制度を考える院内集会が、奨学金問題対策全国会議と労働者福祉中央協議会の主催で行なわれた。高額の学費と奨学金返済に苦しむ人が激増している中、5党から出席した全議員が、規模や導入時期などの違いはあるが、返済不要の給付型奨学金制度の創設を訴えたのが注目される。 参加した国会議員は、長妻昭(民進)、新妻秀規(公明)、田村智子(共産)、吉川元(社民)、玉城デニー(生活)の5人。自民党議員は出席しなかった。

現在、34歳以下では学生時代に約53%が奨学金を利用し、多くを日本学生支援機構に頼っている。借金(奨学金借入額)の平均は312万9000円。500万円以上の人が11%以上もいる。支払いの延滞が3カ月経過して「ブラックリスト」へ登録されたのは、2010年度の4469件から14年度には1万7279件に激増する借金地獄だ。返還期限の猶予なども導入されたが、岩重佳治弁護士によると「法的手続きをとったり時効を主張した人は猶予が使えないなど、すべて日本学生支援機構の裁量」と、救済制度は機構の胸三寸で運用されている。

有識者会議は17年度から所得連動返還型奨学金制度を検討している。「この制度では、収入ゼロでも月2000円の返済を求めている。(借金があることを)忘れさせないために支払わせるなど、考え方が根本的に歪んでいる」と玉城デニー議員は批判した。

そもそも日本の教育費の対GDP比率はOECD加盟国中最低で、「OECD並みにするには約5兆円の予算増額が必要」(長妻昭議員)だが、財源の確保は可能である。「毎年1100億円の予算により10年で授業料を半額(国立27万円、私立43万円)にすべき。安倍政権では公共事業費が5兆円台から7・9兆円台に拡大。その気になれば1兆円の予算拡大などすぐにできる」(田村智子議員)という。

(林克明・ジャーナリスト、5月20日号)

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