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北海道5区補選、市民の力で野党共闘、国政で初対決――共産党公認取り下げで実現

3月5日、北海道札幌市の市民集会で挨拶する池田真紀氏。(撮影/木村嘉代子)

3月5日、北海道札幌市の市民集会で挨拶する池田真紀氏。(撮影/木村嘉代子)

衆院北海道5区補欠選挙(4月24日投開票)は、安保関連法の強行採決後はじめての国政選挙であり、「反安倍」を掲げる市民と野党が共闘して臨む初対決となる。

北海道札幌市厚別区で3月5日、野党統一候補として無所属で出馬する池田真紀氏(43歳)の市民集会が開かれ、約400人が詰めかけた。2月中旬に共産党と民主党の共闘が成立した後、一堂に会するのははじめて。民主、共産、維新、社民、市民ネット北海道、生活、グリーン北海道、アイヌ民族、新社会の9政党、道労連と連合、50以上の市民団体が集った。

池田氏は声援に応え、「この国の平和、憲法を守るのが私たちの闘い。北海道5区から、日本に希望を作っていこう」と訴えた。共産党公認の立候補を取り下げた橋本美香氏(45歳)も壇上であいさつし、「全面的に池田さんを応援する」とエールを送った。

会場は熱気にあふれ、歴史的な野党共闘を印象づけたが、そこに至るまでの道のりは困難を極めた。

共闘を調整してきた川原茂雄氏(「市民の風・北海道」共同代表)は、「多くの団体や個人が自主的に各政党に働きかけてきた。政党に任せるのではなく、市民が動いて、共闘が実現した」と言う。

統一候補勝利に向けた取り組みが具体化したのは、昨年の秋ごろ。「市民自治を創る会」(札幌)の山口たか代表らが中心になり、戦争法反対のデモなどに参加するメンバーが結束。上田文雄前札幌市長も加わり、11月10日に「戦争させない北海道をつくる市民の会」(以下、市民の会)を発足した。

しかし、共産党はすでに候補予定者を公認していたため、候補者の一本化に時間がかかった。民主党北海道の候補者選定も遅れ、「市民の会」が先がけて池田氏に出馬を要請。池田氏の受諾後、12月22日に民主党が推薦を決定した。年明け早々には、新党大地が自民党公認候補者の支援を表明し、統一候補の話し合いは膠着。

政党の動きの鈍さに業を煮やした「市民の会」は2月初旬、民主と共産の地元支部に話し合いを求めた。判断は道内レベルの政党間に委ねられ、民主党北海道と共産党道委員会が協議をはじめた。

最終的に、共産党が公認候補者の取り下げ、19日、池田氏、民主党北海道と共産党道委員会、「市民の会」が「戦争法の廃止と立憲主義の回復をめざす」「所属会派の状況にかかわらず、その姿勢を最後まで貫く」との協定を結んだ。

【与党候補は大地も推薦】

投開票まで1カ月半。池田氏陣営は、戦争法以外の政策の違い、無党派層・無関心層の掘り起こしなどの課題を克服していく必要がある。各組織・団体は、情報を共有しつつ、独自の選挙活動で支持集めを繰り広げる方針だ。自民党公認で公明党、新党大地などが推薦する和田義明氏(44歳)は、故町村信孝前衆院議員の二女の夫。厳しい闘いになるのは必至だ。

2014年の衆院選では、投票率58・43%。民主・共産両候補者の合計得票数は町村氏の13万票強より4896票下回った。「投票率60%、得票数14万票を目標に設定する。自衛隊のある恵庭市と千歳市は最重要地域。ここで拮抗した闘いができるかが勝敗の分かれ目」と選挙対策委員会の藤盛敏弘事務局長は説明。安保関連法に反対する自衛隊や自衛隊の家族に寄り添う戦略を展開していくという。

池田氏は、幼少から複雑な家庭のなかで怯えて暮らし、高校を中退して、シングルで2児を育てた。福祉の仕事に20年たずさわり、社会福祉士、介護福祉士など6種の資格を取得。大検にも合格し、北海道大学公共政策大学院を修了している。生きづらさを経験した当事者として、「だれ一人、置いてきぼりにしない政治」を目指す。

一方の和田氏は、大学卒業後、商社マンになったエリートで、若手経済人の支持拡大を狙う。

対照的な40代新人候補の一騎打ち。「この共闘モデルが成功すれば、参議院選にも弾みがつく、絶対負けられない」。市民と野党は、前例のない共闘体制で新風を巻き起こそうと意気込んでいる。

(木村嘉代子・フリーライター、3月11日号)