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政治的意図丸出しの北海道朝鮮学校への強制捜査――マスコミ動員し差別を助長

2015年10月27日11:44AM

北海道札幌市内で10月8日、北海道朝鮮初中高級学校(以下、北海道朝鮮学校)への強制捜査は不当とする緊急集会(主催:北海道朝鮮学校を支える会)が開催された。

北海道警察が学校を強制捜査したのは9月6日。在日本朝鮮人総聯合会北海道本部と関連のある企業が1~2年前に従業員を雇用したと偽り、厚生労働省の雇用対策の助成金を不正受給したとの疑いが持たれ、従業員名のなかに北海道朝鮮学校の教員の名があったことから、学校に捜査が入った。

同日、朝鮮総聯同本部など約20団体が入る「ウリトンポ会館」も強制捜査されている。

その後の調査で、教員が同意の上で従業員として名前を貸したと判明。ただ、雇用実態はなかったという。道警は10月6日、教員ら4人を詐欺容疑で逮捕した。

集会では、家宅捜索の当日に学校側が撮影したビデオが公開された。朝7時ごろ学校の正門前には、新聞、テレビ、通信社らマスコミが乗りつけたタクシー7~8台が待機。8時に捜査員が令状を呈示して校舎内に立ち入ろうとするが、申京和校長や教職員らが、子どもへの影響を訴え、説得を試みる。捜査に応じなかったため、8時20分ごろ突如、立会人として消防署員を連れてきて、捜査員は強硬に校内に押し入った。捜査は18時ごろまでつづいた。

申校長は、「“朝鮮”とつくものはすべて、悪質というイメージを社会に植えつけるのが一番の目的で、政治的意図があからさまだ。こうして仮想敵国を作り、戦争法案もあっという間に採択された。私たち朝鮮学校の子どもたちは、戦争ができる国をつくり上げるための、かっこうのスケープゴートになっている」と憤る。

【イベント日を狙い撃ちか】

この日は日曜日だったが、朝からサッカー部や吹奏楽部などの練習が予定されていた。正門前でマスコミがカメラを構え、教員と捜査員が議論している様子を目にした子どもたちは、動揺を隠せなかったという。

ヘイト・スピーチが過激さを増すなか、事態を聞いて保護者もすぐに駆けつけ、抗議した。

「北海道朝鮮学校を支える会」で活動する教職員らは、「札幌の学校の教員が不祥事を起こしても、学校が特定できるような報道はしない」と、朝鮮学校だけを差別的に扱うマスコミを批判した。

学校のグラウンドでは、1週間前に、朝鮮文化を紹介する「アンニョイフェスタ」が行なわれたばかり。10年目になるこのイベントには、朝鮮の伝統料理をはじめ30種の屋台が並び、今年も2500人の日本人が訪れた。

「計画的に家宅捜索の日を選んだとしか思えない。朝鮮学校と地域との交流を壊したいのだろう」と申校長は言う。

日曜の朝から捜査員やマスコミが学校に押し寄せた騒動で、周辺住民にも不安が広がった。

石田明義弁護士は、「朝鮮総聯が転居したウリトンポ会館は、昨年の11月に竣工した。権力側はその内部状況を把握したかったのだろう。詐欺容疑が浮上し、ここぞとばかりに情報収集したといえる」と述べた。

学校の教務室から押収したリストのなかにも、事件とは直接関係のない「理科教材の購入品についての資料」「年間進路表」「春の遠足要綱」などが含まれていた。

学校の運営管理を担当する事務室では、女性職員ひとりが、15人もの男性捜査員に囲まれ、金庫や引き出しの中身を説明させられるなどの取り調べを受けた。質問はプライベートな内容にまでおよび、まるで犯罪者扱いだったという。

「給与明細なども押収し、学校がどう運営されているのか、その情報を集めているのが見て取れた」。

捜査員からは、「教育援助費(平壌からの補助金)の項目はどこか?」といった質問も出たそうだ。

「戦後70年経っても、私たち朝鮮学校は徹底的に差別されつづけている。しかし、未来を作っていく子どもたちのためにがんばっていきたい」と申校長は訴えた。

(木村嘉代子・フリーライター、10月16日号)

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