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スーパーグローバル校が泣く芝浦工大の外国人講師雇い止め――目的は労働組合排除か

雇い止めされた7人を含む全国一般東京ゼネラルユニオン芝浦工業大学教職員組合のメンバーら。(提供/同組合)

雇い止めされた7人を含む全国一般東京ゼネラルユニオン芝浦工業大学教職員組合のメンバーら。(提供/同組合)

村上雅人学長みずから「スーパーグローバル大学に認定されたことを誇りに思ってほしい」とPRしている芝浦工業大学(東京都)が、2015年度より外国人講師7人を雇い止めしている。大学側は「カリキュラム変更のため」と説明しているが、7人を支援する弁護士は「講師らは2013年に労働組合を結成し、活動していた。雇い止めの目的は組合の排除ではないか」と指摘している。組合は全国一般東京ゼネラルユニオン芝浦工業大学教職員組合(執行委員長アンソニー・ドーラン)。

7人は米国やオーストラリアから来日して働いている人々で、小中学校に子どもを通わせる親や、来年大学生になる子をもつシングルマザーもいる。複数の大学で講師をかけもちしているケースもあるが、いずれも雇用形態は非常勤で、芝浦工大でも1年の有期雇用契約。「生活はつねに不安定」と、講師のひとりは話す。

彼らが受け持っていた講義は、時事問題や各々の講師が関心を持つ話題を英語で教える「内容重視型授業」と呼ばれるもので、芝浦工大では02年から導入していた。7人はいずれも同授業を担当することを前提に採用されていたが、大学は昨年4月、「翌年から外国語のカリキュラムがなくなる」などと通告。7人は今年3月31日付で雇い止めされた。

【ストライキ権も認めず】

7人のうち5人は13年に組合加盟通告を行ない、大学側に授業コマ数の上限を外すことなどを求めてきた。大学側が内容重視型の授業を廃止すると伝えてきたのはユニオンメンバーが2人増え、7人になった矢先のこと。7人はその後、無期雇用を求めて何度もストライキを打っていた。

今年4月に8人目の組合員となったフランス語講師のレット・フランソワ・グザビエ氏は、4月20日の授業4コマで、自身の無期雇用と7人の復職を求めてさらにスト権を行使。これに対し大学側は、履修生全員に次のメッセージを送った。

〈ストライキにより授業が休講となり法令上定められている授業時間(授業回数)が確保できない場合、この授業を履修している学生の成績をつけることはできません。結果、当該科目の単位を修得できないことも予想されます〉

さらに1週間後の4月28日には〈1回でもストライキにより講義ができなかった場合には、大学は単位を出すことができません(中略)それに対して補講・代講はありません〉と追加のメッセージを送っている。

メッセージは常務理事兼事務局長の早乙女徹氏によって作成されていた。これによってレット氏の受講生は激減。レット氏は後日、ストによって休講となった講義の補講を届け出たが、大学は理由を明らかにせぬまま不受理とした。弁護士は「ストライキは憲法で定められた権利。大学の行為は労働組合活動に対する違法な妨害行為だ」と批判している。

東京都労働委員会は5月18日、7人の雇用契約の更新拒絶や組合へのスト介入などについて、不当労働行為であることを認定した。

本誌が芝浦工大に対応を問うと、「係争中の案件のため、取材には対応できない」と返ってきた。

【10年間に補助金約17億円】

村上学長が誇る「スーパーグローバル大学」とは、文部科学省が大学の国際競争力を高めようと特別な財政支援をしている大学のことで、2014年9月に国公私立大学計37校が選ばれた。審査では、教員の外国人比率の向上策、外国語による授業を増やす構想などが点数化され、総合評価される。芝浦工大は認定されたことで年間1億7000万円、2023年までの10年間に約17億円の補助金を受け取ることになっている。

村上学長は認定されたことをホームページ上のビデオメッセージで「みんなは、そのことを誇りに思ってほしい」と話しているが、スーパーグローバル大学の方向性に逆行するような大学の姿勢を、学生は誇りに思えるだろうか。

(野中大樹・編集部、7月31日号)