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道内各地コタンのアイヌ、救済を申し立て――「アイヌ遺骨再集約は人権侵害」

「人権救済」を日弁連に申し立てた葛野次雄さん(中央)ら。(撮影/平田剛士)

「人権救済」を日弁連に申し立てた葛野次雄さん(中央)ら。(撮影/平田剛士)

北海道大学など全国12大学が長年にわたり「研究資料」として保管する大量のアイヌ人骨を、2020年までに国立施設に再集約する計画を閣議決定した政府に対し、道内在住のアイヌ13人と和人支援者ら8人は1月30日、「再集約はアイヌの人権を侵害する」として、日本弁護士連合会人権擁護委員会に人権救済を申し立てた。

各大学が保管する遺骨(推定2000体)の大半は、明治期から昭和前期にかけて和人の医学・人類学者らが各地のアイヌ墓地を発掘するなどして収集。頭骨計測研究などのブームが去った後も長らく放置された。政府は昨年6月、「コタンに返還することが望ましい」と前置きしながら、北海道白老町に新設予定の「慰霊施設」にその大半を再集約すると決めた(本誌1月30日号に関連記事)。

30日に申し立てたのは、すでに北海道大学を相手取って地元コタン(集落)への遺骨返還請求訴訟を起こしている小川隆吉さん(札幌市)、城野口ユリさん(浦河町)、畠山敏さん(紋別市)、差間正樹さん(浦幌町)らで、申立書には、再集約が〈アイヌの宗教上の行為の侵害〉にあたり、信教の自由を保障した憲法に違反する旨が記されている。日弁連が事実関係を調査して人権侵害が認められれば、政府に対して警告を出す見通しだ。

同日夜に都内で開かれた「出前講座アイヌの遺骨はアイヌのもとへ」(本誌協賛)では、申し立て人たちの訴えに、約100人の参加者が耳を傾けた。病のため欠席した城野口さんの実弟である山崎良雄さんは、「(先祖の遺骨が返還されずに)悔しくてたまりません」と声を詰まらせ、静内アイヌの葛野次雄さん(新ひだか町)は、静かな口調でカムイノミ(神々への祈りの儀式)の際の祈りの言葉を唱えた。

参加者の一人は「大学や政府はアイヌに謝罪して遺骨を返還する努力をすべきだ」と話した。

(平田剛士・フリーランス記者、2月6日号)