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新基地建設にむけて政府、辺野古での作業再開を強行――「辺野古移設が解決策」の愚

「辺野古新基地建設断念」要請のため来京した県議団を招いての米軍基地問題懇談会=1月16日。(撮影/野中大樹)

「辺野古新基地建設断念」要請のため来京した県議団を招いての米軍基地問題懇談会=1月16日。(撮影/野中大樹)

「昨日からワジワジィ(イライラ)している。毎日ワジワジィしてる」

沖縄県名護市の辺野古で新基地建設に向けた海上作業が再開された翌1月16日、東京の議員会館で行なわれた沖縄等米軍基地問題議員懇談会(会長:近藤昭一民主党衆議院議員)の席で開始そうそう、照屋寛徳衆院議員(社民)は怒りをあらわにした。

「ワジワジィ」するのは、政治権力が工事を強権的に再開したからというだけではない。

米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古への移設問題で、昨年1月の名護市長選挙、11月の沖縄県知事選、12月の衆院選などいずれも“辺野古移設NO!”の民意が示された。それにもかかわらず、安倍晋三政権が“沖縄の民意”にいっこうに向き合おうとしないからだ。

「安倍政権はウチナーンチュ(沖縄人)を日本国民とは思っていない。これはもうはっきりしている」(照屋議員)

【あからさまな“沖縄冷遇”】

12月24日から就任あいさつのために上京していた翁長雄志県知事に対し、安倍首相、菅偉義官房長官らは「日程調整がつかない」といった理由で面会を拒否した。翁長知事は山口俊一沖縄・北方担当相とのみ面会し、岸田文雄外相、中谷元防衛相らとは会うことができないまま帰沖した。

“沖縄冷遇”は自民党も同じだ。党は1月8日、2015年度沖縄振興予算に関する聞き取り調査のため、沖縄振興調査会(会長:猪口邦子参院議員)を開催した。しかし党は、ここに翁長知事の出席を認めなかった。例年であれば知事や副知事、県執行部らが出席してきた会合である。

翁長知事はその前日、サトウキビ交付金関係の要請のため、西川公也農水相との面会を求めていた。だが西川大臣が会ったのは、JAおきなわの関係者と西銘恒三郎衆院議員(自民)らのみで、東京事務所で待機していた翁長知事に連絡はなかった。

そして14日、概算要求から約454億円マイナスの15年度沖縄振興予算3340億円が閣議決定された。翁長知事は「たいへん厳しい財政事情の中で、所要額を確保していただいた」と語っているが、昨年度は概算要求を52億円上回る「満額回答」(仲井眞弘多前知事)であり、「いい正月が迎えられる」(同)ほどの厚遇ぶりだった。政府が出していた辺野古の埋め立て申請を仲井眞前知事が承認したのは、この発言の2日後、12月27日のことだ。

【県議団は政府へ要請行動】

辺野古移設を「あらゆる手段で阻止する」とする翁長知事が政府・自民党から冷遇される中、政府への要請行動を起こしたのが与党県議団だ。

新垣清涼(県民ネット)、仲宗根悟(社民・護憲ネット)、吉田勝廣(公明党・県民会議無所属)、比嘉京子(社会大衆)、比嘉瑞己(うまんちゅの会)各県議を中心とする議員団12人は1月15、16日の両日、辺野古新基地建設断念を求める県議会の意見書を政府・国会議員に伝えるべく、東京に飛んだ。

米国大使館ではジェニファー・ハーハイ政治部次席に、防衛省では中島明彦地方協力局長に、外務省では鈴木秀生北米局参事官に、内閣府では池田正政策統括官付参事官に、それぞれ、普天間飛行場の辺野古移設について、県民がこのかんの選挙で「ノー」を示してきた旨を伝えた。それでも防衛省や外務省からの返答は、「辺野古移設が唯一の解決策」という決まり文句に終始した、という。

【県は承認の経緯も検証】

16日の議員懇談会で比嘉京子議員は、「外務省は安全保障のために“辺野古移設が必要”とおっしゃった。日本国の安全保障のために沖縄の人間の安全が損なわれてもいいのかと問うと、“沖縄の安全も守っている”という認識でした。思考停止に陥っている」と述べた。

共産党の渡久地修県議は、「沖縄は基地があるから政府からたくさんのお金をもらっているんだという意図的な宣伝が、基地推進勢力から流されている」と指摘。人口一人あたりの国庫支出金・地方交付税交付金の額は、沖縄は全国で6位(13年度)。突出して高いわけでも優遇されているわけでもない。「基地があるから沖縄は潤っているという宣伝を打ち破り、基地をなくしてこそ沖縄は発展するのだという認識を全国民が共有できるよう皆さんのお力をお貸しいただきたい」と、出席した国会議員らを前に訴えた。

県議らは、翁長知事が23日にも発足させる検証チームにも期待を寄せる。前知事による埋め立て承認の経緯を検証する「第三者委員会」だ。現在、桜井国俊沖縄大学名誉教授らの名が挙がっている。チーム発足後は、埋め立て承認の過程を検証し、撤回もしくは取り消しを念頭に作業を開始する予定だ。

(野中大樹・編集部、1月23日号)