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防衛省が次年度予算で過去最大の5兆円超を要求――「財政法」超越する新法も検討

2014年9月16日11:30AM

8月24日に東富士演習場で実施された陸上自衛隊の総合火力演習には多くの市民が足を運び、歓声をあげた。当日だけで約3億5000万円にのぼる防衛予算が消化されている。(撮影/池田哲平)

8月24日に東富士演習場で実施された陸上自衛隊の総合火力演習には多くの市民が足を運び、歓声をあげた。当日だけで約3億5000万円にのぼる防衛予算が消化されている。(撮影/池田哲平)

防衛省の2015年度予算の概算要求額が過去最大となる5兆545億円に上った。垂直離着陸輸送機オスプレイやF-35戦闘機の購入費などが計上され、防衛装備品の強化が急速に進む見通しだ。一方、次年度以降に国が支出する予定の「後年度負担」額は、14年度当初予算比で32・4%増の2兆5766億円にまで膨れあがっている。民主党政権時代に抑制傾向が続いていた防衛予算が、安倍政権下で一気に上昇に転じていることを裏付けた形だ。

今回の防衛省概算要求の最大の特徴は、長期契約の促進を図るため、新たな立法措置の検討を盛り込んだことだ。財政法上、国庫債務負担行為は最長5年の範囲で認められているが、防衛省は5年を超えて支払い契約が結べる新法を検討するとしている。

この新法を前提に、15年度概算要求にも固定翼哨戒機P-1を20機一括契約し、18~21年度まで5機ずつ納入する方針が明記された。防衛省は長期契約によって約1450億円が節減されると試算する。

ただし、仮に財政法を超越する新法が制定された場合、新たな兵器を「買いやすい」土壌が生まれることも確かだ。佐賀空港へのオスプレイ配備、水陸機動団新設に向けた拠点整備、奄美大島への陸自警備部隊の配備……。

今回の概算要求で自衛隊の部隊配備の形が徐々に見え始めたが、水陸両用車の取得など、新たな装備品の増強はこれから加速度的に進む可能性がある。

【総合火力演習で3・5億円の費用を消化】

8月24日、世界遺産「富士山」の麓に広がる東富士演習場(静岡県御殿場市など)で陸上自衛隊の富士総合火力演習が開催された。

最新鋭の10式戦車など主要装備品から放たれた砲弾の波動は観客席まで確かに伝わり、すさまじい衝撃音が山々に響き渡った。占領された離島の奪還を想定したシナリオでは、制圧までの一連の流れを通して訓練し、その様子は「有事」そのものだ。

陸上自衛隊の装備品を一挙に使用する総合火力演習は、実弾を用いた最大の火力演習となる。

遠距離からは155ミリ榴弾砲、中距離は87式対戦車誘導弾、近距離は小銃や無反動砲など装備品の数々から発射され、砲弾で演習地内の山肌はえぐられたように凹んだ。使用された実弾はこの日だけで約44トン、費用は約3億5000万円という。

次年度以降、陸上自衛隊のオスプレイなど新装備品の導入により、防衛予算はますます膨張する。これと比例するように、「有事」を想定した演習はさらに激しさを増していく見通しだ。

(池田哲平・『琉球新報』記者、9月5日号)

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