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都内を中心に行使容認反対のシンポジウムやデモ――自衛権に若者の危機感高まる

2014年7月7日11:37AM

22日、「改憲やめろ」などと訴えながら渋谷を歩くデモ隊。(撮影/内原英聡・編集部)

22日、「改憲やめろ」などと訴えながら渋谷を歩くデモ隊。(撮影/内原英聡・編集部)

池田由莉矢さん(撮影/植田千晶)

池田由莉矢さん(撮影/植田千晶)

手塚空さん(撮影/植田千晶)

手塚空さん(撮影/植田千晶)

「骨太の方針」(経済財政運営の基本方針)を6月24日に前倒し閣議決定し、安倍政権が集団的自衛権の行使容認に向けた公明党との調整に一点集中しようとする中、これに反対する学生たちによる {骨太} の連帯が広がっている。

21日には早稲田大学(東京・新宿区)で、「集団的自衛権と解釈改憲を考える学生シンポジウム」が開催された。主催であるSAP(Student Action for Peace)の池田由莉矢さん(早稲田大学)に話を聞くと、「安倍政権が日本の軍事化を進める一方、世論も中国や北朝鮮{脅威論}によってそれを認める雰囲気があります。オルタナティブな政策提言をして、集団的自衛権に反対していきたい」という。

同シンポジウムは、専門家を呼ぶのではなく、学生自らの手で資料を作成して発表する形式が取られた。第1部では、国連の唱える「集団安全保障」と、日本における「個別的自衛権」と「集団的自衛権」の内容や日本政府の見解の変遷についての解説があった。

第2部では、手塚空さん(東京大学)が冒頭で「安倍政権は立憲主義を無視していると、私たちは自信を持って言えているでしょうか。なんとなくではなく、確信を持って批判できるようにならなくては」と会場の学生に語りかけた。立憲主義の立場から安倍政権の解釈改憲は認められるかとの論点を提示し、「憲法の条文そのものを憲法典と言い、解釈や運用などによって現実に憲法典が機能する総体を憲法と言います。つまり安倍政権が行なおうとしているのは、憲法典の解釈変更による {憲法の変更}。だから私は、安倍政権が {憲法を変えようとしている} と言いたい。解釈改憲が認められるのは、権力の恣意性によらない合理的な解釈のみで、安倍政権の解釈はこれに当たらない」と主張した。

約60人が集まった同シンポジウムは連続企画の第一弾で、23日は明治学院大学(神奈川県)で、24日には国際基督教大学(東京・三鷹市)でも開催され、それぞれ約100人が参加。関西学院大学(兵庫県)でも来月に開催予定だ。

このほか、22日には「若者憲法集会」(同実行委員会主催)が東京都内で開かれた。集会には約1000人が集い、その後に渋谷で行なわれた「命と自由を守る若者憲法デモ」には500人以上が参加。実行委員は集会で、集団的自衛権を行使できるようになれば憲法9条の歯止めは外されるとした上で、「戦場にいくのは私たち若者です」と訴えた。デモ隊は「まもれ憲法」「戦争ヤダ」などといったプラカードを掲げ、ボブ・マーリィの曲「Get up, stand up」を流しながら街ゆく若者に訴えた。

【抗議の声明文も続々】

声明も続々出ている。戦前から人権と民主主義の保護を訴えてきた「日本国民救援会」は14日、「集団的自衛権の行使は、日本が攻撃されていないのに、アメリカ、またその主導する外国の軍隊が行う戦争に日本が参戦すること」「解釈改憲はアジア諸国との間の緊張を一気に高める」などと警鐘を鳴らした。環境保護NGOのグリーンピース・ジャパンは18日、「恒久平和主義こそが最大の自衛である」との声明文を発表した。

日本弁護士連合会と全国の弁護士会も反対の声明や決議を表明。「九条の会」でも全国的に反対の声明文が出された。さらに、戦争をさせない1000人委員会は公明党の山口那津男代表に対して、「平和の党」としての役割を果たすよう求める文書を20日付で送付した。

(白飛瑛子・17歳ライター+渡部睦美・編集部、6月27日号)

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