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各地で続け、第四次厚木基地爆音訴訟判決――自衛隊機の夜間飛行を差止め

2014年6月13日12:35PM

判決を伝える原告・支援者ら。(提供/金子豊貴男)

判決を伝える原告・支援者ら。(提供/金子豊貴男)

第四次厚木基地爆音訴訟で横浜地裁(佐村浩之裁判長)は5月21日、全国の軍用機騒音被害を巡り過去約40年間で提起された訴訟で初めて、「自衛隊機の夜間飛行差止め」を命ずる判決を出した。

厚木基地は神奈川県の県央部、大和市と綾瀬市にまたがる米海軍の飛行場だ。横須賀に入港する原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機の地上基地として、また、海上自衛隊の対潜m戒機の基地として、年間3万回以上の離発着訓練が行なわれ、240万人といわれる周辺住民が長期間、騒音被害に悩まされ続けている。1993年の初提訴から4回目の本訴訟は、6993人の原告が2007年12月、損害賠償などの民事訴訟と米軍機・自衛隊機の飛行差止めの行政訴訟として提起した。

佐村裁判長は判決で「住民は健康被害に結び付く、睡眠妨害や生活妨害、精神的苦痛など、深刻な航空機騒音の被害を受けている」と認定、防衛相がやむを得ないと認める場合を除き、午後10時から翌日午前6時までの自衛隊機の運航を差し止めるよう命じた。

一方、米軍機については「国が米国に対し、基地の使用を許可するといった行政処分は存在しない」などとして訴えを却下。損害賠償額は「うるささ指数」に応じて月4000円から2万円を認定、三十余年不変の賠償額を引き上げた。

自衛隊機の夜間の飛行差し止めを認めたことは嘉手納、普天間、岩国、小松、横田での爆音訴訟にも大きく影響する画期的な内容で、防衛省内には動揺が広がったという。翌22日付の『毎日』『東京』『神奈川』などの新聞各紙は「国は住民の声に真摯に耳を傾けねばならない」(『朝日』社説)と判決を評価したが、一方で、「飛行差し止めの影響が心配」(23日付『読売』社説)、「抑止力損なう判断疑問」(24日付『産経』社説)と批判するものもあった。原告団、被告・国ともに控訴する。

(金子豊貴男・同訴訟団副団長、5月30日号)

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