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ODA大綱見直しに異議――非軍事の理念堅持を

2014年6月3日7:14PM

軍事体制へと突き進む安倍政権が、ODA(政府開発援助)まで軍事色を強めようとしている。

岸田文雄外務大臣の諮問機関として3月28日に発足した「政府開発援助(ODA)大綱見直しに関する有識者懇談会」(座長=薬師寺泰蔵・慶應義塾大学名誉教授など8人)は6月までに報告書をまとめ、今年中に閣議決定される予定。問題なのは「国家安全保障戦略」に基づき、現行大綱の非軍事の理念を骨抜きにして「武器援助」を本格化させようとしている点だ。

こうした動きを危惧するODA改革ネットワーク(高橋清貴世話人)などODAに関わるNGOやNPOの代表は5月13日、東京・永田町の参議院議員会館で会見を開き、「ODA大綱4原則における『非軍事主義』理念の堅持を求める市民声明」を発表。同日までの賛同49団体の連名で安倍晋三首相と岸田外務大臣宛に送付した。

ODA大綱4原則とは、(1)環境と開発の両立(2)軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避(3)軍事支出や大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造の動向への注意(4)民主化の促進、人権・自由の保障――などで、非軍事・平和主義を貫いている。しかし、2006年に官房長官だった安倍首相による「官房長官談話」をきっかけに、海賊対策などを名目にインドネシア向けの「武器援助」を実施。その後もアルジェリアやジブチ向けODAでの「武器援助」が続いた。今回の大綱見直しにより、さらに軍事援助が本格化する可能性も高い。

声明では、(1)平和主義理念という国民の財産を失う(2)武器市場の拡大と紛争を助長させる(3)公権力の強化が人権侵害につながる――など7点の懸念を表明。国際人権NGOヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士は「私たちの税金が人権侵害に使われる可能性がある。いったん非軍事の境界を越えてしまうと、日本の外交そのものが変質してしまう」と指摘した。

(片岡伸行・編集部、5月23日号)

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