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抗議の来日をした元「慰安婦」2人が被害を証言――「橋下大阪市長に審判を!」

大阪市内のシンポジウムで講演する金福童さん(中央)と吉元玉さん(左)。(撮影/真野きみえ)

大阪市内のシンポジウムで講演する金福童さん(中央)と吉元玉さん(左)。(撮影/真野きみえ)

 二人の元従軍「慰安婦」が五月二五日、大阪市内で被害者証言のシンポジウムを行なった。金福童さん(一九二六年、慶州南道梁山生まれ)と吉元玉さん(一九二八年、平安北道生まれ)である。

 二人は一三日の橋下徹氏(日本維新の会・共同代表、大阪市長)の「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」などの発言を受け、抗議の意思を示すために来日した。

 二四日に予定された橋下氏との面談は元「慰安婦」側が「政治パフォーマンスに利用されたくない」との理由でキャンセルした。このことを、維新の会の中山成彬衆議院議員は「(元「慰安婦」の)化けの皮がはがれるところだったのに残念」とツイートするなど、維新の会の政治家からは資質が問われるような発言が相次いでいる。

 二七日、日本外国特派員協会の会見で橋下氏は、普天間の米軍司令官へ「風俗を活用してほしい」と伝えたことについて、米軍並びに米国民に対し発言を撤回、謝罪した。しかし戦時であれば「慰安婦」制度が必要との発言の撤回や、元「慰安婦」への謝罪はなかった。さらに「国家の意思で女性を人身売買した点を裏付ける証拠はないというのが政府の考え方だ」と述べた。

 しかし一九九三年の河野談話は、調査の結果「軍当局の要請で慰安所が設営されていた」ことを認めている。また九八年のマクドゥーガル報告書(国連人権小委員会)では、「慰安婦」は性奴隷制度であり、女性への人権蹂躙となる戦争犯罪であるとしている。

 金さんは一五歳で広東の慰安所に、吉さんは一一歳でハルピンの慰安所に連れて行かれた。日常的に暴力を受け、性行為を強制された。吉さんは、性病治療と言われ手術で子宮を取られた。二人とも工場で働くだけだと騙されて慰安所に入れられている。二五日のシンポジウムで中央大学の吉見義明教授は「強制連行があるかないかではなく、騙して慰安所に入れた時点で詐欺罪、誘拐罪を構成する」と指摘した。

 橋下氏や、米国二紙に日本軍の「強制性」を否定する意見広告を出した安倍晋三首相は、事実を認めるべきである。来日した二人の元「慰安婦」は「橋下市長は審判の対象だ」と抗議した。参議院選で審判が下るか、国民もまた一票の行方が問われている。

(真野きみえ・ライター、5月31日号)

『ブラック企業にご用心!』渋谷で上映イベント

監督の土屋トカチさん(右)と川村遼平さん。(写真/渡部睦美)

監督の土屋トカチさん(右)と川村遼平さん。(写真/渡部睦美)

「社員は100円乾電池程度の扱いさ」

 長時間労働などの違法労働を強いる「ブラック企業」をテーマにした映画『ブラック企業にご用心!-就活・転職の落とし穴ー』の上映イベントが5月10日、東京・渋谷UPLINKで開かれた。

 監督は、現代の労働問題を追った作品を多く手がける土屋トカチさん。「ブラック企業という言葉は有名だが、テレビでは企業名が実名報道されない」と指摘し、企業名の公表と就職活動をする若者への啓発活動が必要と訴えた。

 映画には、外食産業大手のワタミで過労死した森美菜さんの遺族が登場。重労働により苦しんだ美菜さんが2008年、入社2カ月で過労自殺したいきさつを語った。このほか、激安コンビニエンスストア「SHOP99」(現・ローソンストア100)の元店長が長時間労働・残業代不払いの実態を、気象情報会社ウェザーニューズの元労働組合員が不当解雇の実態を語った。

 上映後のトークイベントにゲスト出演した若者の貧困・労働問題に取り組むNPO(非営利団体)法人「POSSE」の川村遼平さんは「働いていると、これが普通だと思ってしまう」と、ブラック企業の労働環境に警鐘を鳴らした。POSSEに相談を寄せる人の中には、ストレス性の内臓疾患や心身の変調に苦しむ人も多いという。「自分を追い詰めないでほしい」と会場に呼びかけた。

(渡部睦美・編集部、5月24日号)