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大阪のがれき受け入れ反対運動での逮捕者裁判――出廷した警察官の証言に疑義

 大阪地方裁判所で四月二二日、関西電力前で逮捕されたA氏(公務執行妨害・傷害罪)の第三回公判(石井俊和裁判長)が行なわれた。今法廷には検察側証人となる大阪府警の警察官二人が出廷し、注目を集めた。

 大阪市で、反原発運動の市民が連続逮捕されたことは物議を醸している。A氏はその最初の逮捕者だ。昨年一〇月五日に関電本社前で抗議に参加中、逮捕された。A氏を筆頭に、延べ一〇人もの逮捕者を出した大阪府警に対し、不当な弾圧ではないかとの声が全国から上がり、一二月には憲法研究者による抗議の声明が出された。

 証人に立った二人の警察官は、いずれもA氏から押し倒され一人は顔と肩の打撲、一人は薦骨骨折のけがを負わされたという。だが、柔道も剣道も段持ちで公務中の状態にある警察官が、武道の心得もないA氏に容易く押し倒されるのだろうか。それも正面で向き合う状態から倒されたとのことだ。

 筆者は現場にいたB氏から目撃談を得た。B氏は個人商店に逃げ込んできたA氏が、商店の自動販売機を背に警察官に詰め寄られている様子を目撃。A氏が退路を失って、困っているように見えたので逃がそうとしてA氏の腕を掴んだが、体勢が悪く離してしまった。そこに、唐突に警察官が後ろ向きに倒れてきたという。

 A氏の弁護人からは当日の様子を撮影した映像が証拠提出されている。映像でも目撃談同様、自動販売機を背にしてそれ以上後ずさりできず、横にスライドして警察官を避けるA氏を警察官が追い込んでいるように見える。警察官が市民を過剰に追い込み、事件が発生したのだとしたら本末転倒だ。

 また、被害にあった警察官の取り調べ調書に、A氏から巴投げで投げられたとの記述があることが明らかにされた。法廷証言で否定されたが、調書自体の信憑性にも疑いがもたれる。

(真野きみえ・ライター、5月17日号)

狭山事件50年で集会と現地調査――再審開始に期待

ウソの「自白」の事件現場を案内し、事実との矛盾も指摘する石川一雄さん。(撮影/豊田直巳)

ウソの「自白」の事件現場を案内し、事実との矛盾も指摘する石川一雄さん。(撮影/豊田直巳)

 後に部落差別、冤罪事件として知られることとなる女子高校生誘拐・殺人事件から五〇年の五月一日、舞台となった埼玉県狭山市で「狭山事件の真相を探る5・1集会と現地調査」が行なわれた。

 集会には、この事件で無実を訴えながら三一年余りも獄に繋がれた後に仮釈放され第三次再審を請求中の無期懲役囚の石川一雄さん(七四歳)や支援者が参加。「足利事件」の菅家利和さんと「布川事件」の杉山卓男さんも駆けつけた。

 菅家さんは「一日も早く自由の身になって、自分らと一緒に冤罪をなくすために全国を歩きたい」と石川さんを励まし、杉山さんは狭山事件で証拠とされる万年筆は「警察が偽装したのは間違いない。警察がおかしいのは、インクの色が違うこと。どうせ偽装するならインクの色も同じにしろと言いたい」と捜査の矛盾を指摘した。

 石川さんは「警察に騙されて兄を真犯人と思い込み、兄を庇うためにウソの自白をしてしまった。一日も早く無罪を勝ち取りたい」と決意を新たにした。

 再審申請の中山武敏主任弁護人は、裁判所・検察・弁護団による三者協議が一二回続いており、この中で検察によって隠されていた証拠が一二九点開示されたこと、石川さんの無罪の決め手となる逮捕時の石川さんの筆による「上申書」も含まれ、脅迫状との筆跡の違いが浮き彫りになったことなどを報告。「五月に次の三者協議があり、裁判所の判断がいつ出されてもおかしくない段階」と再審開始に向け全力を挙げると述べた。

 また「狭山事件の再審を求める市民の会」事務局長でルポライターの鎌田慧さんは「被差別部落の人たちは捜査当局が考えたよりも、はるかに識字能力が低かった。当たり前の教育を受けられず、文字を書けない人たちには、脅迫状を書くという発想そのものがない」と、部落差別の根深さと冤罪との関係を指摘した。

(豊田直巳・フォトジャーナリスト、5月10日号)