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過労死の企業名開示認めず――大阪高裁が逆転判決

 労災認定された過労死事件の企業名を公開させるべく、遺族が国を相手に起こした情報公開請求訴訟の控訴審判決が一一月二九日、大阪高裁で言い渡された。山田知司裁判長は、法人名を公開すれば「被災者の個人情報が特定できる恐れがあり、企業の社会的評価が下がる」と断じ、国の不開示決定を違法とした一審の大阪地裁判決を取り消し、原告敗訴の逆転判決を下した。原告は上告する方針。

 原告を務めるのは「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さん(六三歳)。「過労死をなくすには、問題のある企業を社会的に監視する必要がある」と、情報公開法にもとづき過労死認定された社員がいる企業名の開示を大阪労働局に請求したが、不開示決定された。昨年一一月の一審判決は、企業名を公表しても(1)一般人が被災者の個人情報を入手するのは困難であり(2)企業が直ちに取引先の信用を失うとはいえない――と述べ、法人名を黒塗りした国の不開示処分を不当と判断し、公表を命じていた。

 大阪高裁の逆転判決は、大阪労働局管内で記録処理された法人のうち四二・八%が従業員三〇人未満の少数事業所であり、病名などを照合すれば個人が特定できる可能性が高いと指摘。さらに情報開示に伴う「企業の不利益」については、労働局のアンケート調査に回答した府内三四六社の七九%が「不利益が生じる」と答えていること、新聞報道やインターネットの投稿では「過労死の発生=ブラック企業」と評価されることをあげ「開示すると会社の社会的評価が下がり、正当な利益を害する蓋然性がある。労基署の調査にも協力を得られない」と結論づけた。

 判決後に記者会見した原告弁護団の松丸正弁護士は、「過労死を発生させた企業の不利益を必要以上に配慮した不当な判決だ。再発防止に向けた労使協議を促進し、職場環境を改善するには、企業名を明らかにすることが不可欠であるのに、それを怠る国の責任を不問にしている。これでは過労死はなくならない」と批判した。

(村上恭介・ジャーナリスト、12月7日号)

東北被災地がれき焼却地の秋田県横手市で――子どもたちの尿からセシウム

 この九月から東北被災地のがれき焼却が始まった秋田県横手市で、一一月に尿検査した四人の子どもからセシウムが検出された。このため、がれき焼却に反対している地元住民の不安が高まっている。

 横手市は、市内の「東部環境保全センター」などで岩手県野田村から搬入したがれき(今年度六六〇トン。来年度は未定)を今後二年かけて焼却。だが、住民から(1)なぜ周囲に学校・保育園が接する同「センター」を選んだのか(2)岩手県ではがれきの県内処理が可能なのに、受け入れる必要性がない(3)放射性物質を外に出さない割合が不明だ――などの批判が出ていた。

 だが、市側は「安全」として焼却を強行し、不安を感じた親が一一月、山形市で尿検査を実施。その結果、微量ながら五歳の男子から〇・〇九五、四歳の男子から〇・一各ベクレル/kgのセシウム137が検出された。市のがれき焼却灰の「放射性物質測定結果」では、一〇月の時点で同「センター」など二カ所で一二~四二ベクレル/kgのセシウム134・137が測定されている。

 だが、五月の段階でも尿検査した八歳の双子の男女から〇・一ベクレル/kgのセシウム137が検出。さらに焼却直前に検査した一三歳の女子から〇・一、四歳の女子から〇・〇七五各ベクレル/kgのセシウム137が検出された。このため、がれき焼却との因果関係は今のところ不明だ。双子の母親は「市ががれき焼却を始めると聞いて、焼却後の比較ができるよう事前検査した。ところが焼却前と後で計六人の子どもたちからセシウムが検出され、何が原因かわからず、とても不安だ。行政は尿検査を実施し、住民の健康状態を調査して対処するべきだ」と語る。

 これについて市の生活環境課は、「市内の医師と相談し、通常の健康診断で十分とのことだった。今後、尿検査など特別の検査は予定していない」と話している。

(成澤宗男・編集部、12月7日号)