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千葉・松戸で憲法記念日の集い――大江さん「人間のモラル」強調

2012年5月22日1:03PM

「日本の民主主義は決して弱くない」と語る、9条の会の大江健三郎さん。(撮影/吉田敬三)

「2012年松戸憲法記念日の集い」(主催・実行委員会)が五月三日、千葉県松戸市で開催され、大江健三郎さんの「ひろげよう!憲法9条 不戦の誓い…ノーモア ヒロシマ・ナガサキ、そしてフクシマ」と題した講演会は、一三〇〇人を超える来場者で賑わった。

 大江さんは「五月三日は自分たちが戦争という過ちを犯したことを国民全体が認め、それを世界に宣言した日。憲法は私にとって大切なもので、これによって未来が開けた」と、日本国憲法と自身の結節点を語った。  

 また、昨年の東京電力・福島原発事故については「少なくとも一〇年、原発を再稼働させないという法律を作る必要がある。この一年、再稼働への動きを私たちは押し戻してきた。日本の民主主義は決して弱くない。再稼働を歓迎するのは政界や経済界、官僚、それに米国だけ」と、再稼働を急ぐ民主党政権を批判。「次の世代がこの地球上で生きていくことを妨げないことが人間の根本的で最大のモラル。すべての原発を停止すると不景気が少し長引くかもしれないが、今を生きる私たちが担えるものを引き受け、次世代への重荷を軽減させましょう。自分の一生を考えると、今一番大きな変化を迎える時代を生きていると思う。あきらめていては何もできない。一人一人が声を上げることが大切」と呼びかけた。

 憲法で保障された教育を受ける権利を奪われているとして、松戸自主夜間中学を運営する「松戸市に夜間中学をつくる市民の会」が始めた憲法記念日の集いも、今年で二九回目。実行委員会には七三の市民団体が参加した。

 今年初めて参加したという一児の母親は、「原発事故をきっかけに、誰が私たちを守ってくれるのか考えた。それは憲法だと気付いた。憲法は難しいと思っていたが、私たち生活者が主権者であり、主役なんだと知った」と話した。

(吉田敬三・フォトジャーナリスト、5月11日号)

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