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大飯3・4号機の「保安院」資料に重大疑念――制御棒の挿入が間にあわない恐れ

2012年4月9日5:56PM

24日に東電本店前で抗議する再稼働反対集会の参加者。(撮影/伊田浩之)

 原子力安全委員会(班目春樹委員長)は二三日、臨時会議を開き、原子力・安全保安院が関西電力の大飯原発三、四号機のストレステスト一次評価に関し妥当とした判断に対し「見解」を示した。

 新聞・テレビなどでは「安全評価を了承」などと大報道されているが、同見解は「緊急安全対策等の一定の効果が示されたことは一つの重要なステップと考える」ものの「二次評価を速やかに実施するとともにより一層の安全性向上に向けた継続的改善に努めることが肝要」と指摘。班目委員長も会見で「安全性の確認ということに関して、我々は何も発言していない。あくまでも総合的安全評価としては、一次評価では不十分と申し上げている」「ストレステストと再稼働を結び付けている国はない。それはそれで一つの政治判断としてなされること」と話している。

 野田佳彦首相ら政府四閣僚はこれを受け、関電がまだ第二次評価を提出していないにもかかわらず、同三、四号機の再稼働を「安全」とする「政治判断」を示す方針だ。だが今回の一次評価で、「安全」が確認されたとは言い難い。

 一次評価で想定されている津波の高さは一一・四メートルで、福島原発の一四メートルより低い。耐震安全評価においても、大飯原発の西側を走る二つの海底活断層(Fo―B、Fo―A)と陸地の琵琶湖方面に向かう熊川断層が、地震の際は三つの断層が連動するとの指摘が専門家から出ている。だが、関電側は無視し、二つの海底活断層のみの連動を評価し基準地震動を七〇〇ガルと想定。

 しかも制御棒挿入時間の評価値は二・一六秒。評価基準値は二・二秒だから余裕は二%しかない。もし三つの断層が連動した場合、基準地震動は約一〇〇〇ガルとなり、制御棒挿入時間の評価基準値である二・二秒を超え、事故時には制御棒挿入が遅れる可能性が高い。

 三月一三日に開かれた原子力安全委員会の同三、四号機検討会で、保安院は二つの海底活断層の連動では制御棒が「許容値二・二秒に対して一・八八秒で挿入される」との関電の見解を検証なしに提示した。これだと地震で三つの断層が連動しても、制御棒挿入時間の評価基準値二・二秒以内に収まる計算だ。

 関電と保安院はもはや二つの海底活断層の連動だけを想定したやり方は通じないと判断し、従来の評価値を意図的に切り下げた。こうした数字のトリックで、安全性が確保されるはずがない。しかも政府が一次評価だけで同三、四号機の再稼働を強行しようとしても、福井県の西川一誠知事は、再稼働を判断する前提である「原発暫定安全基準の設定に関する国の方針提示」等の要求を変えておらず、県の同意を得ることは困難視されている。

 再稼働反対の気運も盛り上がっている。環境団体「グリーンピース」が三月一六日から一八日にかけて実施した福井県民五一七人を対象とする世論調査では、再稼働に関して六八・一%が「不安」、七四・一%が「政治判断は性急すぎる」と回答。また福井県越前市議会が一九日の本会議で、同三・四号機について「拙速な再稼働に反対する意見書」を全会一致で可決した。二四日には、東京での「再稼働を許さない さようなら原発」集会に約六〇〇〇人が集まった。二五日に福井市で開かれた再稼働反対集会には約七〇〇人が参加。あいさつに立った原発反対県民会議の中嶌哲演代表委員(小浜・明通寺住職)は「後に続く者たちのために再稼働は許さない」と訴え、二六日から県庁前で抗議の断食に入った。

(成澤宗男・編集部、3月30日号)

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