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【シリア】政府による国民弾圧なのか――黒幕の米英、狙いはイラン弱体化

 ロシア外務省のミハエル・ボグダノフ副大臣は二月一〇日、緊迫するシリア情勢について「カタールと英国の特殊部隊がシリア国内で活動している」と発表した。

 すでに昨年一二月、イスラエル政府に近い軍事問題インターネットサイト「DEBKA」はシリア情勢について「カタールとサウジアラビアが、リビアやヨルダン、イラクから民兵を流入させ、テロ活動を資金援助している」と報道。

 アラブ連盟が昨年末から一カ月間派遣した「シリア監視団ミッション」の報告書によれば、国内の政府支持勢力と反政府勢力のデモ参加者による小競り合いはあったが、西側メディアが流している「政府軍による国民弾圧」といった報道は、事実として確認されていないと結論づけている。

 一方、シリア外務省は二月一六日、国連に対して書簡を提出し、同月一〇日に国内二カ所で車が爆破され、住民二八人が死亡した事件は「他国によって支援された軍事活動」だと非難した。

 米NBCテレビは二月一七日のニュース番組で、多数のスパイ用米無人機が、シリア上空を飛行していると報じている。米『アメリカン・コンサーバティブ』誌も昨年一二月一九日号に掲載した「NATO対シリア」という記事で、(1)トルコの空軍基地にNATOがシリア反政府勢力向けの武器を空輸している、(2)英仏の特殊部隊が反政府勢力に軍事訓練を施している、(3)米特殊部隊とCIAが反政府勢力に通信機を供与しシリア軍の情報も提供している――等の動きも伝えている。

 同誌はこうしたNATOや一部湾岸諸国の活動について、「『住民保護』を名目に軍事介入し、政権を転覆したリビア型の作戦を狙っている」と論評。だがシリアを打倒することで、その最大の同盟国であり、米英が攻撃準備を進めているイランの弱体化が狙われているのは間違いない。

(成澤宗男・編集部、2月24日号)

法務局登記業務、民間委託で混乱――受託した派遣会社に是正指導

 各地の法務局から登記簿等の公開業務(乙号事務)を受託している派遣会社、ATGカンパニー株式会社とアイエーカンパニー合資会社(社長はともに大屋武志氏、以下ATGとアイエー)が、受託先の多くで、法務局から是正指導されていることがわかった。

 是正が求められたのは、両社が受託し乙号事務を行なっていた一三現場で、所沢支所、久喜、秩父の各支局、鴻巣、飯能、志木、川越、坂戸、春日部、上尾、草加、川口、本庄の各出張所。文書の指摘事項は黒く塗り潰されている。

 登記制度は国民の財産や取引の安全を確保するインフラで、乙号事務は、以前は法務省職員のほか民事法務協会が一手に引き受け、熟練労働者が担ってきた。

 ところが小泉純一郎政権下、「官から民へ」のターゲットにされ、競争入札に移行。なかでも、低価格で札を入れ次々に仕事をさらったのがATGとアイエーだ。

 両社の実態を調べるため、筆者は法務省等に情報開示請求し、大量の関連資料を得た。それによれば、ATGとアイエーは二〇一〇年、さいたま地方法務局の監査で、多数の是正指導を受けている。

 同法務局では「人員配置など契約の履行や、業務の遂行を確認しています」と説明しており、両社に、法令や契約にふれる不適切な行為が多数あったとみられる。民事法務労働組合などの調査でも利用者から両社への苦情が目立ったが、公文書でも裏付けられた形だ。

 ところが、両社が提出した「事業報告書(月報)」を見ると、「法務局からの改善指示事項」には「なし」の文字が並ぶ。法務局の監督が日常的には機能せず、業者丸投げになっていた疑いも浮かんだ。

 両社は昨年四月、登記簿の不正取得で業務停止処分を受けた。今年一月三一日には健康保険・厚生年金保険料の基礎となる従業員報酬を二七〇人分ごまかしていた罪(虚偽の届出)で略式起訴された。

 両社は「経理などの(重要)業務は岡山で行ない」(大屋社長)、登記簿にはウソの住所を載せていた。まともな会社とは考えにくい。

 法務省は「業務の質を確保するよう来年度からの入札見直しを検討中だ」(民事局)とする。熟練労働者から職を奪い、札付き業者を跋扈させた「労働ダンピング競争」を変えられるか、注目される。

(北健一・ジャーナリスト、2月24日号)