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【北村 肇の風速計】 菅首相と小泉元首相は相似形

2011年10月17日6:17PM

 かねがね、似ているなと思っていた。いよいよ似てきた。

 菅直人首相と小泉純一郎元首相。
「がんこ」「一匹オオカミ」「人の声に耳を貸さない」「カネにはクリーン」……共通項はたくさんある。

 国会周辺で、「菅首相は『脱原発解散』に踏み切るのでは」という”疑念”
が、依然としてくすぶっている。言わずもがな、「郵政解散」の柳の下のドジョウ狙いだ。常識的にはありえないが、「永田町の非常識」という点でも相似形の二人、ひょっとしたらというわけだ。

 むろん、相当な違いもある。是非論は別にして、小泉氏の「郵政民営化」論は年季が入っていた。それに比べ、菅首相の「脱原発」は唐突感がある。筋金入りには見えない。最近のブログで「再生可能な自然エネルギーを促進するという過去30年の思いがある」と書いているが、やや眉唾だ。

 一方、政策の一つに過ぎない「郵政民営化」に対し、「脱原発」は社会構造を変える根本問題だ。その点でみれば、単に「楯突く奴は許さない」的な解散だった小泉氏に比べ、大義名分はある。

 何と言っても、原発におさらばすることは、「経済功利主義」から「生命尊重主義」への大転換につながる。原発は、そもそも米国の軍事的、経済的戦略に基づいたもので、日本では、その甘い蜜に政・官・財が群がった。最初から、市民の生命や健康は考慮の外だった。新自由主義の本質そのものとも言えるだろう。つまり、「脱原発」は「命優先」社会実現への第一歩となる可能性があるのだ。

 だから、この際、とりあえずもろもろの批判は棚にあげて、多少のことには目をつむって、菅首相の解散決断を支持しようかと考えていた。六月半ばまでは。

 しかし、一八日、海江田万里経済産業相が「全国の原発の安全対策は適切」と宣言、菅首相は「私も同じ」と表明した。首相の「脱原発」とは果たして何を意味するのか。????だ。

 そういえば、菅首相と小泉氏の共通点がまだあった。

「その場しのぎ」

 菅首相がこう言いださないことを願う。

「人生いろいろ、脱原発もいろいろ」

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