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民進党新体制も影響する新潟県知事選のゆくえ――泉田知事の後継者はだれに

新潟県知事選候補者に名前があがる古賀茂明氏。『原発ホワイトアウト』の著者とされる官僚も候補者に浮上。(撮影/横田一)

新潟県知事選候補者に名前があがる古賀茂明氏。『原発ホワイトアウト』の著者とされる官僚も候補者に浮上。(撮影/横田一)

新潟県知事選(9月29日告示・10月16日投開票)で、泉田裕彦知事路線後継者擁立の動きが活発になってきた。8月30日に原発再稼働に厳しい姿勢の泉田知事が『新潟日報』の報道を理由に突如の出馬撤回をすると、東京電力の株価が上昇。自民推薦内定の森民夫・前長岡市長(全国市長会会長)が有力候補となり、柏崎刈羽原発再稼働の可能性が高まったと株式市場が判断したためだ(本誌9月9日号)。

「泉田知事は『福島原発事故の検証と総括なき原発再稼働はありえない』が持論で、東電に厳しい姿勢で対応してきました。去年、田中俊一原子力規制委員会委員長と面談した時も、原子力防災、具体的には避難計画のズサンさなどを指摘。原子力ムラにとって再稼働を阻む大きな障壁となっていました」(原発問題の専門家)

泉田知事に対しては市民団体が説得しているが、「不出馬の意思は固い」(泉田知事の支援者)。そのため、泉田知事路線を引き継ぐ後継候補探しも始まり、元改革派経産官僚の古賀茂明氏や泉田知事のモデルが登場する『原発ホワイトアウト』の著者とされる霞ヶ関官僚が浮上。同書では、泉田知事がモデルの知事が電力会社など電力モンスターの画策で失脚する結末。今回の事態を予見、原子力ムラの実態を熟知しているとみられたことから白羽の矢が立った。しかし2人とも固辞している模様だ。

11日、民進党代表選の討論会と会見で新潟県知事選について筆者が質問。参院選新潟選挙区では野党統一候補の森ゆうこ参院議員が当選。野党共闘を新潟県知事選でも実現、「再稼働容認派対泉田路線を継承する野党統一候補」という構図に持ち込めるかを問うた。しかし3候補とも「新潟県連の意向が第一」と答えるにとどまり、県知事選での野党共闘への意気込みを聞くことはできなかった。

新潟県知事選で民進党新体制が野党共闘をリード、脱原発の民意の受け皿になることができるか否かが注目される。

(横田一・ジャーナリスト、9月16日号)

南西諸島での“国民保護”は二の次のズサンさ──陸上自衛隊の配備に前のめりな安倍政権の無責任(内原英聡)

宮古島市と同じく粗雑な「避難のイメージ」を掲載する石垣市国民保護計画。(撮影/内原英聡)

宮古島市と同じく粗雑な「避難のイメージ」を掲載する石垣市国民保護計画。(撮影/内原英聡)

他国からの武力攻撃で生活の場が戦場と化したとき“日本国民”の生命や身体、財産はどのように“守られる”のか――。防衛省が陸上自衛隊の配備を計画している奄美や宮古・八重山など南西諸島の住民の間では、この問題がいま深刻に危惧されている。なぜなら自衛隊は国民保護を“最優先任務ではない”としているからだ。

例年通り2016年版の『防衛白書』にも〈自衛隊は、武力攻撃事態においては、主たる任務である武力攻撃の排除を全力で実施〉とあり、〈国民保護措置については、これに支障のない範囲〉でのみ取り組むと記されている。住民の安全確保は“自己責任だ”というのか。

この点をカバーするかのごとく政府は2004年、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(国民保護法)を成立させた。同法に従い都道府県も「国民保護計画」を策定したが、市区町村単位では4カ所が未作成となっている。今年3月に160人規模の陸自沿岸監視隊が配備された沖縄の与那国町も、このうちの一つだ。

天候の条件がそろえば台湾も見渡せる「日本最西端」「国境」の与那国島。しかし人口は年々減少するなど、住民は厳しい町運営を強いられてきた。そうしたなか08年頃に浮上したのが陸自配備計画だったが、これまでの過程では筆舌に尽くしがたい苦悩を迫られた。住民は陸自配備を“経済活性”とみなす誘致推進派と、島へのリスクを増大させるとした計画撤回派に分断され、いまも溝は埋まっていない。さらに強引かつ急ピッチで進められた基地の建設工事により、大量の土砂が海へ流出するなど環境汚染も甚大だ。自衛隊配備に拙速な国側の失態といえる事態が相次ぐなか、大前提となるはずの「国民保護計画」さえ整っていない。

約10年も具体的な避難計画を放置

しかし、その「国民保護計画」が策定されても有事に役立つ担保はない。会派「沖縄の風」の伊波洋一参議院議員は8月3日、「国際人道法違反の宮古島への自衛隊配備に関する質問主意書」を政府に提出。08年策定の宮古島市国民保護計画について、(1)「避難実施要領のパターンの作成」、(2)「島外避難における備え」、(3)「避難実施要領の策定」の進み具合を質問した。同市の計画によると「避難実施要領のパターン」とは、市が〈関係機関(中略)と緊密な意見交換を行いつつ、消防庁が作成するマニュアルを参考に、季節の別、観光客や昼間人口の存在、混雑や交通渋滞の発生状況等について配慮し、複数の避難実施要領のパターンをあらかじめ作成する〉(32頁)というものだ。

かりに自衛隊が配備されれば“標的の島”になるおそれがある。それで攻撃を受けたとき国民保護計画が機能しなければ、住民の危険はさらに高まるだろう。だが行政は約10年間も具体策を放置している――。伊波議員の質問に対して政府は8月15日、〈宮古島市は、平成二十八年八月三日時点において避難実施要領のパターンを作成していないと認識している〉と他人事のように答弁した。

一方、宮古島市の下地敏彦市長は6月20日の市議会で、市への陸自配備「受け入れ」を表明している。同市国民保護計画では有事の際、飛行機や船で住民約5万人を島外避難させるイメージ図もある。だが市職員の一人はこう漏らす。「その乗り物が狙われたらどうするか、といったことも(市では)議論していません」

内閣官房と総務省は責任を回避

国民保護計画を所管する内閣官房と総務省消防庁に“責任の所在”を問い合わせた。内閣官房の担当は、「市町村の国民保護計画については都道府県がチェックしており、国側が直接タッチしているわけではない」と回答した。総務省消防庁の担当も「私どもでお答えするのは難しい。自治体ということになるのではないか」と国側の責任をはぐらかした。

陸上自衛隊は「富士総合火力演習」(総火演)で“離島奪還作戦”を過去5回実施したというが、今年8月28日の総火演では島民の存在すら想定していなかった。『八重山毎日新聞』(本社石垣市)は9月3日の社説で、総火演では〈「国民保護法」に基づく住民避難はなかったという。これはなかったのではなく、できないというのが本音だろう。(略)「島民の存在は想定されていない」という演習など税金の無駄遣いである〉と批判した。弾薬だけで約3億9000万円もの税金を投入し、隊員約2400人が参加したという演習でさえこの状況だ。石垣島の住民はこのように不安を明かす。

「昨年10月に突然、石垣島自衛隊配備推進協議会という団体が発足しました。彼らは配備候補地の近接地区にパンフレットを配布し、〈部隊配備は、住民の命と平和な暮らしを守り抜きます〉と強調しました」。このパンフレット「石垣島への自衛隊配備の魅力」を主に作成したのは地元の砥板芳行市議だ。住民はこう続ける。「しかしパンフには具体策への記述が見当たりません。陸上自衛隊の配備計画は他国の脅威を煽る半面、住民のコミュニティや生態系をこわす危険性が大いにあります。候補地に近接する各集落は、配備への断固反対を表明しています」

宮古島市内では昨年10月22日、自民党主催の「平和安全法制セミナー」が開かれた。登壇した“ヒゲの隊長”こと佐藤正久参議院議員は、国民保護計画の所管は「総務省系統」であり、「各県や自治体が作る」と説明した。また自衛隊の配備によって「空港と港、そういうインフラっていう部分も整備しやすくなります」と宣伝したが、その前段では「宮古島から約5万人を避難させるというのは生半可じゃない」と本音を吐露している。

集団的自衛権の行使容認が閣議決定された2014年7月1日、安倍晋三首相は「いかなる事態にあっても国民の命と平和な暮らしは守り抜いていく」と豪語していた。しかしこの発言とはかけ離れた行政運営により、南西諸島はいま混迷をきわめている。
(うちはら ひでとし・編集部)

JR東海、長野県大鹿村で自治会長抜き「説明会」開催――リニア工事着工へ強硬姿勢

8月24日、長野県大鹿村中心部での全体の説明会を開いたJR東海。(撮影/井澤宏明)

8月24日、長野県大鹿村中心部での全体の説明会を開いたJR東海。(撮影/井澤宏明)

リニア中央新幹線の建設を進めるJR東海は、南アルプストンネルの長野県側大鹿村で、狭隘部の多い村を通るアクセス道路の県道拡幅に向けた工事説明会を開催。トンネル入り口となる釜沢地区での8月26日の説明会で、正副自治会長が退席する事態となった。

これまでJR東海は、住民の理解と同意がなければ工事は始めないと説明会で言明してきた。しかし、大鹿村に通じる道路の入り口、中川村での説明会(23日)では、終了後にJR東海の澤田尚夫中央新幹線建設部担当部長が理解を得たと発言。翌日の大鹿村中心部での全体の説明会でも同様の発言を繰り返した。説明会では道路拡幅がすむまでトンネル本体工事は取りかかるべきでないと意見も出たものの、JR東海は拒否。村が求めてきた県道全線の複線化や景観を遮る送電線の地中化にも応じないまま、10月中の本体工事着工を示し、住民の反発が強まっていた。

JR東海は地区ごとの説明会では報道陣を締め出したため住民が不安を抱き、釜沢地区の自治会長の谷口昇さんが、村長が委任した村のリニア対策委員の前島久美さんの傍聴を求めた。ところがJR東海が「関係者ではない」と自治会が管理運営する集会場への入場を拒否したため、谷口さんは正副自治会長の判断を一方的に拒否するのは「住民自治の観点から受け入れられない」と副会長とともに退席した。谷口さんは「対話の余地がない、既成事実のための説明会」とJR東海の対応を批判した。JR東海は29日に村に至る県道拡幅工事に着手した。

大鹿村での着工予定は1年遅れ、長野県内の残土置き場は未定。一連の強硬姿勢に、JR東海の焦りが垣間見える。JR東海に対し沿線住民らで作る、リニア新幹線沿線住民ネットワークは「説明会は無効」、阿部守一長野県知事は「対応は悪い。広く門戸を開くことが重要」とコメントしている。

(宗像充・ライター、9月9日号)

「汚染区域」は解除できず、環境基準からも疑問符――豊洲では「安全宣言」出せない

豊洲移転に反対し築地市場再整備を訴えるデモ。8月20日、東京・新宿区。(撮影/永尾俊彦)

豊洲移転に反対し築地市場再整備を訴えるデモ。8月20日、東京・新宿区。(撮影/永尾俊彦)

「安全性への懸念、巨額かつ不透明な費用の増加、情報公開の不足」の三つの疑問点をあげ、8月31日、小池百合子・東京都知事は築地市場の11月に予定していた豊洲移転の延期を発表した。そして、「市場問題プロジェクトチーム」を設置し、2014年11月に2年間に9回の予定で開始した地下水モニタリングの残る2回(今年10月と来年1月に公表)の結果で安全性を確認し、新たな移転時期を決めると述べた。

土壌汚染対策法(土対法)は、「地下水汚染が生じていない状態が2年間継続すること」で「汚染区域」(形質変更時要届出区域)の指定が解除できるとする。

しかし、都の環境局は、筆者の取材に「2年間のモニタリングに法的な意味はまったくありません」と言い切った。それは、都の中央卸売市場が汚染を東京ガスの操業由来と元々あったヒ素など自然由来に分け、操業由来は掘削・除去するが自然由来は除去せず、盛り土などで封じ込めただけで残っているため、これまで7回のモニタリング結果は環境基準を下回っているが、残る2回が下回っても土対法により、「汚染区域」は解除できないからだ。市場は、地下水で環境基準の10倍以上は操業由来、環境基準を超えるが10倍以下は自然由来と区別している。

だが、それなら一体何のためのモニタリングなのか。環境局は、「土対法上の汚染区域の台帳を作る事務手続きのため」と答えた。

8月16日に小池知事が築地・豊洲両市場を視察した後のぶら下がり取材で、筆者は「豊洲は土対法上の『汚染区域』になっていて、安全宣言をするには『汚染区域』を解除しなければならないが、どう考えるか」と聞いた。知事は「モニタリングで都民も私自身も納得できることが必要。さらに様々な調査を確認し総合的に判断したい」と答えた。「汚染区域」は残る2回のモニタリングで環境基準を下回っても解除できないという重要な事実が知事に報告されていないのではないかと感じた。

この自然由来・操業由来の区別について日本環境学会元会長の畑明郎・元大阪市立大学教授は、「東京ガスはヒ素を触媒として使っていたし、ヒ素の汚染は局所的に表層から地下7メートルまで連続しているので操業由来もあります」と指摘した。

また、豊洲の汚染問題を追及し

ている一級建築士の水谷和子さんは、「都は、操業由来の汚染は全部除去するので操業由来の汚染は区域指定を解除すると議会答弁をしています。今になって2年間モニタリングに法的意味はないと言うのは汚染の除去は目指していないと宣言したも同然で、都民との約束の重大な違反です」と批判した。

【クロスチェックが必要】

8月31日、都の新市場整備部は、豊洲市場施設内の空気のベンゼンなどの臨時の測定結果を発表した。今回は、最高0・0013mg/立方メートル(環境基準0・003mg/立方メートルの4割)で、前回6月発表の最高0・0019mg/立方メートル(同6割)を下回った。

前出の畑氏は、「都の測定が信頼できるのか疑問です。私が調査を続けているイタイイタイ病では加害企業と被害者団体がデータのクロスチェックをやっているが、豊洲でも第三者のクロスチェックを認めるべきです」と提言した。

都は、「環境基準とは70年間毎日15立方メートルの空気を吸い続けても健康に影響がない基準」と説明する。

だが、有害化学物質対策に詳しい田坂興亜・元国際基督教大学教授は、「環境基準とは、有害物質の毒性について絶対超えてはダメという基準で、下回っているから安全とは言えません。環境基準の4割、6割とはとんでもない値です。百歩譲ってどうしても豊洲に市場を開設するなら、有害物質濃度はゼロが望ましいわけですから、恒常的に環境基準のせいぜい1%以下にすべきです。その努力をしないで『健康に影響がない』などというのは詭弁です」と批判した。

「汚染区域」は解除できず、環境基準からも疑問符がつく。小池知事は豊洲では「安全宣言」を出せない。

(永尾俊彦・ルポライター、9月9日号)

ビザのない学生に在留許可を――日本で「将来が見えない」

日本で難民申請などが認められずに両親が「仮放免」の立場に置かれているがゆえ、日本で生まれ育ったにもかかわらず親と同じ仮放免の立場に置かれる子どもたちがいる。仮放免とは、入国管理局の収容を一時的に解かれること。特に、ビザがないので将来働くこともできないなど差し迫った不安を感じている仮放免の高校生、大学生などに在留特別許可を出すこと求めて8月24日、約800人の仮放免者などから成る「仮放免者の会」が法務省入国管理局に申し入れをした。その後、同会と仮放免の4家族は東京都内で会見を開いた。

会見に出た家族はいずれも両親が20年ほど日本に滞在しており、子どもは日本で生まれて日本の教育機関で教育を受けてきた。ガーナ国籍で高校1年の女性は、「この先の未来がまったく見えないから、すごくつらい。一生懸命勉強していい成績を出しても、ビザがないと社会に出て働けないから、全部意味がない。遠くにもあまり遊びにいけない。周りの友だちみたいに自由に人生を生きたい」と話した。仮放免者は居住する県などを出る際、事前に入国管理局から「一時旅行許可」をもらわなければならず、日本国内であっても自由に移動できない。

前出の高校生の母は、「祖国に帰れと言われても、子どもにとって祖国は外国にすぎない」と訴えた。インド国籍で高校2年生の男性も、「生まれてこのかた、日本人としか関わりがない。日本での大学進学を目指しているが、進学のお金を補填するためにアルバイトすることもできない」とした。ブラジル国籍で専門大学1年の男性は、「これまで身につけてきたことや勉強したことも、就職しないといかせない。将来、家族ができても養えない」と不安を語った。

同会顧問、久保田祐佳弁護士は、「何か悪いことをしたから在留特別許可がないと誤解する人もいるが、子どもたちに落ち度はまったくない」と強調し、指宿昭一弁護士は「両親が仮放免だということに引っ張られ、子どもまでもを仮放免の立場に起き、在留特別許可を出さないのはおかしい」と指摘した。

(本誌取材班、9月2日号)

辺野古埋め立て用護岸に使用――JFEに製造中止を要請

JFE横浜本社前で申入書を読み上げる「三重県民の会」の人たち。(撮影/松本宣崇)

JFE横浜本社前で申入書を読み上げる「三重県民の会」の人たち。(撮影/松本宣崇)

沖縄県名護市の辺野古新基地建設の埋め立て用護岸に使われるハイブリッドケーソン(鋼材・鉄筋コンクリート製の巨大な箱)を三重県津市のJFEエンジニアリング津製作所が製造することに抗議し、「辺野古のケーソンをつくらせない三重県民の会」などが8月26日、横浜市のJFEエンジニアリング(以下、JFE)横浜本社を訪れ、「戦争協力企業にならないためにケーソン製造から手を引くように」との社長あて申入書を手渡した。

抗議行動には「辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会」のメンバーや共産、社民両党の国会議員や秘書らも含め計70人が参加。JFE側がゲートを閉ざし警備員を配置して面談に応じなかったため、持参した1万6629筆の署名は後日提出することにし、申入書を読み上げた。

「三重県民の会」ができたのは、2015年2月の『琉球新報』の記事がきっかけだ。同紙によると、ケーソンは長さ52m、幅22m、高さ24m、重量約7400t。計6基を三重県で製造して沖縄まで半潜水式台船で運び、中に土砂などを投入して海に沈める。沖縄防衛局と契約した五洋建設など3社の共同企業体(JV)が17年9月30日までに1工区の護岸約300mを整備するという。

「沖縄の基地建設に加担したくない」として市民や労働団体などが会を発足させ、製造元が旧日本鋼管造船所のJFEエンジニアリング津製作所であることを突き止めた。同会は津製作所正門前やJR津駅前など主要駅でビラ配りをして広く訴える一方、津製作所に何度も話し合いを申し入れているが、埒があかないので今回の本社行動になった。

同会代表の柴田天津雄さんは「JFEの今回の対応は、市民の声を聞くことを一切しない企業姿勢であることをはっきりさせた。今後も抗議行動を広く展開していく」と話している。

(平野次郎・フリーライター、9月2日号)

元創価学会職員が安保法制と憲法を考える会開催――「9条改正はきわめて困難」

「安保法制と憲法」をテーマに講演する木村草太・首都大学東京教授。(撮影/赤岩友香)

「安保法制と憲法」をテーマに講演する木村草太・首都大学東京教授。(撮影/赤岩友香)

安保法制に反対し、官僚化している今の創価学会本部に対して、異を唱えている元創価学会職員の小平秀一さん、滝川清志さん、野口裕介さん。彼らが主催する「8・20安保法制と憲法について考える会」が8月20日、かながわ県民センター(横浜市)で開催された。

第1部では「安保法制と憲法」という題で、憲法学者である木村草太・首都大学東京教授が講演。第2次安倍政権発足時から安保法制が施行されるまでの出来事を分析し、憲法9条や集団的自衛権の学界の通説を紹介するなどした。また、安倍政権がどのように9条を解釈した上で、安保法制が成立したのかを解説。現在の状況では憲法9条改正は「きわめて困難な状況になっている」と指摘した。

第2部では7月3日に創価学会本部前で行なわれた「サイレントアピール」(詳細は小誌7月8日号参照)に参加した安保法制に反対する現役の複数の創価学会員が発言した。Aさんは「なぜ公明党は、平和をなくしたいと思う党と連立を組むのか」と疑問を投げかけた。公明党が原発推進を掲げることを批判するBさんは映画『100,000年後の安全』を同じ創価学会員に紹介しても、「そういう情報は嫌われた」と言う。

また、同じく登壇したCさんは、池田大作名誉会長が会長を退任した1979年頃から、「地元幹部が威張りはじめた」と主張。幹部の堕落に意見したことで、組織内で無視されるなど「要注意人物」とされた過程を説明した。

主催者の小平秀一さん、滝川清志さん、野口裕介さんの3人も学会本部に意見したことでさまざまな圧力を受け、創価学会から懲戒解雇され、最終的には除名された。「言いたいことを言えないのは創価の組織ではない。目を覚ましてほしい」という彼ら彼女らの思いは今後も広がっていくだろう。9月18日には再び創価学会本部前でサイレントアピールを実施する。

(赤岩友香・編集部、9月2日号)

事故多発する「つくばエクスプレス」、労基署に告発も(片岡伸行)

8月23日夕の北千住駅。秋葉原行きつくばエクスプレスの発着時、駅ホームには係員の姿はなし。5月24日にはここで、高齢男性の杖がドアに挟まれるトラブルが起きた。(撮影/片岡伸行)

8月23日夕の北千住駅。秋葉原行きつくばエクスプレスの発着時、駅ホームには係員の姿はなし。5月24日にはここで、高齢男性の杖がドアに挟まれるトラブルが起きた。(撮影/片岡伸行)

つくばエクスプレスで問題が多発している。8月18日に千葉県・南流山駅でドア挟み事故、同28日には危険ドラッグ所持容疑で運転士の逮捕……。内部告発を元に取材を進めると、運行する首都圏新都市鉄道(株)の安全軽視の経営実態が明らかになってきた。

多発するドア挟み事故

第3セクター方式で設立された「つくばエクスプレス」(TX)が開業し、8月24日で11年。研究学園都市(つくば駅、茨城県)からIT(情報技術)の街(秋葉原駅)まで58・3キロメートルを最速45分間で結ぶ、踏切なしの快適路線だとPRされる。しかし……。

後に掲載するように、4、5月の2カ月だけで6件の事故・トラブルが発生。とくに「ドア挟み」は死傷事故に直結する危険性がある。つくばエクスプレスの車両ドアは厚さ1・3センチ以上の物の挟み込みを検知すると、発車できない仕組みになっている。しかし、八潮駅(埼玉県)と流山おおたかの森駅(千葉県)のトラブルでは、いずれも検知の基準未満だった上、運転士や駅ホーム係員も気づかなかったという。

事故・トラブルの連続発生を重く見た関東運輸局鉄道部の安全指導課による保安監査が5月24日から4日間実施された。翌6月21日、つくばエクスプレスを運行する首都圏新都市鉄道(株)(柚木浩一代表取締役社長、本社・東京都台東区)で、柚木社長以下役員と幹部の出席による2016年度「第1回鉄道安全委員会」が開かれた。当然ながら、安全対策が主題だ。ところが、この会議では以下のような驚くべき発言がなされたという。

柚木社長が「出発時の車両ドアへの荷物挟み込み事故」について、「今までにも同事象は発生していたのか」と、まるで部外者のような質問をする。それに対し、「運輸部」が、2012年度=5件、13年度=11件、14年度=14件、15年度=12件、16年度=4件(4月1日から6月20日までの2カ月半余の期間のみ)と、過去5カ年度の発生件数を報告。すると、柚木社長は「年間10件前後発生しているのであれば、現時点では減少傾向である。しかし、しばらく経つと同事象が再び発生する可能性もある」などと言い放ったという。

同日までの2カ月半余でドア挟み事故が4件発生しているにもかかわらず、どのような判断基準で「減少傾向」と言えるのだろうか。

しかし、この柚木社長のひと言で、ドア挟み事故対策は「ソフト面による対策」(列車乗務員や駅係員による対応強化)を講じることになり、JR東日本や東京メトロなどで導入しているホームドアの「3Dセンサー」など、同社の試算で十数億円かかるとされる「ハード面の対策」は事実上先送りされた。安全にカネはかけず、社員任せの対策を優先した格好だ。

どこが「減少傾向」か!?

柚木社長は、08年には国土交通省運輸安全委員会事務局長を務めており、国交省本省からの“天下り”だ(前職は東京メトロ)。同社の現役乗務員Aさんは言う。

ホームドアセンサーは上下に2カ所(印)。その間に挟まった物は検知しない旧式のものだという。(撮影/片岡伸行)

ホームドアセンサーは上下に2カ所(印)。その間に挟まった物は検知しない旧式のものだという。(撮影/片岡伸行)

「2カ月あまりでドア挟み事故が4件発生しているのに、『減少傾向』と言うのは安全軽視の、恐ろしい発言。その発言に、誰も疑問を差し挟まないのもおかしい」

実は、関東運輸局による保安監査初日の5月24日、北千住駅(東京都)で区間快速に乗ろうとした高齢男性の杖がドアに挟まれるトラブルが起きた。前述のとおり、同社の検知器は古いタイプのもので、細い杖が挟まれても検知できない。未公表のこのトラブルを同社に確認すると、いったんは「まったく把握していない」(広報課)としたが、「当事者から苦情を受けた本社運転課が北千住駅に連絡をしているはず」と指摘すると、一転して苦情があったことを認めた。あまりに杜撰な対応ではないか。

「しばらく経つと同事象が再び発生する可能性もある」との柚木社長の“予言”はその後も的中する。7月13日には、流山おおたかの森駅で乗客が車両とホームの間に挟まれ転落、そして今回の杖挟み事故と運転士逮捕である。労働現場で何が起きているのか。

(かたおか のぶゆき・編集部、全文は『週刊金曜日』9月9日号でお読みください)

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「つくばエクスプレス」で起きた事故・トラブル2016年4月〜8月

▼4月13日 車両基地で、木製の手歯止め(車輪とレールの間に噛ませるくさび形の器具)が置かれたまま発車するトラブル。

▼4月28日 午前7時40分ごろ、埼玉県の八潮駅で上りの快速列車が乗客のバッグと傘の一部をドアに挟んだまま発車。

▼5月14日 八潮駅で乗客のバッグをドアに挟んで走行、隣の六町駅手前で緊急停止。

▼5月16日 流山おおたかの森駅で乗客のバッグの一部をドアに挟んだまま走行。

▼5月19日 北千住駅で降車客から荷物が挟まっているとの申告があり運転士が対応。

▼5月24日、北千住駅で区間快速に乗り込もうとした高齢の男性の杖がドアに挟まれる。

▼7月13日 流山おおたかの森駅で乗客が車両とホームの間に挟まれる転落事故。

▼8月18日 午前11時20分ごろ、南流山駅で上り快速電車に乗り込もうとした70代の高齢者の杖をドアに挟んだまま隣の三郷中央駅近くまで走行し緊急停止。

▼8月28日 40代の運転士が14年8月に危険ドラッグを所持していた疑いで逮捕。

(同社発表などに基づき筆者作成)

蓮舫氏と前原氏が一騎打ちの民進党代表選の争点――「野党連携」路線引き継ぐのか

民進党代表選は蓮舫氏(左)と前原誠司氏が一騎打ちの構図。(撮影/横田一)

民進党代表選は蓮舫氏(左)と前原誠司氏が一騎打ちの構図。(撮影/横田一)

民進党代表選に出馬表明をした蓮舫代表代行に続き、前原誠司・元外務大臣が8月26日に出馬会見。一騎打ちの構図となる中、岡田克也代表が進めた「野党連携路線」を引き継ぐのかが大きな争点だ。

蓮舫氏は5日の会見で「参院選では安保法や憲法で考えを同じくした野党、国民と大きなうねりを作れた。新しい動きは大切にしたい」と評価する一方、「衆院選の場合は政権選択になるので、綱領や政策が大きく違うところとは一緒に政権を目指すことができない」「野党連携のあり方を含め、参院選の結果を検証したい」とも指摘。

しかし、今回の参院選では3年前に比べ、1人区は2から11に5倍以上、民進党も倍増。検証をすれば、「どん底から復調傾向に戻した岡田代表路線を継承」という結論に至りそうだが、蓮舫氏の立場は23日の日本外国特派員協会での会見でも不明瞭なままだった。「(岡田路線継承について)参院選1人区では一本化は望ましかったが、東京選挙区では野党は敵だった。それは路線ではなく、各選挙区と地域事情による一つの戦術」。

前原氏も衆院選での野党連携に慎重。「参院選1人区で(野党が)4項目で合意、協力したことは一定程度の成果があった。ただ政権選択の衆院選では、外交・安全保障・内政で基本的な考え方が一致しなければならない。考え方が違うところと組むことは野合だ」。

しかし自公は基本政策が食い違う野合をしながら政権維持。厳密な政策の一致にこだわると、選挙上不利になる恐れがある。そこで「参院選と同じような大まかな政策合意の岡田路線の方が有利ではないか」と聞くと、前原氏はこう答えた。「旧民主党の政権交代の時は多くの無党派層が共鳴、我々は大勝した。多くの国民の琴線に触れる政策を訴えるのが第一。まず基本政策を打ち出し、協力できる党と協力を行なうことが大事です」。

今後、両者の論戦が注目される。

(横田一・ジャーナリスト、9月2日号)

〈編集部注〉その後、玉木雄一郎国対副委員長が立候補したため、民進党代表選は3氏の闘いとなっています。

10月の東京・福岡両補選、分裂選挙含みで波乱必至――無理筋を推す麻生氏の狙い

今年10月に実施される衆議院東京10区と福岡6区の両補選が、自民党の“火薬庫”となっている。両選挙区ともに分裂選挙となる可能性が出ているのだ。

東京10区は都知事選に立候補した小池百合子氏の後任を決める選挙で、若狭勝衆議院議員(比例東京)の名があがっている。若狭氏は都知事選で党の方針に反し、公然と小池氏を応援した。党内に根深い遺恨があるなか、自民党が若狭氏以外の候補者を立てれば分裂選挙の再来となる。

自民党にとって、もっと頭が痛いのが福岡6区だ。6月に他界した鳩山邦夫前衆議院議員の弔い合戦となるが、地元の麻生太郎副総理・財務相が、8月に就任した二階俊博幹事長をつきあげているのだ。

麻生氏が推すのは自民党福岡県連会長(蔵内勇夫県会議員)の息子、蔵内謙(参院議員秘書)氏。県連はすでに党本部に公認を申請している。

一方、鳩山氏の息子、二郎氏を推すのは二階派(志帥会)所属の武田良太衆議院議員・元防衛政務官。2011年の福岡県連会長選では元首相の麻生氏と激突し、しかも制した。

調整役を買われて幹事長に就任した二階氏は目の前の難題に頭を抱えている。麻生氏は、そんな二階氏に「まさか県連の方針を覆すことはないでしょうね」とプレッシャーをかけている。

麻生氏の推す県連会長の息子か、それとも鳩山ジュニアか――。 自民党関係者が解説する。

「麻生側の言い分は筋が悪い。蔵内謙はもともと福岡7区の人間だし、わざわざ隣の6区に、しかも鳩山邦夫の弔い合戦に候補者を立てるなんて、後世に禍根を残すことになる」

筋ワルぶりは他にもある。

「そもそも県連会長が自身の息子を公認しようとする時に県連幹部が反対できるわけがないでしょう。入社面接試験で面接官が社長の息子にバツを付けられないのと同じです。麻生の狙いは、6区に謙を出してやり、福岡県知事選に出たがっている父親の勇夫を県知事にしてあげることで県連会長に恩を売ることです」

【「菅vs.麻生」再び、か】

福岡6区の波紋は県をとびこえ安倍官邸にも及んでいる。先の自民党関係者は「実は、安倍晋三首相や菅義偉官房長官も内心では鳩山二郎を推しています」と明かす。

それには、鳩山邦夫氏が11年6月に結成した派閥横断型の政策グループ「きさらぎ会」の影響が大きい。当初5人でスタートした同会は、鳩山氏の豊富な資金力を武器に急速に入会者を増やし、現在では約120人に達する。党内最大派閥の清和政策研究会(細田派、95人)を上回る勢力だ。

邦夫氏は15年8月、きさらぎ会の研修会で「我がきさらぎ会は安倍・菅さんという長期政権を、より長期に、これからも継続してやってもらいたい」と安倍・菅体制をヨイショ。これに菅氏は同年11月の同会パーティで、安倍首相の党総裁再選について「きさらぎ会にいち早く再選支持を打ち出していただいたおかげ」とわざわざ持ち上げて見せた。

さらに邦夫氏死去後の今年7月28日、菅氏は同会の顧問に就任したことを会見で明かした。権力の源泉が公明党・創価学会である菅氏は自民党内の基盤強化が必須だっただけに上手くタイミングをつかんだ恰好だ。

面白くないのは麻生氏だ。消費税増税の再延期や衆参同日選の是非をめぐって菅氏とは激しく衝突してきたが、ここで三度目の一戦を交えることになった。しかも、8月上旬に自民党が実施した世論調査で、蔵内謙氏が鳩山二郎氏にボロ負けするという結果まで出てしまっている。

この世論調査の結果をうけ、自民党の古屋圭司選挙対策委員長は8月23日、蔵内謙氏に公認申請を取り下げるよう求めた。候補者を二郎氏に一本化するための措置だが、県連が決定した候補者を党本部がさしかえようと動くのは異例。麻生氏の苛立ちが日増しに募ってゆく。

(野中大樹・編集部、9月2日号)