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伊方原発反対集会に700人――アンケートも過半数反対

集会に駆け付けた鎌田慧氏。7月24日、愛媛県伊方町。(撮影/粟野仁雄)

集会に駆け付けた鎌田慧氏。7月24日、愛媛県伊方町。(撮影/粟野仁雄)

7月24日、「みんなで止めよう伊方原発」と銘打った全国集会があり、原発が見下ろせる愛媛県伊方町九町の「道の駅伊方きらら館」に約700人が集結した。

「八幡浜・原発から子供を守る女の会」の斉間淳子さんが「こんなに集まって下さった姿を近藤誠さん(『南海日日新聞』記者・15年没)たちに見せたかった」と挨拶。ルポライターの鎌田慧氏が「長い闘いの中では四国電力に騙されて土地を売ってしまい自殺した奥さんもいた。でも今、原発反対運動は勝利しつつあるんです」と強調した。「ストップ川内原発! 3・11鹿児島実行委員会」の野呂正和氏が「鹿児島県知事選では三反園(訓)さんを勝たせました」と報告、「よしっ」と声が上がった。

翌日、残った有志が原発ゲート前に集合した。参加者より多い警官が現れ、難癖をつけては中断させたが、福井県小浜市の中嶌哲演氏が「大阪など電力消費地の意識が問われている」などと訴えた。

愛媛県有機農産生協の秦左子さんは「三崎高校で予定された避難訓練は当日、天候が悪いからと中止しました」と指摘した。愛媛県は原発より半島先方向の住民の海上避難を検討したが、荒天時対応を問われると防護シェルター建設を言い出している。西予市のブルーベリー農家松井勝成氏は「この辺は地盤が弱い。大地震でトンネルが崩れたら絶対に逃げられない」と怒る。伊方町で泊まった民宿の女性は「稼働停止で同業はばたばた潰れていますが原発には反対です」と打ち明けた。

町民の多くは表立って反対を言わないが、「伊方原発50㎞圏内住民有志の会」の葉書アンケート結果のパーセントは熊本地震前にもかかわらず賛成26・6、反対53・2、どちらともいえない20・2だ。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、8月5日号)

沖縄防衛局辺野古事務所のこっそり移転で広がる波紋――新基地利権調整団体で内紛か

8月1日から業務開始の防衛局辺野古事務所。CSSに家賃等を払い続ける。(撮影/本誌協力者)

8月1日から業務開始の防衛局辺野古事務所。CSSに家賃等を払い続ける。(撮影/本誌協力者)

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐって国がふたたび沖縄県を提訴し、高江(東村)のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設も強行しようとしているさなか、沖縄防衛局の辺野古事務所が近所の別の建物に引っ越しをしていたことがわかった。元の事務所は老朽化が進んでいたため、防衛局は移転先を探していた。引っ越し作業は7月23日からはじまり、8月1日から業務を開始している。

事務所が移ったのは最近完成したビルの一室だが、実は、このビル建設と事務所移転に関して地元で業者らが紛糾しているという。

施工したのは名護市に隣接する宜野座村に本社を構える㈱新都市エネルギー。法人登記には「地域循環型の農業の推進と活性化」などと記されているが、役員には同村の仲程土建㈱や㈲玉城電気設備の社長らが入っている。事実上のディベロッパーである。

この4月、記者が工事現場に赴いた時には「新都市エネルギー自社ビル新築工事」と看板に書かれていた。ビル所有者は新都市エネルギーになるが、どういう経緯で建設するに至ったのか? 代表取締役社長の玉城進一氏に聞くと「CSSから依頼があったので建設した」と答えた。CSSとは一般社団法人キャンプ・シュワブ・サポートのことで、辺野古新基地関連工事を地元の業者が優先的に受注できるよう利権調整する組織だ。辺野古区(嘉陽宗克区長)や名護漁業協同組合(古波蔵廣組合長)ら地元有力組織もCSSに数百万円ずつ拠出している。

CSSが新都市エネルギーに「建設を依頼した」というのは事実なのか。CSS相談役の藤沢一馬氏に話を聞いた。

「ビルは新都市エネルギーの玉城さんたちが、自分たちや辺野古工事関係者が半宿泊施設として使えるようにと構想したものです。辺野古区の土地ですから、地元の調整役を担うという形でCSSが(運営)管理者になることになりました。防衛局はまったく関係ないし、引っ越すはずもありませんでした。ところが7月に入って辺野古の工事が部分的に再開されることになったため、防衛局から『入居してもいいか』とCSSに打診があったのです。それでCSSはOKを出した。防衛局が入居することになったのは偶然です」

建設理由について両人の説明には明らかな食い違いがあるが、それには理由があるという。

【最初から防衛局が関係か】

2月のCSS理事会では次のような議論が起きたという。CSS関係者が明かす。

「出席者の1人が『CSSは地元(名護市)の業者が優先的に仕事をとるために存在しているのに、なぜ隣町(宜野座村)の業者が建設することになったのか。CSSが機能していないではないか』と声をあげたのに対し、進める人たちは『防衛局がそれを望んでいるのだから、われわれが関知することではない』と一蹴したのです」

地元の業者が手がけるはずの仕事を他の市町村の業者にとられたことに異論が出たのだが、抑えられたという。事情通が明かす。

「実は、ビル建設を新都市エネルギーに担わせ防衛局に入居させるまでのスキームを描いたのは藤沢氏なんです。はじめから防衛局と〝密約〟を交わしていました」

藤沢氏は東京・市ヶ谷にある㈱パシフィック総研(長野俊郎代表取締役会長)の“ひとり沖縄支社”のような動きをしている。同社は佐藤正久参議院議員事務所と同じビルに事務所をかまえている。ちなみに辺野古のビル建設にかかわった仲程土建の正面玄関には佐藤氏の看板が立てられている。

辺野古のビル建設と防衛局の移転スキームを描いた疑惑について、藤沢氏は記者の取材を否定した。藤沢氏に同調する古波蔵氏や名護市議の宮城安秀氏も記者の取材に「知らない」と言い通した。

本誌は沖縄防衛局に対し、辺野古事務所の引っ越しについて「いつ入居を決めたのか」「どういう理由、経緯で決めたのか」などを複数回にわたって質問したが、一度も回答はなされていない。

(野中大樹・編集部、8月5日号)

参院選が終わった途端、介護保険サービス縮小へ――自立を損ね重度化する恐れも

参議院議員選挙での圧勝を受け、安倍晋三政権は介護保険のサービス縮小を中心とする制度見直しにアクセルを踏み始めた。最大の焦点は、軽度者への生活援助を保険の対象から外すかどうかだ。国の財政が逼迫する中、政権の本音は介護費用の抑え込みにある。しかし、それは与党が参院選で掲げた「介護離職ゼロ」などの介護充実策と真っ向から食い違う。

参院選から10日後の7月20日。厚生労働省2階の講堂であった、厚労相の諮問機関、社会保障審議会介護保険部会では、各委員に「軽度者への支援のあり方」「福祉用具・住宅改修」との表題がついた厚労省の資料が配られた。資料には、過去の経緯と「制度の持続可能性の観点を踏まえた対応について、どう考えるか」といった漠然とした論点が記されているだけだったが、当局の意向が「軽度者切り」にあることは透けて見えた。

部会で経団連の井上隆常務理事は、「介護保険の持続可能性の観点から、要介護3以上の人にサービスを重点化していくことを考えざるを得ない」と口火を切った。

介護保険の認定は介護の必要度に応じ、要支援1~2、要介護1~5の計7段階に分かれている。最も介護の必要度が低いとされる要支援1~2の人(約175万人、厚労省、今年4月現在。以下同)への生活援助サービスは、昨年から順次、市町村事業に移しており、厚労省の次の標的は要介護1(約122万人)と要介護2(約108万人)の「軽度者」だ。

「状態が悪化しないか不安でなりません」。東京都世田谷区で独り暮らしをする要介護2の女性(77歳)は、そっとため息をついた。

女性は手がしびれ、週3回、ヘルパーに家事を手伝ってもらっている。年金暮らしで、生活援助が保険から外れたら、自分では払えない。「風呂桶を1人で洗うのは大変。手伝ってもらいながら洗うことが、リハビリにもなっていると思うのだけれど」と話す。

軽度者への生活援助カットについて、介護の現場からは「利用者の自立を損ね、かえって重度化する」との異論も出ている。それでも厚労省は、来年の通常国会への介護保険法改正案提出を目指し、年内にサービス縮小案をまとめる腹だ。具体策として、軽度者に対する掃除や調理などの生活援助サービスや、歩行器の貸し付け、住宅への手すり取り付けなどを保険から外す案をちらつかせている。

このほか、厚労省は介護保険の自己負担割合(原則1割)の引き上げや、負担額に上限を設けている「高額介護サービス費」の限度額アップも視野に入れる。自己負担割合は、65歳以上の人全体のうち、所得が上位20%程度の人に限って昨年8月から2割に引き上げられたが、同省はこの対象をもっと広げようとしている。

【「介護離職ゼロ」に逆行】

背景には、高齢化に歩調を合わせて膨れ続ける介護費用の問題がある。介護保険発足の2000年度に3・6兆円だった介護費は、16年度には10兆円を超す勢いとなっている。当初、3000円を切っていた65歳以上の平均保険料は月額5514円へ急増した。25年度の介護費は20兆円、平均保険料は8165円に達するとみられ、財務省や厚労省は軽度者の6割程度が利用する生活援助を格好の縮小対象とみなしている。

安倍政権は参院選直前に「1億総活躍プラン」をぶち上げ、そのメインの一つに「介護離職ゼロ」を掲げた。親などの介護のため、年間10万人を超す人が仕事を辞めている現状を改めるため、介護の受け皿を50万人分増やすという構想だ。選挙中はこちらばかり前面に出し、サービス縮小の具体的な議論は「野党につけいる材料を与えるだけ」(自民党中堅議員)として参院選後に先送りした。

そして選挙が終わるや、軽度者の生活援助カットの議論を具体化させ始めた。ただし、本当に進めるなら介護に追われる働き盛りの人への打撃となり、介護離職ゼロには逆行する。こうした行き当たりばったりの政策が続く以上、国民の社会保障制度に抱く不安感はいつまでたっても解消されない。

(吉田啓志・『毎日新聞』編集委員、8月5日号)

“小池劇場”で与野党からも票集め都知事選圧勝だが――都政の課題は待ったなし

“劇場”型選挙で都知事選の座を射止めた小池百合子氏。7月31日。(撮影/横田一)

“劇場”型選挙で都知事選の座を射止めた小池百合子氏。7月31日。(撮影/横田一)

7月31日20時、JR池袋駅前の小池百合子候補の事務所で支持者から歓声が上がった。投開票終了と同時に当確が出たためだ。すぐに小池氏が現れて万歳をした後、「これまでにない、見たこともない都政を進める」と挨拶をした。

東京都知事選(31日投開票)で元防衛大臣の小池氏(無所属)が約291万票を得票、自公などが推薦する元総務大臣の増田寛也氏(約179万票)と民進・共産・社民・生活などが推薦するジャーナリストの鳥越俊太郎氏(約135万票)らを破った。勝因は、自民党都連のドンで除名文書も出した内田茂幹事長を悪代官にする選挙戦を展開、「都政を牛耳る自民党都連が担ぐ増田氏対闇に斬り込む小池氏」という勧善懲悪の選挙戦に仕立てたことだ。

街宣(〝小池劇場〟)では、除名覚悟で駆け付けた若狭勝衆院議員(元東京地検特捜部副部長)が「私は誰から何と言われようが負けません」「初の女性都知事誕生を」とアピールすると、超党派で応援する都議有志の音喜多駿都議(北区選出)が「内田氏は猪瀬直樹知事と舛添要一知事の去就を左右するほどのドン」と名指しした上で「若狭先生が加わった利権追及チームを立ち上げ、闇に斬り込む」と呼びかけた。都政を刷新する存在として小池氏への期待が高まったのだ。

一方、既成政党は与野党とも精細を欠いた。30日、増田氏の立川駅での街宣には自公の幹部が次々と駆け付けた。菅義偉官房長官や石原伸晃大臣(都連会長)や茂木敏充選対委員長、公明党選対責任者の斉藤鉄夫衆院議員が支持を訴えたが、大差をつけられた。得意の組織選挙が通用しなかったのだ。

野党統一候補擁立のドタバタ劇も見るに堪えなかった。8日に出馬表明をした石田純一氏が3日後に断念、今度は元経産官僚の古賀茂明氏が最有力となり、松原仁・都連会長(衆院議員)が11日に出馬要請をして握手をする場面が報道された。しかし深夜にかけて民進党執行部は強引に鳥越氏に乗換えたのだ。これでは民進党が一丸になって動くはずがない。

これに週刊誌報道も加わって、序盤戦で1位だった鳥越氏は2位から3位へと失速。民進党支持者の約4割、共産党支持者の約2割が小池氏に流れた。

【試金石の豊洲移転問題】

劇場型選挙で勝利した小池氏だが、改革派のイメージを現実化する課題を負った。当確後に小池氏は、膨らんだ五輪関係予算などを検証する「第三者委員会(利権追及チーム)」を設置すると述べた。若狭氏も囲み取材で「早急に設置すべき」「検証対象には1・5倍に工事費が膨らんだ豊洲新市場建設も含まれる」と意気込んだ。

11月7日に予定されている「豊洲移転問題」も待ったなしだ。しかも小池氏は22日の築地街宣で次のように訴えていた。「土壌汚染の安全性の確認、豊洲のさまざまな使い勝手の問題などについて、移転をする人の納得をいただく。そのためには、一歩立ち止まって考えるべきだと思っております」「築地市場の豊洲への移転問題、都民の都民による都民のための都政ではなくなっている最たる例ではないかと思っています」。

小池氏は演説後、築地関係者の「躍進する市場の会」会長の関戸富夫氏から開場予定日の見直しなどを求めていた要望書も受け取ってもいた。関戸氏が「11月7日の延期はもちろん、築地での営業継続が可能な抜本的見直しに踏み込む決意表明と理解しました」と期待したのはこのためだ。

また豊洲移転問題に詳しい一級建築士の水野和子氏は、こう話す。

「すでに土壌汚染の情報は公開され、施設内の発がん性物質濃度が基準値以上になる恐れが明らかになっています。小池氏は『情報公開が第一』と言っていますが、公開データを直視すれば、豊洲移転中断を検討せざるを得なくなる。ここまで踏み込むのかが試金石です」

しかし都は、選挙中に築地市場の解体工事を発注するなど移転強行の姿勢。小池新知事とのバトルが就任直後から始まることになる。

(横田一・ジャーナリスト、8月5日号)

明石歩道橋事故で元副署長――時効の「免訴」確定に疑問

明石歩道橋事故から15年、事故現場を訪れた遺族ら。7月21日。(撮影/粟野仁雄)

明石歩道橋事故から15年、事故現場を訪れた遺族ら。7月21日。(撮影/粟野仁雄)

2001年7月21日夜、兵庫県明石市の歩道橋で花火大会を見にきていた子ども9人を含む11人が圧死し、247人が重軽傷を負った群衆事故から15年。9歳の長女と7歳の長男を失った有馬正春さん(57歳)、8歳の二女を亡くした三木清さん(47歳)ら遺族が橋を訪れ、通路脇に作った「想いの像」に花を手向けて手を合わせた。

少し前の12日、最高裁第三小法廷は、検察審査会により業務上過失致死傷罪で強制起訴されていた事故当時の明石署副署長、榊和晄被告(69歳)について、「強制起訴時点では公訴時効」とした大阪高裁判決を支持し、遺族らの上告を棄却、「免訴」が確定した。三木さんは「悔しい、娘にも報告しにくい」と話したが、2歳の二男を失った下村誠治さん(58歳)は、「やれることはやった。副署長の怠慢も法廷で明らかにできた」と評価した。

本事故では、明石署の元地域官や警備会社支社長、明石市職員らが有罪となったが、神戸地検は「事故を予見できなかった」と元副署長を不起訴にした。10年の強制起訴でも被告・弁護側は「発生から5年以上経ち時効」と主張した。

一方、検察官役の指定弁護士は「共犯者の元地域官の裁判中は時効が停止される」と反論したが、最高裁は「地域官と副署長の役割は違う」と共犯を否定した。

この事案は、司法改革で検察審査会の2度の「起訴相当」議決で強制起訴されることになった、最初の適用だった。しかし、同一事件なのに、検察起訴ではない強制起訴の時点で時効が適用されてしまうことも再考の余地がある。

当時の署長は死去し、警察トップらの刑事責任は問えなかったが、下村さんらは講演などで再発防止を強く訴え、明石歩道橋事故以後は全国的にも死者が出る群衆事故は起きていない。天国の子どもたちも親たちの奮戦に拍手しているだろう。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、7月29日号)

NHK新経営委員長に「日本会議福岡」名誉顧問――NHKが事実上の回答拒否

「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」(湯山哲守・醍醐聰共同代表)は7月8日、「日本会議福岡」名誉顧問の石原進JR九州相談役が、このほどNHKの新経営委員長に就任した問題で、石原氏と経営委員会に対し、「名誉顧問の職を退くべきではないか」等の項目を連ねた質問書を提出した。

今回の石原氏の新経営委員長就任は、経営委員からの事実上の「昇格」だ。石原氏は委員時代、「(放送内容が)政府とかけ離れたものであってはならない」などと数々の暴言を吐いた籾井勝人氏がNHK現会長に就任するに当たり、強く推薦したことで知られている。

質問書は、(1)委員時代、「公共放送の信頼を失墜させるような言動を繰り返した」籾井氏を会長に推薦した責任を感じているのか(2)2012年11月に「原発を全廃すれば……日本の産業は死ぬ」などと発言したことは「NHKの政治的公平」に疑念を生み、慎むべきではないか(3)「公共放送を監督する組織の長として」、「日本会議福岡」の名誉顧問職を退くべきではないか――等の5点に及ぶ。

またこれとは別に経営委員会と経営委員に対しても、一部の新聞で経営委員が「政権・与党サイドの関係者から、石原氏を推薦するよう求められた」と発言したと報じられた問題について、経営委員としてそうした働きかけに「どう対処したか」の回答を求めている。

21日に前掲の「コミュニティ」宛にNHK経営委員会事務局名の回答文書が一通だけ届いたが、「個別のご意見、申し入れなどに対する回答は、差し控えさせていただいております」とあり、事実上の回答拒否だ。なお(3)については、「日本会議福岡」のHPから、以前石原氏の同「福岡」の名前と役職を明記していた箇所が現在、説明もなく削除されている。

このため「コミュニティ」は23日、再度誠意ある回答を求める文書をNHK側に提出した。

(成澤宗男・編集部、7月29日号)

「地域交流行事」の一環として5年前から実施――公立中学生が米軍「訓練」に参加

米空軍横田基地のホームページより。中学生との「交流」の様子が報告されている。

米空軍横田基地のホームページより。中学生との「交流」の様子が報告されている。

東京都武蔵村山市の公立中学校の生徒がこのほど、横田基地の米空軍が指導する「ミニ・ブートキャンプ」と称した新兵訓練の一環の行事に参加していたことが判明し、問題になっている。

この行事に参加したのは、市立第五中学校の3年の生徒33人。横田基地の日本語のHPによると、米軍第374医療支援群のメンバーが7月2日、米兵の新兵訓練で実施した「障害物競走コース」に参加した。

さらにHPによると「生徒たちに(軍隊の)整列の動作、マーチング、障害物コースの進み方等を教えた」とされ、軍事訓練そのものである実態が示されている。そのほか、「生徒たちと交流できたことは有意義な経験だった」とする軍側の責任者のコメントが引用されるとともに、「生徒達はアメリカ空軍の一部を垣間見、知る機会を得た」と結んでいる。軍隊式の敬礼をしたり、顔に迷彩色を塗り、地面をほふく前進訓練する生徒の写真も掲載されている。

武蔵村山市教育委員会によると、今回の参加は同中学校の主催で、「地域交流行事」参加の一環とされ、こうした「交流」は、5年前から実施しているという。また、今回の参加について、「内容自体は特に問題はない」と語っている。

20日には、東京都教組北多摩西支部の組合員や共産党の都議、武蔵村山市議らが同教育委員会と会見。席上、教育委員会側は、「米軍の軍事訓練に生徒を参加させるのは問題だ」との指摘に対し、「あくまで(米兵との)交流を目的にした内容」だとして、軍事訓練という認識は持っていないと述べた。

だが横田基地は、アフガニスタン・イラク両戦争で米本土と戦場との輸送中継機能を発揮した。さらに同基地から医療や整備関連の兵士も派兵されており、こうした侵略拠点の基地との「交流」が「教育」と何の関係があるのか、第五中学校側は考えるべきだ。

(成澤宗男・編集部、7月29日号)

英国「武力行使は最後の手段ではなかった」――日本のイラク戦争検証を問う

イラク戦争の教訓から学ぶことの必要性を説く柳澤協二元内閣官房副長官補。(撮影/志葉玲)

イラク戦争の教訓から学ぶことの必要性を説く柳澤協二元内閣官房副長官補。(撮影/志葉玲)

イラク戦争を米国と共に主導した英国で、7月6日に独立の調査委員会が開戦の経緯などを検証した報告書をまとめた。これを受け、日本のイラク戦争検証を問うシンポジウムが16日、東京都内で開催された。

今回、英国のイラク戦争調査委員会がまとめた報告書は、『ハリー・ポッター』シリーズ全巻の2・6倍という膨大な分量で、そのすべてがネット上で公開され、誰でも読める。これに対し、日本では外務省が2012年末に検証結果をまとめたものの、公開されたのは、A4判用紙4枚というわずかなものだった。シンポを主催した、NPO「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は、昨年7月に提訴した、外務省検証の全容の公開を求める訴訟について報告。報告書の序文の一部は開示されたものの、検証の項目以外は、真っ黒の墨塗り状態だった。三木さんらは今後も全面的な開示を求め、裁判を続けていくという。

シンポでは、高安健将・成蹊大学教授が、イラク攻撃について「最終手段ではなかった」「国際法の根拠があるとは言えない」などの英国の検証結果を解説。「英国には反省の伝統がある」と語った。『毎日新聞』の笠原敏彦・元欧州総局長は「英米の利益と判断と異なるなら、無条件に支援する必要はないというのが、英国の検証の最大のメッセージ」と指摘した。柳澤協二元内閣官房副長官補は、「自衛隊イラク派遣は、まだ憲法の枠内で歯止めがあったが、安保法制ではそれ以上のことをやろうとしている」「(「武力行使は最後の手段ではなかった」という)英国の検証報告を日本にも置き換えて考えていく必要がある」と、日本でもイラク戦争の教訓から学ぶことが必要だと説いた。

イラク戦争検証は、安保法制や改憲を推し進める、安倍政権の暴走を止める上でも、重要なのだろう。

(志葉玲・ジャーナリスト、7月29日号)

モンゴル大統領だけがご満悦のASEM――地政学的な要衝を顕示か

ASEM前日、ホテルに着いた安倍首相。7月14日、モンゴル・ウランバートル。(撮影/成田俊一)

ASEM前日、ホテルに着いた安倍首相。7月14日、モンゴル・ウランバートル。(撮影/成田俊一)

アジアと欧州の51カ国の首脳が参加した第11回目のASEM(アジア欧州会議)首脳会合が7月15、16日の両日、モンゴル・ウランバートルで開かれ、アジア側21カ国、欧州側30カ国の代表が参加。膨張したシリア難民やイギリスのEU(欧州連合)離脱問題、南シナ海問題、さらには頻発するテロ事件など世界的な課題を抱える中で開催された。期間中の15日(日本時間)にはフランスのニースでテロが起きた。ASEMも非難声明を出すには出したが、どちらかと言えば安全保障上の議論よりも、経済的協力関係の強化や再確認に終わった会議となった。

ただ目立ったのは、開催国モンゴルのエルベグドルジ大統領のホストぶりだろう。モンゴルに世界51カ国の首脳や700名を超えるマスコミ関係者一行が集まる初のサミット会議を主催するとあって、わざわざ各国首脳が宿泊する高級住宅やゴルフ場まで作った。

さらにはモンゴル最大の夏の祭典ナーダム特設会場までも作り祭りを見せた。ここで各国首脳を大いに楽しませたことは間違いない。14日にモンゴルに入った安倍晋三首相も各国首脳らとモンゴル舞踊や相撲を見学、弓に興じたり休息を楽しんでいた。

この様子を取材していたモンゴルの現地記者によると「これだけの外国のVIPが集まっただけにモンゴル市内はさすがに規制だらけです。国会議員の選挙も終わりモンゴルが再出発しようというタイミングで開いたのがこのASEM。大統領も上機嫌だった。モンゴルの地政学的長所が各国の人にわかってもらえただろうからそれだけでも成功だったと思う」と感想を語った。

この記者が語ったモンゴルの地政学のことだが、ロシアと中国に挟まれたモンゴルは、北東アジアとヨーロッパを結ぶ交易上の要衝の性格を強めつつある。モンゴルが社会主義から民主化に移行して26年。アメリカやカナダ、そして日本などが民主化に移行して以来援助を続けているが、現在、モンゴル経済を牽引しているのは中国やロシア、韓国である。中国はモンゴルの金鉱山をはじめ資源に巨額を投じているし、ロシアは戦闘機を提供し、韓国は通信と商業施設開発に乗り出している。

ちなみに韓国からは今回のASEM開催用に数十台の観光バスを購入。モンゴル経済との交流を拡大させるためか韓国の朴槿恵大統領だけがASEMの後も数日滞在している。

【日韓の狙いは肩透かし】

ASEM首脳会合で日本の安倍首相はモンゴルのエルベグドルジ大統領、中国の李克強首相、ドイツのメルケル首相ら参加国首脳との短時間の個別会談に臨んでいたが、中国に対しては南シナ海の人工島に対する遺憾の意を語ったとか、拉致問題を含む北朝鮮問題を指摘したとか伝わっているが、その詳細は不明だ。

議長声明の中には「拉致問題を含む北朝鮮に関する人権状況等国際的・地域的に共通の関心と懸念を有する問題について(中略)意見交換。北朝鮮による核・ミサイル開発プログラムを最も強い表現で非難。北朝鮮に対して、関連安保理決議の完全な遵守、六者会合の再開を要求」という1項目が入っているが、この項目を議長声明に盛り込むことを強行に申し入れていたのは韓国と日本だった、とASEM関係者は指摘。しかし、ASEMの一連の会議で、北朝鮮非難の議論が沸騰したという情報はまったくなかった。その理由は、ASEMを主催したモンゴルが北朝鮮と友好関係にあるためだ。

北朝鮮を最も激しく非難する日本の安倍首相と韓国の朴大統領の狙いが肩透かしに見えたのは、なんといっても「北東アジアの平和と繁栄のためには北朝鮮を孤立化させない」というモンゴルのエルベグドルジ大統領の外交方針に起因する。

そのエルベグドルジ大統領をヨーロッパのある代表は「あなたは世界のリーダー」と持ち上げた。今回のASEMは、モンゴルが地政学的な要衝となっていることを示した。

(成田俊一・ジャーナリスト、7月29日号)

登山家ら「リニアで南アルプスを壊さないで」

発言する服部隆(右)。リニアで南アルプスを壊さないで登山者アピール実行委員会主催。(写真/宗像充)

発言する服部隆(右)。リニアで南アルプスを壊さないで登山者アピール実行委員会主催。(写真/宗像充)

「これ以上便利になっても仕方がない。山も下から丁寧に歩けばいいじゃないか」。山岳ガイドの山田哲哉さんが冒頭、約130人の登山家が埋める会場に投げかけた。登山家24人が呼びかけ人になり、南アルプスをトンネルで通過するリニア中央新幹線計画の中止を求め賛同運動を開始し、7月14日に東京都内でそのスタート集会を開催。山岳ガイドの岩崎元郎さん、文明品を使わない「サバイバル登山」を実践する服部文祥さんらが発言した。

事業主体のJR東海は昨年12月に山梨県側でトンネル工事に着工。長野県側でも今夏の着工を表明している。約25キロメートルのトンネル掘削の自然破壊だけでなく、山梨、静岡、長野の工事現場はいずれも南アルプスの代表的な登山基地だったため、10年以上の工事による登山への影響は大きい。

大井川源流部の残土や水枯れなどの影響を解説したクライマーの服部隆さんは「登山は不便だからおもしろい。リニアが南アルプスを通らなくても、リニア自体がいらないもの」と言いきり、岩崎元郎さんも「リニアは日本がダメになっていく象徴。便利になりさえすればいいという風潮にストップをかけたい」と表明。8月11日が今年から「山の日」になったのに対し、日本勤労者山岳連盟会長の西本武志さんは「南アルプスを壊してなんで山を大切にできるのか」と提起した。

(宗像充・ライター、7月22日号)