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キャラメルボックス復活公演
劇団を率いる成井豊の思いとは
2021年12月2日6:36PM
【活気あふれる稽古場】
稽古場は活気に満ちている。
「シーンの間の、台本に書いていない部分に何があるかは4回やってもやりつくすことができていません。新たな発見もあり意見を出し合っています」(成井、以下同)と議論も活発だ。
劇団初期は出入りが激しく、必ずしも愛着を持って入ってくる人が多いわけではなかったという。
「10年過ぎたあたりから、憧れてオーディションで入団する人が増えました。今回の公演の出演者のほとんどはファン出身。劇団に対する愛着があって彼らの熱さに驚かされます。自分がやっている時にこの劇団をつぶしたくないと強く思っているんだと思います」と裏打ちのある熱さに思いをいたす。
成井自身、「書いた時に考えていたことは覚えていない」ために台本には客観的になれ、作者というより演出家の目線になった。初演後の再演時以降はほとんどしないという書き換えにも取り組んだ。時代に合わない部分を修正したことで何かが吹っ切れ、大幅ではないが何度も書き換えたという。
劇団員の「自分たちでつくる」という意識の向上も感じる。「私は37年目で60歳、役者の主力メンバーは20年目ぐらいで40歳前後。年の差はありますが、対等に作品への意見を言ってもらえるので、36年やってきてよかったと感じています」と教え子たちの成長が頼もしそうでもある。
初演からは32年。登場人物のリアリティーには気を払う。「演劇のリアリティーはひとつだけある真実を追求するというより、時代の影響を受ける。私たちが演劇を始めた80年代のリアリティーって遊び心が大事で、生真面目にリアリティーを追求することを野田(秀樹)さんも鴻上(尚史)さんも否定したんじゃないでしょうか。私たちも役者が舞台上で躍動していればいいと思っていました」
だが演劇界では、90年代に「静かな演劇」が登場して現実感が重視され、2000年代にはアグレッシブな「劇団鹿殺し」のような流れと「ロロ」のような(ジャンル横断の)手法や「チェルフィッチュ」のようなアート系も登場した。「混沌としてきました。でも、私たちのやりたいお芝居におけるリアリティーは常に考えています。劇団だと役者たちと話し合って革新していけるんです」とあらためて劇団の良さに気付いている。