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敗戦から66年を経て――築かれる日中「和解」の場

2011年11月11日4:17PM

石碑に刻まれた名前に触れる遺族。(撮影/山本柚)

 アジア・太平洋戦争における日本の敗戦から六六年が過ぎた。「戦争」の記憶が遠ざけられようとしているなか、加害者側と被害者側が時を重ね、「和解」といういとなみを足元から確かにしてゆこうという場所がある。

 水力発電所建設のため中国人三六〇人が労働を強いられ、二九人が亡くなった広島県安芸太田町(当時は安野村)で二二日、中国人受難者を追悼する集いがあった。遺家族ら四三人を含む約一三〇人が参列した。

 追悼碑は、現在も稼働する中国電力安野発電所内に昨年一〇月、建立された。両脇の碑には、強制連行された中国人全員の名前が刻まれる。式終了後、参列者は、工事現場や収容所跡地を歩き、故人や体験者の証言に耳を傾けた。

 父・瑞雪さんが強制連行された娘の于栄春さん(四九歳)は、「父がいつも涙を流しながら、過酷な労働に追われたことを話してくれた。今回の訪問は亡くなった父に対し慰めになる」と話した。

「和解」の場は一〇年近い裁判闘争をはさみ、多くの人びとの手で築かれたものだ。西松建設を被告とした裁判で最高裁は二〇〇七年、戦後補償問題は日中共同声明で決着済み、とし原告側の請求を棄却。〇九年、判決の際の「付言」を踏まえ西松建設が二億五〇〇〇万円の基金を設立するなどの条件で「和解」が成立した。

 遺族代表の曲啓傑さん(四四歳)は、伯父・福先さんが日本人現場監督の暴行により命を落とした。「沈痛な気持ちは毎回同じだが、日本に足を運ぶたびに(自分の)考え方が変化している」という。

 追悼式には日中の学生の姿もあった。曲さんは「日本の若い人たちは、心でも歴史を考えてほしい」と呼びかけた。

(山本柚・ライター、10月28日号)

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