忘れ去られる原発避難者

福島第一原発の事故で一六万人もの人々が故郷を追われた。だが、事故から一年以上が経過し、世間の福島への関心が薄れつつあるなか、いまだ避難を余儀なくされている人々は忘れられ、その声はかき消されてはいないだろうか。県内・県外に散り散りになった避難者たちの多様で複雑な状況に、私たちは目を向けるべきであろう。

■「浜通り」に戻る人々原発を挟んで広がる「南北格差」開沼 博■国・東電は実態を踏まえた対応を「帰りたい」と「帰れない」の間山下 祐介福島原発事故の被災者対策といえば、賠償や除染の話題ばかりが先行する。しかし、事故で広域避難を余儀なくされた人びとの境遇は複雑だ。きめ細かい対策に向け、まずは避難者の実態を知ってほしい。■富岡町から避難して町民が口にした脱原発運動への違和感山本 薫子避難者支援を行なってきた社会学研究者らが集まり「社会学広域避難研究会」が結成された。数十人に上る町民への聞き取りで見えてきた強制避難者の実相を報告する。◆再生するコミュニティとみおか子ども未来ネットワークの挑戦(編集部)■「帰還」をめぐる避難者たちの選択避難区域の再編で補償の打ち切りも除本 理史一方的な「線引き」で処理されようとしている賠償・補償問題。進みつつある区域の再編が一層暗い影を落とす。被害者の補償はどうあるべきなのかを問う。

  • 新自由主義者も喜ぶ発送電分離には要注意とにかく東電の解体と経営者の個人責任追及を対談 斎藤貴男×佐高信 株主総会の茶番劇、電気料金の値上げ……東京電力経営陣の辞書に「反省」という言葉はあるのか。佐高信本誌編集委員が理想の経営者とする木川田一隆元東電会長に対し、批判的な斎藤貴男さん。お互いの意図や東電解体について語り合った。権力側にとって受忍論は絶対的な武器。認めるかどうかで全てが変わる電力を足がかりに新自由主義構造改革がまた広がることを恐れる
  • 隠蔽続く福島原発事故 東電への強制調査も必要菅直人・前首相単独インタビュー 聞き手/伊田浩之・編集部東京電力福島第一原発の事故対策に菅直人首相(当時)が過剰介入し、事故を拡大させたという批判がある。一方、それは「脱原発依存」を唱えた菅氏に責任を押しつけようとする、政官財マスコミが一体となった原子力ムラの工作だとする分析もある。菅氏自身はどのように考えているのか。
  • 双葉町避難所は“姨捨て山”か?埼玉県の廃校で暮らすお年寄り約二二〇人 瀬川 牧子東京電力福島原発のお膝元だった福島県双葉町。全町民約六八〇〇人が県内外に避難しているが、うち町役場ごと移転した埼玉県の廃校校舎には約二二〇人のお年寄りがひっそりと暮らす。
  • 自壊する民主党1後は自公と連立して生き残るつもりか 本誌取材班
  • 原初の森が泣いている高尾山 敗れたり 敗訴をめぐる不思議の数々 辰濃 和男先祖代々「殺生禁断」の教えにより「一木一草」が守られてきた高尾山。霊気をたたえるほどの原初の森には、一三〇〇種の植物が生息する。しかしこの度、高尾山を守ろうとする人々の意志を踏みたおす形で高度成長期の計画道路がこの山の主となってしまった。
  • 脱 混迷ニッポンエネルギーも食料も自給自足この村から日本を変えたい楠クリーン村村長 三田村諭 山岡淳一郎電気もガスも水道もない山口県の山の中に、ソーラーパネルを設置し、牛やニワトリを飼い、自給自足できる「楠クリーン村」をつくった三田村村長。「後継創業」として茶畑も復活させ、自立のモデルをつくりたいという。
  • 福島から遠く離れて4「絶望こそが希望である」 うのさえこ変わること、変えること。私たちは変わることをただ待つのではなく、変えることができる存在であることを、教えてくれる言葉です。

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