暮らしにひそむ天皇制

「打倒すべき憎き権力者」のイメージからは遠く、圧倒的多数の肯定的無関心のもとに続く天皇制。制度そのものの問題もあるが、さらに怖いのは、意識しないまま日常にじわりと浸透している権威主義や家父長主義、私たちの生活や意識にいつのまにか住み着いている「天皇制なるもの」ではないか。家庭、報道、企業、組合……暮らしの中にも天皇制はひそんでいる。

■個人の尊厳・両性の平等と天皇制 24条が届かない1章 齊藤 笑美子婚姻は両性の合意のみに基づき夫婦が同等の権利を持つこと、両性の平等と個人の尊厳を規定した憲法二四条。皇室の結婚はこの規定にことごとく「違反」している。皇族男子の結婚は皇室会議の承認が必要であり、妻の地位は常に夫の下にあり、皇位継承資格者の妻たちには「産まない自由」がない。これが「象徴にふさわしい家族像」なのか。■週刊誌報道に見る「一家へのまなざし」の変容「憧れ」から「同情・共感」へ 北原 みのり皇室に向けられる国民のまなざしは、この一〇年間で様変わりした。週刊誌をにぎわすゴシップ記事には、生身の人間が抱える「不自由さ」への同情、共感が入り混じる。誰も説明ができない「天皇らしさ」なるものを背負い、生きにくさを露呈し続けている皇太子夫妻がその矛盾を象徴している。天皇のイメージはどう変化していくのか。■皇室報道の舞台裏「宮内記者会」の常識、非常識 本誌取材班皇室担当記者が所属する日本最大の記者クラブが「宮内記者会」だ。私たちに伝えられるニュースの裏側で、担当記者たちは日常的にどのような取材をしているのか。菊のカーテンの向こうには独特な事情があるようだ。■誰も責任をとらないじゃんけんシステム社会「グー・チョキ・パーのてんのう制」 辛 淑 玉育児休暇を設定しながら「とれない空気」があるため男性が取得できない企業。正社員男性の既得権を守るために女性や非正規労働者を調整弁にして恥じない組合。決断力がなく言動が一致しない政治家たち。この国を覆う無責任と権威主義、そして正義が育たない社会は、天皇というタブーの存在と密接な関係がある。■芸人・松元ヒロさんに聞く体育会の世界「三年生天皇、一年生奴隷」幼いころから陸上選手として活躍し、全国高校駅伝で区間賞に輝いたこともある松元ヒロさん。「体育会」の気質に疑問を抱き始め、法政大学陸上部を退部した。「体育会」文化の中にひそむ「天皇制なるもの」について語ってもらった。■言葉遣いから見る皇室なるもの 理想的家族というファンタジー 社納 葉子天皇家は日本の「理想の家族」像として取り上げられ、皇后の言葉遣いは「日本女性の鑑」のように称えられてきた。だが、普通は公的な場で夫や父母に敬語は使わないし、使っていたら逆に「礼儀知らず」とされる。皇室における夫妻と親子、親族の関係を、過去五年間の記者会見で語られた「言葉」から見てみたい。■ピョンタくんの楽しい戦争 特別弾 石坂 啓■憲法を伝える、活かす、わたしのアイデア2010 山根 真、宮本 有紀乾杯、サイクリング、ちんどん屋……楽しみながら憲法の精神を実践する、気軽に憲法を伝えるアイデア、今年もご紹介します。■「もっと生命尊重の政治を」 映画『いのちの山河』主演・長谷川初範さんに聞く岩手県沢内村(現西和賀町)は一九六〇年初頭、全国の自治体で初めて六〇歳以上と乳児の医療費を無料にした。村のリーダーで、「生命尊重」の行政を貫いた深沢晟雄が、現代に伝える哲学とはなにか。深沢役として映画『いのちの山河』に主演した長谷川初範さんに聞いた。

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