検証 和歌山カレー事件 動機も自白もなし  類似事実で死刑にできるのか

和歌山カレー事件の上告審の弁論が二月二四日に開かれる。一貫して無実を主張する林眞須美被告人が状況証拠のみ、動機も未解明で有罪・死刑とされた一、二審の審理に問題はなかったのか? 弁護人と法学者が問題点を明らかにした。

■法学者と弁護人が語る裁判の問題点白取祐司 小田幸児 高見秀一司会 片岡健保険金とカレーは正反対のタイプの犯罪ではないかカレーの鑑定は不公正で信用できない眞須美さん以外にも鍋の周りで一人になった人はいる■嘘まみれだった初期報道片岡健+本誌取材班和歌山カレー事件の裁判決着が迫る中で注視すべきは、各メディアの報道姿勢だ。林眞須美被告人(四七歳)に関する事件発生当初のメディア総出の犯人視報道が「嘘まみれ」だったからである。五月から裁判員制度が始まるというが、犯人視報道で{洗脳}された市民に冷静な判断を求める困難さを、同事件の一連の報道は図らずも証明している。

  • 「かんぽの宿」を投げ売りした郵政公社責任者の真意は白紙になったオリックスへのインサイダーまがい譲渡 横田 一全国七〇の郵政施設と首都圏九カ所の社宅施設をオリックスに一〇九億円で一括売却しようとしたことから広がった「かんぽの宿」騒動。一括売却の背景は資力ある企業に入札参加者を絞るためだったのか。そのずさんさと背景に迫る。
  • 同時性のパンデミックを語る下根源までたどり 思索を深めよ特別インタビュー辺見庸 Hemmi Yo 世界同時進行の異質のパンデミック(感染爆発)のなかにわれわれはいる。そこでは、「一〇〇年に一度の金融危機」などと限定されたカテゴリーではなく、人類が連綿と続けてきた資本主義や民主主義といった価値システムの総体が同時性をもって破局にさしかかっているのではないか――思索は根源へ向けて深められる。
  • 北を撮る孤高の写真家・小島一郎とその妻、弘子の世界 構成 福田文昭昭和三〇年代、故郷を撮った『津軽』などの作品で将来を嘱望されながらも、39歳で夭折した写真家・小島一郎。その妻弘子は、一郎との早すぎる離別の後、しばらくして短歌を詠み始める。青森県立美術館で開催されている「小島一郎 北を撮る」の古典にあわせ、40年余の時を隔てて“幻の二人展”を誌上でお届けする。妻の弘子が一郎の撮影した写真の中から好きな作品を選び、福田文昭が弘子の『風の岬』(松井ひろ子著、溪声出版)から歌を選び、添えた。◆ピュリツアー賞カメラマン澤田教一と小島を結ぶ「点と線」福田文昭
  • 佐藤優の 飛耳長目36 天然ガス紛争でみえたロシアの安全保障観
  • きんようぶんか廣瀬純の生の最小回路?『蟹工船』よりも『バートルビー』を 『女と男のいる舗道』 アントニオーニ/メルヴィル/アガンベン『バートルビー 偶然性について 附:ハーマン・メルヴィル「バートルビー」』
  • 自給率について考えてみる?自給率とは何か 市川 はるみ中国産農薬入りギョーザ、汚染米、相次ぐ食品の値上がり――。食にまつわるモロモロの事件が起きる背景には、日本の低い自給率があると指摘されています。このままで食の安全は担保できるのか、はたまた食べるものを確保できるのか。自給率についてあれこれ考える、ちょっと長いシリーズの始まり?。
  • 河添誠さん 首都圏青年ユニオン当事者の声を大切にしたい 聞き手 北村肇 本誌編集長「ひとりでもだれでもどんな働き方でも入れる若者のための労働組合」である首都圏青年ユニオンは、いわゆる個人加盟のユニオンの一つ。既存の労働組合が救えない非正規のフリーターや派遣労働の若者たち、名ばかり管理職に苦しむ正規労働者といった人たちを支援してきた。同時に、NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの湯浅誠さんらと協力して生活困窮者の生活の再出発をサポートする「反貧困たすけあいネットワーク」を結成、互助プロジェクトとして生活全般の相談、居場所づくりを行なっている。

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