1.2007年4月18日付大室征男弁護士書簡 〒104−8011 東京都中央区築地5−3−2 朝日新聞 WEEKLY AERA 編集長・発行人 市 村 友 一 殿                        平成19年4月18日                        佐藤優代理人                        〒102−0082                        東京都千代田区一番町15番地1                        一番町ファーストビル3階                        半蔵門法律事務所                        弁護士 大 室 征 男 冠省  当職は、貴誌2007年4月23日号に掲載された『佐藤優という「罠」』と題する記事の佐藤優の代理人として、以下の点を通知致します。  先ず、佐藤優の母親の名前は「安江」ではなく「安枝」であることを指摘します。  次に、同誌18頁に「裁判費用に4500万円も借金したんだ!」という佐藤優本人の言葉としての記載がありますが、佐藤優本人は、かかる発言をした事実はないとのことです。  佐藤優が貴誌の取材に対して述べたのは、「国策捜査で逮捕されると、逮捕から最高裁まで約2000万円かかる。しかし、裁判費用は税控除対象とならないので実際には4500万円くらい稼がなければならない」という内容です。  当然のことながら、佐藤優が4500万円の借金をした事実も、かかる発言をした事実もなく、佐藤自身の真実の姿ではなく虚像を作り上げようとした意図的なものと思われます。  また、同誌19頁の中見出しに「取調べ中から張り巡らした罠 犠牲者第一号は 特捜部の西村検事だった」とありますように、記事の構成が佐藤優が意図的に他人を「罠」に嵌める人物であるかのように読み取れ、個人の人格を傷つけるものです。  本件冒頭の記事の「知らず知らず佐藤が仕掛けた壮大な「罠」に吸い込まれていく。」という「罠」と、本文記事の西村検事の下りに使われている意味が異なるように読めるので、敢えて本書による通知をなすものです。  何故に事実と異なる報道がなされたかについて、貴誌の釈明を求めます。その上で、謝罪と訂正、更には今後、類似の事態の発生を防ぐために貴誌がとられる措置についてご説明いただければ幸甚です。                                      草々 2.2007年4月20日付市村友一『AERA』編集長書簡 佐藤優様                         2007年4月20日 佐藤優氏代理人弁護士 大室征男様                             朝日新聞社アエラ編集部                             編集長 市村友一 前略  4月19日付内容証明郵便でいただきました弊誌4月23日号「佐藤優という『罠』」の記事に対するご指摘について、回答します。 (1)佐藤氏の母君の名前の誤りは、お詫びいたします。4月23日発売の弊誌4月30日号で訂正を掲載いたしました。 (2)「裁判費用に4500万円も借金したんだ」という箇所の誤りも、お詫びいたします。こちらも上記と同じ号で訂正を掲載致しました。  ただ、ご指摘のような「佐藤氏の虚像を作り上げようとした意図的なもの」ということは、まったくもってありません。佐藤氏がそう誤解されているとすれば、大変遺憾で、その点は誠に申し訳なく思いますが、事実は、筆者が佐藤氏から取材した際に、単純に意味を取り違えて記述したものです。当方に特別な意図はないことをご理解ください。 (3)記事中の西村検事の取り調べにおける「罠」に関する中見出しと記述が、佐藤氏の人格を傷つける、というご指摘ですが、この点に関しましても、当方にそのような意図はまったくありません。佐藤さんがそう受け止められたとすれば大変遺憾ですが、記事全体の基調と同様、それまでタブー視されていた東京地検特捜部に切り込む意味での「罠」として記述しました。  以上、ご理解いただければ幸いです。                                     草々