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 猛暑が続く中、「大飯原発三号機と四号機(合計出力は二三六万キロワット)の再稼働をしなくても電力不足には至らなかった」という結果が出た。今夏の関西電力管内の最大電力需要は二六八一万キロワットで、関電が想定した二九八七万キロワット(二〇一〇年猛暑を基にした予測値)に比べて三〇六万キロワットも少なかった。

「大飯原発の再稼働をしなくても電力不足にならないことは政府が五月一八日に出した報告書に書いてあった」と指摘するのは「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長だ。「節電と他社融通などで需給ギャップを埋めることが可能と政府が認めたのに野田首相は『電力不足になる』と言って再稼働をした。日本語が読めないか、理解できないとしか考えられない」。

 飯田氏がメンバーだった大阪府市エネルギー戦略会議でも、関電とともに「原発再稼働なしで今夏の電力需給逼迫を乗り切る計画」を策定、具体化への作業を五月二九日まで進めていた。橋下徹大阪市長が再稼働容認発言をしたのはこの直後だ。

 関電が五月一五日の同会議に提出した資料をみると、確実な電力供給量は二五四二万キロワット(内訳は火力一四七二万、他社融通六四四万、揚水二二三万、水力二〇三万各キロワット)に対し、最大電力需要予測は二九八七万キロワット。需給ギャップは四四五万キロワットだったが、これを周辺の電力会社から余剰電力を回してもらう「他社融通」の上乗せ(最大一六二万キロワット)や自家発電の活用、節電の徹底などで埋める対策が列挙されていた。会議の冒頭で関電の副社長が「停電はしません」と宣言をしたのはこのためだ。

 実際の電力需要は、関電の予測を大幅に下回り、需給ギャップは三分の一以下の一三九万キロワットにすぎなかった。再稼働分(二三六万キロワット)がなくても凌げたということだ。

(横田一・フリージャーナリスト、8月24日号)

全停止から一夜明けた5月6日、「祝!原発ゼロパレード」(脱原発杉並+原発やめろデモ!!!!!)が東京・高円寺であり、約4000人(主催者発表)が、日本列島津々浦々まで原子力発電にたよらないで暮らしているのを実感できることを祝った。(撮影/伊田浩之・編集部)

 全原発が止まった。

 残念ながら市民運動が稼働中の原発を止めたわけではない。が、再稼働を止めたことが原発全停止をもたらしたのだから歴史的な快挙であることに変わりはない。国も産業界も再稼働は「時間の問題」と思っている。そうさせないために次のステップをめざしたい。

 単純に日本中の設備を積み上げれば、電力が足りないことはあり得ない。しかし今年の夏、国や電力会社や大企業は、電力不足キャンペーンを張り、計画停電あるいは「不測の事態」を演出して停電を引き起こす可能性がある。

 経済産業省は、原発なしで夏を乗り切れば「やっぱり原発は要らないじゃないか」という世論が台頭するとして何としても再稼働したかったのだから、次の手として停電を演出する恐れがある。枝野幸男経済産業相も「一瞬ゼロになる」という発言で、恒久的に止めるつもりはないことを表現している。だからこそ、停電キャンペーンを跳ね返し、原発がなくても大丈夫な社会を作る必要がある。

 かりに足りないとしても日中の数時間にすぎない。従って停電を回避するために必要なのはピークカットである。これは大企業のピークシフト型就業時間の採用、電力削減分のペイバック制度の導入、オフィスの省エネ化推進のための新たな割引制度などの取り組み、電源融通の拡大と電力自由市場の拡大で解決する課題だ。自家発電を持つ会社からは、関西などの既存電力会社以外に供給し、そこから買い取る方法もある。時間停電を引き起こさないあらゆる方策を官民挙げてすべきだ。

 現在、ストレステストの二次評価が終わった原発は一つもない。一次評価の結果のみで再稼働をするとしているが、安全の観点からは「論外」だ。四閣僚+仙谷由人・民主党政策調査会長代行の「政治判断」が安全を担保するわけがない。一次評価は耐震設計審査指針改訂に伴う「追加の評価」つまりバックチェックの焼き直しだ。福島第一原発も同じ評価をしていたら「合格」したような評価にすぎない。

 唯一異なるのは「津波の高さ」を「従来の津波評価に九・五メートル加えて」評価したところだ。これは「福島第一原発で波高五・五メートルに対して実際には一五メートルの津波に襲われたことから、九・五メートルかさ上げして評価する」ことにしたためだ。「既往最大」つまり原発で記録された津波の最大の高さで評価した。

 ならば地震動の大きさも同じ考え方で「既往最大」とすべきだ。これまで最大の揺れに襲われた原発は柏崎刈羽原発で二〇〇七年に発生した中越沖地震の「解放基盤表面で一六九九ガル」である。

 津波と同様の基準で考えるならば、大飯や伊方などすべての原発に一六九九ガルの揺れを入力し、それでも制御棒は規定時間内に挿入できるか、配管の損傷はないか、圧力容器の支持ボルトは破断しないか、建屋の構造は大丈夫かなどの評価を実施する必要がある。

 もはや「想定外」などと言えない現状だから、この程度の評価をすることに異論などないだろう。

 柏崎刈羽原発と異なり、大飯原発の建つ地面は鉄分が豊富な硬くて脆い岩盤だ。強力な揺れが直接原発に到達し、破壊することは避けられない。内陸の活断層が動く地殻内直下地震の衝撃力はすさまじく、歴史的に数多くの山体崩壊を引き起こしてきた。

 これらを総合的に考慮すれば、「安全」と言えるような原発はどこにもないのである。

 原発の運転再開を止め続けたのは、経産省前のテントをはじめとした市民のたゆまぬ努力だ。憲法一三条などに反した存在である原発を、このまま止め続けるために、あらゆる取り組みを進めよう。

(山崎久隆・たんぽぽ舎、5月11日号)

再稼働阻止訴えハンスト

「福島原発の真の地元は関東首都圏であったのであり、若狭原発のそれは関西大都市圏にありつづけてきたのではないでしょうか」と語る中嶌哲演さん(左)。

 大飯原発再稼働の動きに抗議する有志らが4月17日正午から東京・経産省前でハンガー・ストライキ(断食)に入った。国内で唯一稼働している北海道電力泊原発3号機が定期検査に入り、「原発ゼロ」が実現する予定の5月5日まで、リレーでハンガー・ストライキをつなぐ(ハンスト宣言は別途掲載)。

 同日正午からの記者会見には、3月25日から31日まで福井県庁(昼間)などで断食を続けた中嶌哲演さん(福井県小浜市の明通寺住職、70歳)が駆けつけ、次のように述べた。
「いわゆる『安全神話』も昨年3月に崩壊したのではなく、福島や若狭に最初の一基が押しつけられた時、すでに原理的にも現実的にも自らを否定していたのではないでしょうか」

「大飯原発3・4号機の『再稼働』が一点突破されれば、各地の原発群がなしくずしに再稼働され、延命がはかられていくでしょう。近未来に国内の原発が全面停止するのは、『第二のフクシマ』が続発する時であることは容易に想像がつきます」

「かつて『国策』として戦争を推進した軍国主義政権は、ヒロシマについでナガサキの苛酷な犠牲の後に敗戦を決断せざるを得なかったのでした。巨大な『原子力ムラ』の一角を担う現政権も、『フクシマ』だけではまだ懲りていないのでしょうか。わたしたち国民も、あの『1億総懺悔』の日を座して待つのでしょうか」

「さようなら原発1000万人アクション」呼びかけ人の鎌田慧さん(ルポライター)は「政府はおおむね安全だから(再稼働を)はじめると言っているが、いのちに”おおむね”はない。『絶対(安全)』とすら言えなくなった。政治家たちは自分の頭でかんがえなければならない。自分の頭で考えたら、危険で批判されている、世論の9割、8割を占めている原発の再稼働阻止の運動に敵対することはありえない」と連帯のあいさつ。

 同呼びかけ人の落合恵子さん(作家、『週刊金曜日』編集委員)は「官僚にしても政治家にしても(その多くは)人の親だろう。自分の目の前の子どもがかわいいと思ったら、その子どもにつながる同時代の子どもの命をどうして考えられないのか、と震えるような思いを感じる」と訴えた。

「原発ゼロ」となる5月5日まで経産省前で続けられるリレーハンスト。

 作家の広瀬隆さんは、政府が再稼働の根拠としている「電力不足」はデマだとして次のように指摘した。
「関西電力は去年の秋、今年の夏は25%の電力不足になると言いました。それが今年の3月12日には、13・9%不足にころっと変わった。そして私が4月5日のインターネット中継でそれが嘘であることを示したら、関西電力は4月10日の大阪府・大阪市とのエネルギー戦略会議では7・6%不足という数字を持ち出してきた」

「放射能の半減期じゃないんですよ。25が13・9になり、7・6に減ってきた。つまり、電力不足は完全なデマなんです。そのことがわかっているから滋賀県も京都府も大阪市・大阪府も反対できるんです。私は自分の首をかけてちかいますけれど、彼らが発電のプロなら絶対に電力不足は起こりません」

「経産省前テントひろば」の江田忠雄さんによると、リレーハンストへの参加を表明した人は17日正午時点で33人。形態は水と塩のみを摂取する「完全ハンスト」で期間は1日(24時間)から7日(最長)まで、自己判断で行なう。脱原発の鉢巻きと法被は「テントひろば」で準備しており、多くの人の参加を呼びかけている。参加希望は、東京・経産省前の「テントひろば」で受け付けている。
(伊田浩之・編集部、写真も)