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和歌山毒物カレー事件で無罪主張の林眞須美被告、再審請求の行方は?

1998年に和歌山市園部の夏祭りで何者かがカレーにヒ素を混入し、67人が死傷した事件で、和歌山地裁は3月29日、無実を訴えながら死刑確定した林眞須美さん(55歳)の再審請求を棄却した。

林さんの裁判では、証拠が乏しい中、東京理科大学の中井泉教授が大型放射光施設スプリング8で「林家で見つかったヒ素」や「カレーに入れられたヒ素」を分析し、「同一の物」とした鑑定結果が有罪の決め手とされた。しかし林さんの再審請求後、京都大学の河合潤教授が中井鑑定のデータを解析し、「林家などで見つかったヒ素とカレーに入れられたヒ素は別物」と結論。弁護側は河合教授の鑑定書などを地裁に提出し、再審請求に対する注目度が高まっていた。

地裁は決定で、「確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生じる余地はない」と断じたが、審理中は弁護側が求めた河合教授の尋問を認めず、弁護側は「不公平な裁判をする恐れがある」と浅見健次郎裁判長らの忌避を申し立てていた。すでに林さんは大阪高裁に即時抗告しており、即時抗告審でもヒ素の鑑定が争点になるのは確実だ。

林さんは保険金目的で夫の健治さん(71歳)にヒ素を飲ませたとされる殺人未遂の容疑も有罪が確定しており、この容疑も無実を訴えて再審請求していたが、決定で退けられた。健治さんは「ヒ素は保険金目当てで自分で飲んでいた」とする陳述書を地裁に提出しており、「今さら『裁判は間違いだった』と言えないのだと思う。眞須美が私を殺そうとヒ素を飲ませていたら、私が生きているはずがないのに」と裁判官への不信を口にした。

現場の園部では、「今さら無実とわかるならとっくの昔にわかったはず」と突き放したように話す住民もいる一方で、「地元でも実際はどうだったのかという声もある」と語る住民も。林さんの再審請求は棄却されたが、事件の真相はまだ解明されたとは言い難い。

(片岡健・ルポライター、4月7日号)