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南京大虐殺の記憶語り継ぐ集会、全国11カ所で開催――来日中国人講演者に入管圧力

大阪集会で講演する南京大虐殺記念館の朱成山名誉館長。(撮影/平野次郎)

大阪集会で講演する南京大虐殺記念館の朱成山名誉館長。(撮影/平野次郎)

中国侵略の旧日本軍による南京大虐殺(1937年)の記憶を語り継ごうと、市民団体の「南京大虐殺60カ年全国連絡会」が南京大虐殺紀念館の朱成山名誉館長を招いて12月2日から15日まで全国11カ所で講演会を開いた。ところが朱さんが福岡空港に着いた2日、福岡入管で事情聴取され目的外の活動をしないとの誓約書を取られた。何回も来日しているが、こんな扱いは初めてという。昨年、「南京大虐殺の記録」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産に登録され、これに反発した日本政府がユネスコの分担金支払いを留保していることが背景にあるようだ。12日名古屋、15日東京の両集会では、右翼による妨害もあったが大きな混乱はなかった。

南京大虐殺の生存者を招いた証言集会は94年から開かれ、昨年までに延べ約60人が来日。だが証言者の高齢化で来訪が難しくなり、今年から証言者のビデオに切りかえた。紀念館から提供された17人のビデオに日本語の字幕を付け、現在の南京市の様子を撮影するなどして2人のビデオを編集した。こうした証言者の人選やビデオの提供について中国と日本の橋渡しをしてきたのが、昨年まで紀念館長を務めた朱さんだ。

10日の大阪市内の集会では、南京在住の夏瑞栄さん(94歳)がビデオで、祖父が日本兵に銃剣で刺殺され自身も頭に刺傷を負ったことを証言した。講演者の朱さんは、「01年に小泉純一郎首相(当時)が靖国神社を参拝したことから中国各地で抗日デモが起きたが、南京市民は日本人が紀念館を訪れて歴史を知ろうとする姿をテレビの報道で知っていたから南京ではデモが起きなかった」と述べ、民間の草の根運動の大切さを訴えた。一方、日本政府に対しては「ユネスコの分担金を払わないのは、お金で圧力をかけようとするもので世界の笑いものだ」と厳しく批判した。

(平野次郎・フリーライター、12月23日号)