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民法の夫婦同姓強制と再婚禁止期間訴訟――「違憲」求め最高裁で弁論

2015年11月25日12:16PM

「名前は私の人生そのもの。塚本協子で生き塚本協子で死んでいきたい」と報告集会で話す原告団長(左)と原告ら。(撮影/宮本有紀)

「名前は私の人生そのもの。塚本協子で生き塚本協子で死んでいきたい」と報告集会で話す原告団長(左)と原告ら。(撮影/宮本有紀)

婚姻時、夫妻の同姓を強制する民法750条。女性のみ6カ月の再婚を禁じる同733条。これらが婚姻の自由と個人の尊厳、両性の平等を保障する憲法に違反するとして訴えた二件の訴訟の上告審弁論が4日、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で行なわれた。

岡山県の女性が「女性の人権を制約し男女平等違反」と訴えた再婚禁止期間訴訟は、作花知志弁護士が弁論。子の福祉のための父子関係早期確立という立法目的を実現するには「離婚後再婚した女性が生んだ子については、後婚の夫の子と推定」すればよいし、父子関係を判断するDNA鑑定技術も発達しているのだから半年もの再婚禁止期間は不要と主張。「新しい時代の新しい判断」を求めた。

東京都、富山市、京都府の男女5人が選択的夫婦別姓を求める訴訟では、弁護団が、姓の変更強制は氏名権や個人の尊厳の侵害であること、姓を変えるのは女性という社会的意識がある日本では形式上中立な規定も実質的に女性差別をもたらす間接差別にあたることなどを指摘。裁判官に「誰かではなく自分の姓が変わることを想像してみてほしい」と訴えた。

1898年制定の民法は、現行憲法制定後、個人の尊厳と両性の平等に基づき改正されるべきだった。だが家族規定は改正されず、1985年の女性差別撤廃条約批准時にも、96年に法制審議会が選択的夫婦別姓導入や再婚禁止期間の短縮などを答申した時も、保守派議員の反対で実現しなかった。長年の立法不作為は明らかゆえ、原告の小国香織さんは「政治に期待できないから司法に訴えた」と陳述し、「子ども世代のためにも別姓も選べる社会を」と訴えた。

二宮周平・立命館大学教授(家族法)は「これは人権侵害の問題であり家族のあり方の問題ではない」と指摘するが、現政権の理解は期待できず司法判断を待つしかない。早ければ年内にも憲法判断が示される。

(宮本有紀・編集部、11月13日号)

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