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関電・老朽炉の耐震性示せず――混迷の美浜原発審査

2015年11月19日1:06PM

10月27日に原子力規制委員会の臨時会合が開かれ、関西電力の八木誠社長を含む幹部が呼ばれた。テーマは関電の3つの原発の新規制基準適合性審査の進め方。現在、大飯、高浜、美浜原発の合わせて7機の原子炉について審査が行なわれているが、規制委側は、同時並行で続けるのは困難だとし、優先順位を決めるよう迫った。

特に問題なのが福井県美浜原発3号機だ。来年11月30日に運転開始40年が経過する老朽原発だが、この日までに寿命延長の審査を終えなければ廃炉となる。延長審査は、適合性審査の終了が前提だが、期限まで1年余りしかない状況で、終了の目途は全く立っていない。

基準地震動の策定では、活断層の上端深さが議論になった。750ガルから993ガルへ引き上げられたが決定は8月にずれ込んだ。その後、機器や施設の耐震安全性を確認する書類が関電から提出されない状況が続く。関電は、開発した新しい評価手法を適用したいと説明。規制委側は、それでは手法の妥当性から審議しなければならないと難色を示した。

10月15日の審査会合において、原子力規制庁の櫻田道夫規制部長が、新しい手法を用いる目的について「従来の手法では基準適合性が示せないからではないか」と問い質すと、関電の原子力事業本部水田仁副本部長は「従来の手法では耐震健全性を示せない」と明言した。関電は、新しい手法は精緻なものだなどと言うが、結局のところ、安全を取り繕い、耐震を装うための手法であることを白状したにすぎない。

再び臨時会合。優先順位は決められないと煮え切らない関電に対し、規制委側は、期限があることを理由に、美浜3号機を優先的に審査したいと述べた。なぜ最も老朽化が進み最も危険な原発の優先審査を規制当局の側が提案するのか、全く理解できない。審査を打ち切り廃炉と決めるときだろう。

(阪上武・原子力規制監視市民の会、11月6日号)

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