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“右派”メディアが執拗にバッシング――“日教組憎し”が先走りか?

2015年3月2日8:13PM

街宣車が繰り出し誹謗中傷を連呼し、“右派”メディアが「偏向的授業」(『産経』2月7日付)、「亡国の授業光景」(『週刊新潮』2月19日号)などと報告内容を糾弾するのは、日本教職員組合(加藤良輔委員長、以下、日教組)の第64次教育研究全国集会(以下、全国教研)だ。日教組の組織率は30%弱だが、全国教研は教員が日頃の教育実践の成果を発表し合う場として、今も社会的に注目を集める。今年は山梨県で2月6日~8日、開催された。697本の報告があり、約1万人の教職員が参加した。

「自分の報告を『産経』が批判した記事は読みましたが、記者から個別の取材依頼は受けていません」。〈主権者を育てる公民学習〉という報告で『産経』と『週刊新潮』に批判された福岡県内の中学校の教員は“右派”メディアの記事作成の方法に納得がいかない。「報告者に何の連絡もなく、事前に報告をまとめたレポート集から引用して記事にされた」ともいう。レポート集は文部科学省の記者クラブなどに日教組が事前に置いている。教職員らからすると、日教組の公開原則をいいことにメディアが自分の主張にあった攻撃材料を選び、十分な取材をせず一方的な批判を展開しているかたちだ。

平和教育分科会では特攻隊を扱った報告が「報告者の思いとはかけ離れた」採り上げられ方をしたとして、翌日、参加者らが『産経』への抗議・訂正を求め、会が一時中断する場面もあった。日教組の広報に今後の対応を問うと「特に考えていない」という。反応することでバッシングが激化することを避けたいという事情があるようだ。小誌が『産経』に直接問うと、「個別の記事に関することにはお答えできません」という回答だった。

今回、全体会に登壇した雨宮処凛本誌編集委員は「まず結論ありきの報道姿勢は疑問」とし、現場の教師が萎縮して授業内容へ影響が出ることを危惧する、と話す。

(本誌取材班、2月20日号)

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