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日米合意「運用違反」の可能性も――オスプレイが東日本初飛来

2014年8月6日11:37AM

厚木基地北側より着陸。(撮影/金子豊貴男)

厚木基地北側より着陸。(撮影/金子豊貴男)

南へと飛び立っていく。(撮影/金子豊貴男)

南へと飛び立っていく。(撮影/金子豊貴男)

7月15日、沖縄の普天間飛行場を12時ちょうどに離陸した米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ1機が厚木基地(神奈川県)上空に現れたのは3時間半後の15時半頃。厚木基地で給油を経た後、キャンプ富士(静岡県御殿場市)に向けて再び離陸した。オスプレイが東日本に飛来し、着陸したのはこれが初だ。同日、厚木基地南北の滑走路端に面する公園では、オスプレイの飛来に反対する神奈川平和運動センターや厚木基地爆音防止期成同盟、第四次厚木基地爆音訴訟団のメンバーら100人余りが、オスプレイの危険性を訴え、本土からも沖縄からも出ていくことを求める抗議の声をあげた。

2012年10月に普天間飛行場に強行配備されたオスプレイは12機。その後、新たに12機が追加配備されている。オスプレイは当初、米軍岩国基地(山口県岩国市)や米海兵隊キャンプ富士を拠点として、飛行訓練を行なうと発表されていた。その際、全国の低空飛行訓練ルートは米国が勝手に設定していた。だが、先月までは西日本までの進出にとどまり、2月に予定されていた群馬県や長野県での防災訓練への参加も悪天候を理由に中止されていた。

15日のオスプレイ東日本初飛来を受け、厚木基地周辺は抗議団体と飛行機マニア、マスコミ関係者でごった返していた。飛来したオスプレイは15時25分、厚木基地の北側から、プロペラを垂直にする「ヘリコプターモード」(角度85度以上)に限りなく近い「転換モード」(角度1~84度)で、GCA(地上からの着陸誘導)で着陸した。

プロペラの転換時に事故が多発していることから、オスプレイの日本での運用においては、ヘリモードや転換モードでの飛行は米軍の施設・区域内に限ること、また転換モードの時間をできるだけ短くすることが、日米合同委員会で合意されている。「運用上必要となる場合を除き」と但し書きがつけられたが、今回の飛行は、「運用違反」の可能性が高い。

【日米合意を守る気なら】

「厚木基地へのオスプレイの最初の着陸から、日米合意が守られなかった」。基地監視団体「リムピース」のホームページ『リムピース(追跡! 在日米軍)』の頼和太郎編集長は指摘する。

「普天間基地ではヘリモードに近い転換モードと固定翼モード(プロペラが水平)の2通りの方法で、GCAで降りてくる訓練をしている。固定翼モードでもGCAで降りることはできる」

「本気で合意事項を守る気があるのなら、転換モードでのGCAによるアプローチを固定翼モードで代替しなければならない。ナセル(プロペラ)を上に向けたまま厚木基地に降りてくるオスプレイのシルエットは忘れられない。日米合同委員会の合意さえ守らないオスプレイの運用は、黙っていたらますます危険なものになる」

給油を終えたオスプレイは16時半、厚木基地を南側に向かって離陸。16時47分、キャンプ富士に着陸した。その後は駐機したままで訓練などを行なった様子はない。そして18日午前、オスプレイはキャンプ富士を離陸。厚木基地、岩国基地を経由し、普天間飛行場へ戻った。大和市や綾瀬市などの周辺自治体が相次いで抗議の声を上げていたなかオスプレイ飛行は強行された。さらに19日には、横田基地(東京都)を経由し、陸上自衛隊丘珠駐屯地(札幌市)へ飛来した。東日本でも本格的な進出を阻止する活動が求められている。

(金子豊貴男・第四次厚木基地爆音訴訟団副団長、7月25日号)

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