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国立競技場建て替えでJSCが立ち退き要請――「野宿者の人権守れ!」

国立競技場(東京都)軒下で野宿者への工事説明の打合せをするJSC職員。(撮影/小川てつオ)

国立競技場(東京都)軒下で野宿者への工事説明の打合せをするJSC職員。(撮影/小川てつオ)

独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC)は7月9日、今年8月から始める下水道管工事についての説明会を国立競技場の軒下で開いた。来秋着工予定の新国立競技場(東京都新宿区)建設に先立って行なわれる工事で、説明会には該当区域と周辺に住む野宿者や支援者約20人が集まった。

「説明会場」は薄暗く、時折、風雨も吹き込んでくる。JSCの職員は模造紙に描かれた図面を工事用の板囲いに貼り、工事区域と予定を説明、「ホームレスの方々はご移転いただきたい」と述べた。

この対応に出席者からは次々と異論が出た。そもそも、(1)工事区域には3軒のテント小屋があり、人が住んでいることをJSCは知りながら区域を定めている。また、(2)野宿者の移転先は考慮されておらず、事前の説明もなく、野宿者の了解も得られていない状況で、(3)移転の期限すら通知されていないことなどが指摘された。出席者は野宿者の生活が脅かされないよう、工事区域を再検討し、改めて説明会を開くよう求めた。だが、JSCは「8月から工事をやらせていただく」として拒否。

出席者は口々に抗議し、午後7時から12時近くまでやり取りが続いた。その結果、JSCは野宿者への説明が不十分だったこと、テント小屋がある限り着工できないことなどを認め、野宿者への対応は、工事現場は都有地なので都と相談、2週間後をめどに再度説明会の場を設け、結果を報告するとした。最後に、野宿者の小川てつオさん(43歳)が「(JSCは)人権に配慮しているから野宿者の追い出しはしないと表明していただけないか」と要請。齋藤孝博総務部長は「人権に配慮しない工事はしません」と応じた。

国立競技場周辺には数十人の野宿者が生活しているが、昨年3月のIOC(国際オリンピック委員会)委員視察の際は一時的に強制移転させられた経緯がある。

(永尾俊彦・ルポライター、7月18日号)