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米軍岩国基地の施設設備に質問状――住民無視で進む移転

2014年5月21日5:59PM

2017年に神奈川県厚木基地からの移転を予定する米空母艦載機部隊のために、米軍岩国基地(山口県岩国市)では今、国主導の大規模な施設整備が進められており、移設に反対する地元住民との攻防が続いている。すでに滑走路の移設事業などで3000億円以上の巨費が投じられ、今年は903億円の国費が計上されている。

岩国基地への艦載機移転の話が持ち上がったのは10年前だが、関連施設の建設が遅れ、進まずにきた。しかし2年前、同地域での大規模な住宅開発が頓挫したのに乗じ、防衛省が跡地75ヘクタールを取得。岩国基地から約5キロメートル離れた住宅地のど真ん中にある愛宕山開発跡地に、米兵の住宅や関連施設を造るとした。愛宕山開発は元々、県と市が21世紀の理想の街を作ろうと計画していた。

住民は5年前から、理不尽な行政の扱いに現地で座り込みをするなど抗議の意を示してきた。その愛宕山に国は、新たな懐柔策として市民が使用できる運動施設も併設するという「アメ」をぶら下げ、敷地造成工事の説明会を4月23、25、27日と3回開催した。

地元住民団体「愛宕山を守る会」は説明会に先立ち公開質問状を提出、国は5月2日に「異例の措置」として文書回答をしたが、まったく住民が納得できるような説明はなされなかった。

計画では高級兵士の住宅に加え、野球場や陸上競技場などを予定しているが、具体的な説明はほとんどなされていない。3月で完了しているはずの工事の実施設計は提出期限に間に合わず、6月に先延ばしされていた事実も発覚した。つまり、最終設計が間に合わずの見切り発車だ。

岩国では今年、空中給油機の配備やオスプレイの実質的本土運用の拠点化が進められているほか、17年にはF35B戦闘機の配備が予定されるなど、住民無視で基地機能の強化が進んでいる。

(田村順玄・岩国市議、リムピース共同代表、5月9日号)

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