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読売新聞社が七つ森書館を提訴した裁判の証人尋問――差し止め訴訟で出版妨害か

2014年5月16日4:16PM

渦中の清武英利氏。(撮影/橋詰雅博)

渦中の清武英利氏。(撮影/橋詰雅博)

財界や政界の不祥事を描いて話題となった『会長はなぜ自殺したか 金融腐敗+呪縛の検証』(読売社会部清武班)の出版差し止めを読売新聞社が求めた民事訴訟で、4月16日に原告側と被告側の証人尋問が東京地裁で行なわれた。

訴訟の概要はこうだ。本の発行元の七つ森書館は、自社の「ノンフィクションシリーズ “人間”」に読売新聞社会部が書いた同書(1998年に新潮社から発刊)を加えるため復刊したいと2010年末から読売と交渉を開始。著者名を「読売社会部清武班」と改め、11年5月に七つ森は読売と出版契約を結んだ。

ところがこの後、事態は一変する。11年11月に本のメイン著者で当時、読売巨人軍球団代表だった清武英利氏が、重大なコンプライアンス違反があるとして、球団会長兼読売新聞主筆の渡邉恒雄氏を告発したのだ。これにより清武氏は球団代表を解任されたが、この火の粉は七つ森の出版契約にも降りかかり、読売が契約解除を申し入れる事態となった。しかし、七つ森側がこれを拒否したため、読売は翌12年4月に七つ森を相手取り、「出版契約無効確認請求事件」として東京地裁に提訴した。

裁判の大きな争点は出版契約が有効か無効かだ。原告側の証人として出廷した契約書に署名捺印した、本の著者の一人である東京本社元社会部次長の星春海氏は「だれにも相談することなく、会社の了解を得ずに自分が独断で契約を結びました」と証言し、契約無効を主張。星氏は「清武さんに怒鳴られるのが怖かったので、清武さんの言いなりに契約を締結した」と述べた。社員が個人の一存で出版契約を勝手に結ぶことがあるのだろうか……。裁判官も星氏に質問したが、合点のいく答えは返ってこなかった。

これに対して被告側証人の清武英利氏は「筆頭次長の星に契約を任せていた」と証言した。

判決は当初9月ごろと見込まれていたが、かなりずれ込むようだ。

(橋詰雅博・フリーランスライター、4月25日号)

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