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東京オリンピックの候補会場で測定――放射線量の高い競技場が複数

オリンピック候補会場の空間放射線量の測定結果を発表する「測る会」のメンバー。(撮影/桐島瞬)

オリンピック候補会場の空間放射線量の測定結果を発表する「測る会」のメンバー。(撮影/桐島瞬)

二〇二〇年夏のオリンピックの立候補都市になっている「東京」の候補会場には、空間放射線量が環境省の除染基準を上回る場所もあった――。

 オリンピック候補会場の放射線を測る市民の会(以下、測る会。筑紫建彦コーディネイター)は八月二八日、首都圏にある三七候補会場の測定結果を報告する集会を東京・文京区民センターで開き、候補会場では最高で毎時〇・五マイクロシーベルト(μSv)近い放射線量が測定されたことを発表した。結果は、国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長にも送ったという。

 測る会は今年四月から五月にかけ、東京、神奈川、埼玉の全候補地を測定した。北海道と宮城にある計二会場は省いた。

 測定メンバーは、趣旨に賛同した市民三六人。各自所有の測定器を使って一施設あたり三回ずつ測定した。誤差を少なくするために、中間の値を記録。土壌測定は民間の放射能測定所に依頼した。

 地上一メートルの空間線量が最も高かったのは、東京都臨海部にある海の森クロスカントリーコース。馬術競技が予定されるこのコースは現在造成中だが、北西の角地にある土の斜面で毎時〇・二九μSvを記録した。

 国立代々木競技場(ハンドボール)、皇居外苑(自転車ロードレース)、東京国際フォーラム(ウエイトリフティング)などでも、軒並み毎時〇・一五μSv超え。また、競技場内ではないが、東京ビッグサイト近くにある道路上では、毎時〇・二〇μSvを計測した。

 地上五センチでの空間線量も合わせて測ったところ、馬術競技を行なう夢の島競技場で毎時〇・四八μSvとなり、ホットスポット化していることがわかった。また、この場所の土壌を採取して調査したところ、三〇四二ベクレル/キログラムの放射能が検出された。

 これは突出して高い汚染度だ。福島第一原発近くの福島県相馬市で、別の市民団体が七月に川沿いの土手の土壌を調べたところ一〇万から一〇〇〇ベクレル程だった。つまり、福島に匹敵する土壌汚染が候補会場内にあると言える。なお、ほかの競技場の土壌汚染は五〇から一〇〇〇ベクレル程だった。

 環境省では年間一ミリシーベルト(mSv)以下の被曝に抑えるために、そこから割り出した毎時〇・二三μSv相当の地域を除染実施区域に指定している。局所的とはいえ、候補会場の中には、除染が必要なほどに放射能汚染されている場所があることが証明された。

 測る会が放射線量を測定したのは、問題提起をする狙いがあった。

「都はオリンピックの東京招致に熱心だが、一方で放射能のことは全く議論されていない。競技を行なう場所の放射線量を誰も知らないのは問題だと思った」(筑紫氏)

 測定メンバーの田中一郎氏は、都の対応をこう批判する。

「これでオリンピックが決まれば、海外から訪れた人たちが内部被曝する可能性を否定できない。猪瀬(直樹東京)都知事は『東京の現在の放射線量はロンドン、パリ、ニューヨークとまったく変わりがない』と発言しているようだが、事実に反する無責任な発言だ」

 結果はIOCに加え、二〇〇カ所を超える各国の国内オリンピック委員会(NOC)に日本語、英語、フランス語で送った。九月三日現時点で、IOCから調査に関する問い合わせなどはないという。

 二〇年夏のオリンピックは、東京、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)が立候補都市に選出。九月七日に開かれるIOC総会で開催都市が決まる。

 詳しい測定結果は、同会のホームページ(URL http://olympicsokuteikai.web.fc2.com/)で確認できる。

(桐島瞬・ジャーナリスト、9月6日号)