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大阪のがれき受け入れ反対運動での逮捕者裁判――出廷した警察官の証言に疑義

2013年6月4日5:37PM

 大阪地方裁判所で四月二二日、関西電力前で逮捕されたA氏(公務執行妨害・傷害罪)の第三回公判(石井俊和裁判長)が行なわれた。今法廷には検察側証人となる大阪府警の警察官二人が出廷し、注目を集めた。

 大阪市で、反原発運動の市民が連続逮捕されたことは物議を醸している。A氏はその最初の逮捕者だ。昨年一〇月五日に関電本社前で抗議に参加中、逮捕された。A氏を筆頭に、延べ一〇人もの逮捕者を出した大阪府警に対し、不当な弾圧ではないかとの声が全国から上がり、一二月には憲法研究者による抗議の声明が出された。

 証人に立った二人の警察官は、いずれもA氏から押し倒され一人は顔と肩の打撲、一人は薦骨骨折のけがを負わされたという。だが、柔道も剣道も段持ちで公務中の状態にある警察官が、武道の心得もないA氏に容易く押し倒されるのだろうか。それも正面で向き合う状態から倒されたとのことだ。

 筆者は現場にいたB氏から目撃談を得た。B氏は個人商店に逃げ込んできたA氏が、商店の自動販売機を背に警察官に詰め寄られている様子を目撃。A氏が退路を失って、困っているように見えたので逃がそうとしてA氏の腕を掴んだが、体勢が悪く離してしまった。そこに、唐突に警察官が後ろ向きに倒れてきたという。

 A氏の弁護人からは当日の様子を撮影した映像が証拠提出されている。映像でも目撃談同様、自動販売機を背にしてそれ以上後ずさりできず、横にスライドして警察官を避けるA氏を警察官が追い込んでいるように見える。警察官が市民を過剰に追い込み、事件が発生したのだとしたら本末転倒だ。

 また、被害にあった警察官の取り調べ調書に、A氏から巴投げで投げられたとの記述があることが明らかにされた。法廷証言で否定されたが、調書自体の信憑性にも疑いがもたれる。

(真野きみえ・ライター、5月17日号)

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