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厚労省は副反応の症例に「対応の必要はない」――子宮頸がんワクチン被害訴え

2013年4月30日5:21PM

ワクチンによる副反応を示す子どもの説明をする東京都日野市の池田利恵市議。(撮影/野中大樹)

 子宮頸がんを予防するワクチン「サーバリックス」と「ガーダシル」について、接種した中高生らに全身の痛みや頭痛が起きているとし、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会は四月八日、田村憲久厚生労働大臣宛に嘆願書を提出した。

 HPV(ヒトパピローマウイルス)によって起こる子宮頸がんは、子宮がんの約七割を占めるとされ、若年層に発症者が多い。

 連絡会は、(1)ワクチン接種の中止(2)情報提供体制の確立(3)症状の追跡調査(4)相談窓口の設置(5)補償体制の確立――などを求めている。

 約五万円(三回分)と高額だった同ワクチンの接種は、三月二九日に参議院で予防接種法改正案が可決したことで、定期接種対象になった。四月一日からは多くの自治体で自己負担ゼロになっている。

 一方で、法案可決前の三月二五日には被害者連絡会が発足。同ワクチンを接種した娘が副反応を示し、現在も体調不良がつづいている松藤美香さん(四六歳)が会長についた。同日の会見で松藤さんが「被害に苦しむ少女が多数いる。厚労省は追跡調査してほしい」などと訴えると、二〇〇件以上の悩みが同会に寄せられたという。

 八日の会見では、男性(四二歳)が高校二年生の娘の症状を報告。娘は二〇一一年六月に一回目のサーバリックスを打った後、体調が悪化しはじめたという。

「二度目(同年九月)の接種後、全身の痛み、激しい頭痛に見舞われた。三度目(昨年四月)の接種後は歩くことも寝返りを打つこともできなくなった。難病と診断され、二カ月間入院した。サーバリックスを打つ前は元気だった」

 娘は小中学校では皆勤で、スポーツにも打ち込んでいたという。

 厚労省は副反応の症例について専門家による検討会議を設けているが、本誌の取材に「失神などの副反応は報告されているものの、他のワクチンと比べ異常は少ない。対応の必要はない」と断定した。

(野中大樹・編集部、4月12日号)

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