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福岡県篠栗町議会で会期最終日に可決――携帯基地局の設置条例が廃止

2013年1月28日5:04PM

福岡県篠栗町の携帯電話基地局。住民には最低限の情報開示も許されないのか。(撮影/加藤やすこ)

 携帯電話基地局をめぐる紛争が多発する中、住民の知る権利を保障するものとして注目を集めていた、福岡県篠栗町の「携帯電話中継基地局の設置に関する条例」が、わずか六年で幕を閉じた。

 同町では二〇〇六年一二月に、携帯基地局の設置計画の周知と事前説明会を事業者に求める「携帯電話中継基地局の設置に関する条例」を制定し、翌年二月から施行していた。しかし、町議会で九人の議員が条例廃止を提案し、昨年一二月一七日、圧倒的賛成多数で可決されたのだ。

 同町議会事務局に取材を申し込んだが、「慎重に対応すべき問題でもあり、正・副議長の決裁が必要」という理由で締め切りまでに回答を貰うことはできなかった。

 同条例は、紛争防止と安心・安全なまちづくりが目的で、基地局の設置を禁止してはいない。条例制定後に町内に基地局が何基設置されたのか建設課に尋ねたが、「デリケートな問題であり、(記事で)どう扱われるか不明なので回答できない」という。

 そこで、総務省電波利用ホームページで検索すると、同町では二〇〇九年以降だけで、五七基地局が免許を受けている。

 市民団体「OFF電磁波ささぐりの会」のメンバーは、「条例があっても基地局は建っており、中止になったのはわずか。今までは条例があったから意見しやすかった。今後は、設置情報もこなくなるだろう」と不安を訴える。

 同町では条例を制定・改廃する場合などに、パブリックコメントを募集することになっている。「今回も当然、意見を募ると考えていた」と、〇六年に条例制定を提案した村嶋秀樹・元町議は言う。

 また、町と町議会側の動きについて「本来なら、条例廃止は町執行部から提案されるべきだが、パブリックコメント募集を避けるため、議員からの提案として出し、可決したのではないか」と指摘している。

(加藤やすこ・環境ジャーナリスト、1月11日号)

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