考えるタネがここにある

週刊金曜日オンライン

  • YouTube
  • Twitter
  • Facebook

, ,

【タグ】

福島原発告訴団の思い(6) 古川眞智子さん

2012年6月15日2:43PM

〈告訴は悲劇を繰り返さぬための「けじめ」〉 福島県いわき市在住 古川眞智子さん(60歳)

 私たち夫婦は14年前、いわき市の山奥に家を建て、山を開墾し、無農薬有機農法で畑を作り、果樹を植え、沢から水を引いてワサビを栽培し、伐採した木にキノコを植菌し、薪ストーブで暖を取るという生活を謳歌していた。

 家で飼っている2匹の犬たちも、自由に野山を駆け回り、畑を荒らす猪を追い払ってくれた。私たちへの手土産とばかりに、モグラやネズミを狩ってくることもあった。私たちは、そんな平穏で幸せな日々を過ごしていた。

 だが、原発事故ひとつで、そのすべてが台無しにされた。家の東側は竹林で、北と西側は杉林。除染のしようがない。犬たちにまで、凄まじいばかりの被曝をさせてしまっている。私がライフワークにしていた自然観察の案内人「もりの案内人」の活動も、ひどい放射能汚染のためにできなくなった。

 事故から半年間は、毎日涙がこぼれて仕方なかった。体調も芳しくなく、今も口内炎を繰り返している。あの日以来、心の休まる日は一日たりともない。大きな地震が来て、福島第一原発の4号機が崩壊する夢を何度も見た。

 でも、これだけの被害を引き起こしていながら、なぜ誰も刑事責任を問われていないのだろう。このまま原発事故が風化してしまえば、この国は第二、第三のフクシマの悲劇を繰り返すに違いない。私たちの刑事告訴は、決してそうはさせないための「けじめ」である。

(まとめ・明石昇二郎〈ルポライター〉、6月1日号)

【タグ】

●この記事をシェアする

  • facebook
  • twitter
  • Hatena
  • google+
  • Line

電子版をアプリで読む

  • Download on the App Store
  • Google Playで手に入れよう

金曜日ちゃんねる

おすすめ書籍

書影

黒沼ユリ子の「おんじゅく日記」

ヴァイオリンの家から

黒沼ユリ子

発売日:2022/12/06

定価:1000円+税

書影

エシカルに暮らすための12条 地球市民として生きる知恵

古沢広祐(ふるさわ・こうゆう)

発売日:2019/07/29

上へ