週刊金曜日公式ブログ 週刊金曜日ニュース

「疑惑の3日間」に昭恵氏が大阪府私学審梶田会長と面会 共産党の追及で明らかに

4月10日、東京・渋谷の催しで国会追及を予告した宮本岳志衆院議員。(撮影/横田一)

森友学園問題の幕引きを許さない動きが続いている。

4月12日の衆院財務金融委員会では、この問題を国会で初めて取り上げた宮本岳志議員(共産党)が、新たな「妻の関与」について質問。安倍昭恵氏が森友学園で講演をした2015年9月5日の前日、条件付で小学校設置認可をしたばかりの大阪府私立学校審議会の梶田叡一会長(奈良学園大学学長)と面会していたことを指摘、こう問い質したのだ。「(昭恵氏は)翌日には森友学園に講師で行く予定なんですから、当然、小学校建設や認可に関する話が昭恵夫人と梶田学長との間で交わされたことは容易に想像がつく」「講演を行なった昭恵夫人は私人であるのか公人であるのか。同行した職員(谷氏)は公務なのか」。

この時、宮本氏は奈良学園大学のホームページのコピーを配布。そこには、同大学で開催されたイベントに昭恵氏が駆け付け(谷氏も同行)、学長で私学審会長の梶田氏も参加と記されていた。

動かぬ証拠を突き付けられた土生栄二内閣審議官は事実関係を認めた上で、「昭恵夫人は私人。講演は私的な活動」「(夫人付)職員の同行は当面の連絡調整のためで、公務で同行」と答えた。

これに対し宮本氏は「内閣総理大臣夫人として紹介されて(森友学園で)講演、名誉校長に就任しているわけだから『私人』と言い切るのは無理がある」と反論、関西出張の全容を明らかにするように求めた。宮本氏はこう話す。

「『財務内容や教育内容が心配』という意見が出ていた私学審の梶田会長に、講演と名誉校長を引き受けた昭恵夫人が9月4日に会った。当然、『明日は森友学園に行って講演をする』という話が出ても不思議ではなく、梶田氏に対して『安倍首相と昭恵夫人は森友学園の教育内容について“了”としている』というメッセージになったのは間違いない。国有地払い下げと並んで『私学認可にも安倍夫妻が関わった』という重大な疑惑を生む。昭恵夫人が国会で説明しない限り、関与は否定できないだろう」

国有地払下げと私学設置認可は「ニワトリとタマゴ」で近畿財務局と大阪府の連携抜きには実現困難な案件だったが、ここに安倍夫妻が関与したようにみえるのだ。

【財務省、聞き取り調査拒否】

宮本氏のもう一つの配布資料は、府の「設置認可申請に関する検証報告」。近畿財務局が5回も大阪府私学課担当者と面談、電話でもやりとりをしていた経過の一覧表を示した上で、財務省に訪問の事実関係をまず確認したのだ。

これに対し佐川宣寿理財局長は「個別の日時とか回数までは把握していない」「個別の面会の記録、やりとり等は残っていない」と答弁、宮本氏は「話にならない」と呆れ、近畿財務局職員の府訪問日時が「13年9月12日・11月19日・14年7月28日・10月2日・15年1月8日(府作成の一覧表)」であることを指摘、大阪府と同じように担当者への聞き取り調査をするべきと迫ったのだ。しかし、佐川理財局長は「通常の地方公共団体とのやりとりの一環。改めて調査をすることは考えていない」と聞き取り調査を拒否した。

「借地上への校舎建設禁止」の審査基準違反をした私学課長に厳重注意の甘い処分を下した大阪府だが、聞き取り調査をして報告書も発表した。それに比べて財務省は、「議事録は破棄した」「パソコン上のデータも復元困難」と答えるだけで面会記録などの文書も公開していない。「財務省は大阪府と同じような聞き取り調査すらしようとしない。“疑惑隠蔽内閣”と批判されても仕方がないでしょう。昭恵夫人が梶田・私学審議会長と会った後、ファクスなどを用いた夫人付職員の谷氏の働きかけがあり、最終的に森友学園の要望(月額100万円以下の10年分割払い)が実現した。昭恵夫人の口利き疑惑の解明のために、関西出張内容を明らかにすることが重要なのです」(宮本氏)。

深まる疑惑に対し調査拒否と虚偽答弁を繰り返す安倍政権だが、「幕引きを許さない」と追及を続ける側との攻防は今後も続く。

(横田一・ジャーナリスト、4月21日号)

政府の中長期財政収支見通しは“取らぬ狸の皮算用”(鷲尾香一)

国際公約となっている2020年のプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)の黒字化。結局、達成はできないということが白日の下に晒された。

PBはわかりやすく言えば国債関連の収入・支出を除いた財政を指す。つまり、税収を中心とした歳入で歳出が賄われている姿だ。

企業にたとえれば、無借金経営の上、黒字化となれば儲けが出ている状態になる。

では、今の国家財政はどうなっているのか。当欄でも以前に指摘したが、16年度予算では、三度も補正予算を組み、当初、赤字国債の発行は計画していなかったにもかかわらず、税収不足などから赤字国債を発行するに至った。

16年7月時点での一般会計のPBは11兆6000億円の赤字だったが、今年1月に出された政府の中長期財政収支見通しによると、16年度一般会計のPBの赤字は16兆7000億円と昨年7月時点から5兆1000億円も増加している。

赤字増加の要因は、税収下振れ額が1兆7000億円、社会保障費や交付税以外の歳出増が3兆5000億円となっている。つまり、予算での歳入の見通し、目論見が見事にはずれたのだ。

しかし、中長期財政収支見通しによると、16年度の三度にわたる補正予算による景気対策効果があらわれ、17年度からは税収が着実に増加する見通しにある。

16年度55兆9000億円だった税収は17年度57兆7000億円、18年度59兆6000億円、19年度62兆9000億円、20年度には67兆1000億円まで増加すると予測される。

ただし、この税収見通しは16年7月の時の中長期財政収支見通しと比較すると、各年度とも2兆円程度下方修正されている。

一般会計でのPB対象経費は、16年度が77兆9000億円であったのに対して、17年度73兆9000億円、18年度74兆9000億円、19年度77兆円、20年度79兆6000億円というように、税収が増加する見通しにもかかわらず、19年度までは16年度を下回る水準にある。

つまり、20年度までは歳出を抑制して、一般会計のPB黒字化に向けた努力をしているという“格好”だけでも示そうという浅知恵が見て取れる。

実際、一般会計のPBの見通しでは、20年度の赤字額は6兆8000億円、国と地方を合わせたPBは8兆3000億円の赤字と黒字化など程遠い見通しとなっている。

だが、政府の中長期財政収支見通しは、一般会計でのPB対象経費を抑制していることでも明らかなように、補正予算を組まないのが前提となっている。本当にそんなことが可能だろうか。

百歩譲って政府の見通しのように景気が回復して税収が増えたとする。しかし、景気の回復は日本銀行が実施しているゼロ金利政策を踏まえた未曽有の金融緩和策の終焉を意味する。

ゼロ金利で最も恩恵を受けているのは、タダ同然の金利で国債を発行している政府なのだ。景気が良くなり、金利が上昇を始めれば、国債の利払いが増加し、国債費が膨張することになる。結果、PBの黒字化は遠のく。

政府の中長期財政収支見通しは究極の“取らぬ狸の皮算用”ということになる。

(わしお こういち・経済ジャーナリスト。4月14日号)