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日本ペンクラブ、4月7日に「共謀罪」反対イベント開催

「共謀罪(テロ等準備罪)」の閣議決定に抗議し、共謀罪とその先に来る監視社会に「NO」を宣言するイベントを日本ペンクラブ(浅田次郎会長)が4月7日午後6時半から、東京・文京シビックセンター小ホールで開催する。雨宮処凛『週刊金曜日』編集委員も発言する。

「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案について、自民・公明両党は4月3日、両党の国対委員長が国会内で会談し、6日の衆院本会議で審議入りさせることで合意した。公明党は、性犯罪を厳罰化する刑法改正案を先に審議するよう求めていたが、自民党が「共謀罪」法案を刑法改正案より優先するよう強く求め、押し切っており、市民団体などからも強い批判の声が上がっている。

同イベントの発言者は、浅田次郎会長や漫画家のちばてつやさん、作家・映画監督の森達也さんら12人ほか。日本ペンクラブはイベントの告知で次のように問題意識を示している。

〈編集会議で「徹底取材」を確認し、嫌がる政治家をしつこくコメントを求めることまで、罪の対象になる可能性が見えてきます。
しかも、疑わしいだけで、しかもその基準もあいまいで警察の恣意的な判断の下で、検挙され身柄が拘束されることになります。
さらにそのためには、日常的に電話やメールを盗聴するなどして証拠を集めることが必要で、そのために法改正がなされ、その結果、自分たちが知らないうちに、取材過程が監視されることになりかねません。
言論・表現活動に携わる者として、共謀罪が取材・報道の自由とどのような影響があるのかを改めて確認し、同時に、昨今の《言論萎縮状況》にいかに立ち向かっていくかを語り合う、元気が出る会にしていきたいと思います〉

日本ペンクラブは、国際P.E.N.の日本センターとして、「国際P.E.N.憲章」に基づき、「文学の普遍的価値の共有」「平和への希求と憎しみの除去」「思想・信条の自由、言論・表現の自由の擁護」を基本理念として活動している。

同イベントは参加費1000円で定員325人。当日先着順受け付けで事前申し込み不要。

(伊田浩之・『週刊金曜日』編集部)

石原元都知事の豊洲移転論を援護した都の専門家会議の開き直り

3月14日、豊洲移転反対で記者会見をする「築地女将さん会」。(提供/横田一)

東京都の専門家会議(座長は平田健正・放送大和歌山学習センター所長)は3月19日、豊洲市場の地下水再調査で環境基準の最大100倍のベンゼンが検出されたことなどを報告。数値が跳ね上がった前回(9回目調査)以上の値で、検出されてはいけないシアンも確認されたが、それでも平田座長は「地上と地下は別で、市場の地上部分については安全」と強調した。

しかし会議を傍聴していた仲卸し業者「関富」の関戸富夫社長(「躍進する市場の会」会長)は、「科学的に『安全』でも消費者が『安心』と捉えなければ、豊洲移転をしても経営は成り立たない。よりハードルが高い安心の議論が抜け落ちている」と批判した。専門家会議の設置要綱には「安全」と「安心」の両方を確保する観点から検討すると明記されているのに、平田座長は「専門家会議で科学的な安全は言及できるが、安心は政治的な判断だ」と述べて事足りたのだ。二つの課題が与えられたのに、自分の得意分野だけに取り組んで開き直るのは、職務怠慢としか言いようがない。

そこで質疑応答で「(設置条項にある)『安心』についても検討すべきではないか。科学的に『安全』でも豊洲移転で経営が成り立つ保証はない」と聞いたが、平田座長は考えを変えようとしなかった。

科学論に偏った専門家会議の“安全宣言”は、科学信奉者の石原慎太郎元都知事の豊洲移転論を下支えしている。翌20日の都議会百条委員会で石原氏は、次のように訴えたのだ。「土壌汚染の権威が豊洲は安全だと言っている。風評に科学が負けるのは国家の恥だと言う人もいる。小池(百合子)知事は速やかに移転を決断すべきだ」。

これに対して小池知事は、「基準を上回っている事実を非常に重く受止めなければならない」と強調、消費者の理解(安心)を得ることが重要との立場を崩さなかった。小池知事は10日の定例会見でも「(石原氏らの豊洲移転論に対し)消費者としての理解とその選択に、実際に消費者はそれだけ合理的な考え方をしてくれるのかどうかというのはクエスチョンマークだと思っている」と反論した。

豊洲移転をめぐる現知事と元知事の“バトル”が激化する中、小池知事にエールを送る動きが始まっていた。「築地市場の人たちを生殺しにしたのは小池百合子都知事」(3日の記者会見)と批判する石原氏に対し、築地市場で働く女性たちが「生殺しにしているのは石原さん」と抗議。1月に結成した「築地女将さん会」が14日、7割の水産仲卸業者から集めた豊洲移転反対署名を都に提出し記者会見、異議申し立てをしたのだ。

【移転中止訴える女性たち】

会結成の思いは「(移転問題について)男の人たちだけに任せてはいられない」。「豊洲新市場への移転計画の中止を求める請願署名」と銘打った署名は小池知事宛で、昨年8月31日の移転延期の決断に感謝した上で、移転計画の中止を求めた。そして記者会見では山口タイ会長らが「(土壌汚染などで)不安な場所には行きたくない」「ランニングコストが5~7倍かかる豊洲にはついていけない」と移転中止の理由を次々と訴えた。

質疑応答で石原氏らの豊洲移転論について聞くと、マグロ仲卸業の岩井令子さんはこう答えた。

「豊洲は、液状化対策で建築学会の基準を満たしていません。東日本大震災で築地市場は問題なかったのに、豊洲新市場は100カ所以上が液状化した。そんなところで生鮮市場は営業できません」

仮に現時点で安全でも、発生が確実視される首都直下型地震で豊洲新市場が再び液状化、汚染物質が地上に出てきて安全性が崩れ去る恐れは十分にあるというのだ。

石原氏らの豊洲移転論は、消費者の理解(安心)に目を向けず、豊洲市場での持続可能な経営を保証しない暴論といえる。不得意分野の「安心」を考慮外とした“タコツボ型科学者”の安全宣言を、科学万能主義者が受け売りしている程度の話だ。これでは現実の世界では役に立たず、消費者の理解が得られるはずがないだろう。小池知事の判断が注目される。

(横田一・ジャーナリスト、3月24日号)