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都議選の争点に「共謀罪」が浮上  「右腕」若狭勝衆院議員が反対しても小池都知事は沈黙

千代田区長選で応援演説をする若狭議員(右)と小池都知事(左)。2月4日。(撮影/横田一)

民進・共産・自由・社民の4野党が、「法案提出後に議論をすべきだ」とする報道機関向け文書を作成した金田勝年法務大臣の辞任要求で一致する中、いわゆる共謀罪(テロ等準備罪)が東京都議選(7月2日投開票)の大きな争点になる可能性が出てきた。安倍晋三首相が「東京五輪開催にはテロ等準備罪(いわゆる共謀罪)の創設が不可欠」(2月3日の衆院予算委員会)と答弁したのに対し、野党は「五輪を口実に成立させようとするやり方は姑息だ」(民進党の逢坂誠二衆院議員)などと反論した。

都知事選で小池百合子都知事を除名覚悟で応援した自民党の若狭勝衆院議員(東京10区)も本誌2月10日号で既報の通り、1月7日のブログ「専門家としてこのままでは政府の考えに断固反対!!」で、刑事法・テロ対策の専門家などの立場から、次のような反対論を述べていた。「名称にいくら『テロ』の言葉を盛り込んでも、(中略)国民の多くの命をテロから守るためには効果が乏しい。(中略)いかにもテロ防止に資するような名称を付け、これでテロ対策の法律としてまずはひと安心という誤った意識を国民と政治家に抱かせる(ミスリーディングする)こと自体極めて危険です」「国民の命を守り抜くという政治信念を強く抱く私には到底容認できません」。

若狭氏は、安倍首相にほとんど異論を唱えない“子羊集団”のような自民党の中で、持論を訴える稀有な存在。去年10月の東京10区補選でも、原発テロ対策が不十分(航空機テロへの対策がなされないままの原発再稼働を疑問視)とホームページに掲載、囲み取材でも同じ主張を繰り返した(拙著『新潟県知事選では、どうして大逆転がおこったのか』で紹介)。

さらに、「国際組織犯罪防止条約締結に必要」という政府の説明も次のように一刀両断。「この条約のターゲットは、そもそも、不正な『金銭的利益』等に絡む国際組織犯罪の防止です。ですから、それをテロに絡ませるというのは、法律の作り方としては姑息です」。

14日の衆院予算委員会でも民進党の今井雅人衆院議員(元維新幹事長)が問題視。「条約が求めていない政治的、宗教的な目的のテロは(テロ等準備罪の)法案の対象になるのか」と質問すると、金田大臣は「(共謀罪は)条約に必要な法整備として設けるので、条約の担保という目的を離れて立案することは考えていない。これには入らない」と答弁。当然、今井氏は「テロをカバーしないなら『テロ等』という名前を付けることは粉飾で、印象操作だ」と批判した。

【五輪開催に必要なのか】

若狭氏も先のブログで東京五輪時のテロ阻止に必要なのは「これまで我が国に一切なかった(一部テロ資金の封じ込めに係る法律を除き)『テロ未然防止法律』の整備」と強調。国会を通過しやすいのなら、「時限立法でも良い」と述べた。

注目されるのが、東京五輪開催地の小池百合子都知事の対応だ。

4日の政治塾「希望の塾」での囲み取材では「共謀罪は国政の課題」と都政と切り分ける考えを示したが、小池知事が“盟友”の若狭氏に同調する可能性は十分にある。

永田町ウォッチャーはこう話す。「豊洲移転問題と同様、共謀罪は都議選で自民党との違いを示すことができる政策課題。共謀罪反対の都民の民意を背景に『都民ファーストの会』や公明党や民進党などの野党が都議選で『五輪開催に共謀罪が必要なのか』を問えば、安倍首相に同調する自民党を過半数割れに追い込む可能性はさらに高まる。逆に“小池チルドレン”が共謀罪必要論に賛同すれば、『安倍首相ファースト』と批判を受ける恐れがあります」。

五輪開催地の都議選で「共謀罪はノー」の民意が示されれば、法案の立法事実(必要性)が崩れ去るのは言うまでもない。それでも安倍政権が強行採決をすれば、今秋とも言われている総選挙で「共謀罪廃止法成立」で一致する野党が統一候補を擁立、安倍政権に挑む展開になるのは間違いない。

都議選で小池新党の擁立候補は共謀罪に対しどんな立場を取るのか。小池知事の判断が注目される。

(横田一・ジャーナリスト、2月24日号)