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IR誘致推進の林現市長に反対の立場で長島氏が出馬――横浜市長選はカジノが争点に

カジノ反対を掲げ横浜市長選への出馬表明をした長島一由元衆議院議員のホームページから。

カジノ反対を掲げ横浜市長選への出馬表明をした長島一由元衆議院議員のホームページから。

1月11日、菅義偉官房長官(神奈川2区)の地元・横浜市で激震が走った。8月の横浜市長選でカジノ推進の林文子市長の3選を阻止すべく、元衆院議員の長島一由・元逗子市長が出馬表明会見を開いた。最大の公約は「カジノ反対」。横浜市のカジノ推進施策を批判しながら、「本当にカジノを誘致する必要があるか選挙で市民に聞いてみたい」という考えを明らかにしたのだ。

「市はカジノを含むIR(統合型リゾート)誘致で『税収が61億円増える』と見込んでいるが、ギャンブル依存症によって生活保護世帯が増えれば、税収増どころかマイナスになるリスクがある」「市が進める横浜港の臨海部再開発は、カジノを含めないホテルやテーマパークが中心の施設を誘致すべきだ」として代替案も示し、市がIR誘致のために土地整備をしようと検討していることも批判した。ホームページに掲げたキャッチフレーズは「NO!!カジノ」で、カジノなしの基本政策(案)「横浜2021シナリオ」も提示している。

一方、現職の林文子市長は2期目で、「俺が実質的な横浜市長」と豪語したと噂される菅官房長官直系として有名だ。“菅傀儡市政”と呼ばれることがあるのはこのためだが、実際、カジノを含むIR推進でも足並みを揃えている。IR議連主催の緊急集会(昨年12月8日)では、林市長の代理で挨拶した副市長は「IR整備は観光立国の実現に大変重要な政策」「地域経済の活性化や雇用創出や都市経営で大変メリットの大きい手法」と絶賛。地方自治体の財政基盤強化のメリットについても、こう述べていた。「税金を使わず、IR事業者によって文化・芸術・スポーツ施設など、自治体にとって必要な施設を整備運営していただける」。

横浜市は、ギャンブル依存症患者が大損することによる収益で施設整備をカジノ業者に肩代わりしてもらおうとしているのだ。

4年前の市長選で旧民主党は林市長支援に回ったが、民進党の江田憲司代表代行は昨年12月9日の会見で「カジノには断固反対」「菅官房長官と林市長が一体となって横浜にカジノを誘致しようとしている」と批判、こう強調した。「闇金融や反社会的勢力の資金源になることは明らかで、ギャンブル依存症の問題もある。『横浜の町を守る』という観点からもカジノ反対の候補者を擁立すると思います」。

14日の野党共闘集会でも元経産省官僚の古賀茂明氏は「I am not ABE」のプラカードを掲げ、安倍政権の「ギャンブル大国を目指す」という成長戦略を「悪魔の成長戦略」と酷評。「横浜は菅長官のお膝元で港湾利権とくっついている。横浜市長選は絶対負けられない戦いと思っています」と訴えた。

今夏の横浜市長選での対応を民進党は最終決定していないが、「カジノ反対の野党統一候補vs.菅直系のカジノ推進の林候補」の構図となる可能性は十分にある。

江田氏は「次期衆院選挙でもカジノは国民の関心の高い問題で納得もしていないため、大きな争点になるだろう」との考えも示した。

【今後全国で選挙の争点に】

昨年12月15日のIR整備推進法(カジノ解禁法)成立でカジノを争点とした選挙が各地で起きる可能性が出てきた。「全国カジノ賭博場設置反対連絡協議会」代表の新里宏二弁護士は、こう話す。

「今後、北海道や長崎や大阪や横浜などの誘致自治体の首長選でカジノの是非を問う選挙が頻発するでしょう。小樽市長選(15年4月26日投開票)では『小樽にカジノはいらない』と訴えた森井秀明・元市議が、カジノ誘致を言い出した現職の中松義治氏を破りました」

小樽市長選で中松氏を支援したのは、自民・公明・民主(当時)、各党・連合小樽・小樽商工会議所。昨年10月の新潟県知事選と同様、民意の受け皿となった候補が大政党と連合が推す候補に勝利するという番狂わせが起きていた。

IRは原発と同様、地域社会を破壊する巨大迷惑施設。「地域(故郷)を守る」がキャッチフレーズとなり、首長選挙や国政選挙で大きな争点になるのは間違いない。

(本誌取材班、1月27日号)