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「朝鮮学校補助金停止」圧力にオモニらが抗議

朝鮮学校の生徒の母親らは、不当な差別に一斉に抗議した。4月8日、東京・永田町にて。(写真/星徹)

朝鮮学校の生徒の母親らは、不当な差別に一斉に抗議した。4月8日、東京・永田町にて。(写真/星徹)

東京・千代田区の参議院議員会館で4月8日、朝鮮学校全国オモニ会連絡会の主催で「3・29文科省通知の撤回を求めるオモニ達の緊急集会」が開かれ、約100人のオモニ(母親)らが詰めかけた。

馳浩文部科学大臣名で先月29日、朝鮮学校設置28都道府県の知事あてに一つの通知が出された。この通知は、北朝鮮と密接な関係を有する朝鮮総聯が朝鮮学校に影響を及ぼしているとし、「朝鮮学校に係る(中略)補助金の趣旨・目的に沿った適正かつ透明性のある執行の確保」と「住民への情報提供の適切な実施」を求め、域内市区町村関係部局にも周知するよう「お願い」している。

自民党内からの圧力の結果でもあり、実質的な「補助金停止」圧力と言える。関係自治体の動揺が広がっているようだ。

集会で、在日本朝鮮人人権協会の金東鶴副会長は「(国の)この制裁のあり様は(ヘイト・スピーチを繰り返す)在特会と同じロジックであり、同じレベルだ」と批判した。朝鮮学校西東京オモニ会の張敬愛代表は、「国・文科省は子どもたちの尊厳を傷つけ、民族差別を助長している。私たちは、子どもたちのために一歩も引かない」と決意を示した。

会場の他のオモニたちも、「朝鮮学校差別NO!」「平等な権利を!」などと書かれたパネルを一斉に高く掲げ、それぞれの熱い思いを口にした。

(星徹・ルポライター、4月15日号)

立憲ネット議員、沖縄へ――「民主主義の危機」共有

4月4日、辺野古ゲート前で座り込み行動に参加する議員たち。(提供/仲村未央)

4月4日、辺野古ゲート前で座り込み行動に参加する議員たち。(提供/仲村未央)

「自治体議員立憲ネットワーク」(会員759名・以下「立憲ネット」)の沖縄研修が4月3、4の両日、沖縄本島北部恩納村内のホテルを主会場に行なわれた。講師に招かれたのは翁長雄志沖縄県知事、稲嶺進名護市長、浅井春夫立教大学教授の3氏。辺野古新基地建設問題を通じて沖縄から見えるこの国の「民主主義の危機」を共有した。

立憲ネットは安保法案の提出をめぐって世論が警戒を高めていた2014年6月に立ち上がる。「立憲主義」を踏みにじる安倍政権との対決を鮮明に打ち出し、全国の自治体議員に結集を呼びかけた。

これに呼応し、15年12月には「立憲ネットおきなわ」が発足。「法を恣意的に解釈運用し、力ずくで民意を封殺・弾圧する安倍政権の姿勢は、安保法においても、辺野古新基地建設においても同じだ」として連帯の裾野を広げた。沖縄会員は、県議16名を含む80名超。

「沖縄の民主主義はやわではない。米軍ともやりあう中で県民自ら人権を獲得してきた」(翁長知事)、「直接交付金による政府の懐柔は地方をないがしろにし市民を分断するもの。国と対立すればどこでも起こりうる」(稲嶺市長)と、基地問題をめぐり民意の先頭に立つ二人の首長は、全国の議員を前に問題の本質を各々の課題に照らして問い直すよう呼びかけた。

さらに、浅井教授からは、今日、全国の2倍にあたる沖縄の子どもの貧困率の表出は「沖縄戦及び米軍占領の歴史をおいては語れない」と述べ、軍事優先の社会がもたらす影響は複合かつ長期に、最も弱い者を虐げていくと分析した。

各地で足場を固める自治体議員のつながりは参院選「市民連合」を底辺で支えていくはずだ。改憲勢力3分の2阻止、安保法廃止、新基地建設阻止の具体的方針を打ち出す、立憲ネットの始動に注目と期待を集めたい。

(仲村未央・立憲ネットおきなわ幹事長、沖縄県議会議員、4月15日号)

直接証拠のない今市事件で、無期懲役の判決――自白調書前提に大きな疑問

判決後に記者団の取材に応じる弁護団、4月8日、宇都宮地裁脇の路上で。(撮影/浅野健一)

判決後に記者団の取材に応じる弁護団、4月8日、宇都宮地裁脇の路上で。(撮影/浅野健一)

「足利事件をくり返さないで」「不完全な可視化は可視化じゃない」

6年前に無罪が確定した菅家利和さんを支援する会の3人が4月8日、宇都宮地裁前でプラカードを掲げていた。一審有罪でまた一人、何十年も獄にとじ込められる冤罪者が出る危険性が出てきた。

2005年の栃木県今市市(現日光市)小1女児殺人罪に問われた男性(33歳)の裁判員裁判で同地裁(松原里美裁判長、水上周・横山寛各裁判官、裁判員6人)は同日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。

この裁判では、直接証拠はなく、取り調べの録音・録画が7時間以上にわたって法廷で再生された。

裁判長は「被告人が犯人でないとしたなら説明することができない事実関係が含まれているとまではいえず、客観的な事実のみからは被告人の犯人性を認定することはできない」と述べた。一方、判決は商標法違反での逮捕後や殺人での逮捕前に行なった取り調べに違法性はなく、取り調べの録音・録画などからも、取調官により恫喝や暴行が加えられた事実はなかったと判断。その上で、捜査段階での自白について、「取調官の誘導と合う内容もある」としながら、録音・録画を根拠にして「取調官による誘導を受けた形跡がない」「あらぬ疑いをかけられた者の態度としては極めて不自然」「被告は処罰について強い関心を示し、処罰の重さに対する恐れから自白するかどうか逡巡、葛藤している様子がうかがえる」とも述べた。

裁判長の認定のほとんどは、別件の商標法違反での逮捕から約5カ月後に取った自白調書を前提にしている。有罪にした根拠は、法廷で再生された録音・録画での心証だ。裁判官と裁判員が物証がないことを認めた上で、録画映像を頼りに、男性の法廷での態度まで問題にして、想像、推測で「犯人」と判示したのは、自白について規定した憲法38条に違反している。

裁判員・補充裁判員の7人が閉廷後、同地裁会議室で会見し、「決定的な証拠がなかったので(犯行を自供した)録音・録画がなかったら判決がどうなっていたかわからない」などと録音・録画に強く影響されたと口を揃えた。裁判員は裁判長の犯人視裁判の共犯にされた。裁判員の中には、「抜けている部分が多いのかなという印象を持った。空想になってしまうので、もっと公開する範囲を広げるべきだ」という注文もあった。

【「可視化」で自白強要隠蔽か】

冤罪を防ぐための可視化が、捜査当局の自白強要を隠蔽するために使われた。裁判長こそ想像、空想に基づいて判示している。

弁護人の一木明弁護士らは閉廷後、記者団に対し、「自白で判決を書くのは危険だと言われているのに、自白を重視した判決を書かれたことが一番納得できない。判決は、最初は殺すつもりはなかったなどと検察官も誰も言っていないことを推測して自白前提の判決になっている」と批判した。また、「録画のないところで圧倒的な権力関係を利用して被告人を支配し自白に追い込んで、録画できるひな壇に連れてきて同じことを繰り返させた。国会で刑訴法等改定法案が問題になっているが、取り調べが全面的に録画されていればこのような判決にならなかった。滑稽なことだが、可視化していない時の取り調べの状況を法廷で証人尋問するなどして調べる必要が出てきた」と語った。弁護団によると、男性は「真実を法廷で述べているのに、どうしてこういう判決が出てしまうのか自分にはわからない」と述べ、控訴する意向を示した。

弁護団は国選だ。私は「控訴審に向けて、可視化の問題に取り組んでいる日本弁護士連合会、救援団体などと共に支援態勢をつくるべきではないか」と質問した。一木弁護士は「今のところそれはない。しかし、冤罪を作ってはいけないという強い気持ちでやってきた。このままでは冤罪として確定してしまう。二審の弁護団態勢は決まっていないが、一審で排斥された獣毛や、粘着テープに関する鑑定などで無実を証明したい」と決意を述べた。

(浅野健一・ジャーナリスト、4月15日号)

セブン&アイ鈴木敏文会長退陣の舞台裏――追い詰められての“辞任劇”

鈴木商法=セブン商法の問題点を追及する『セブン-イレブン 鈴木敏文帝国崩壊の深層』(筆者・渡辺仁、金曜日)。

鈴木商法=セブン商法の問題点を追及する『セブン-イレブン 鈴木敏文帝国崩壊の深層』(筆者・渡辺仁、金曜日)。

「コンビニ育ての親 突然の引退」などと報じられた(株)セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長・鈴木敏文氏(83歳)の辞任表明(4月7日)。会見で鈴木氏は、自らが提案した井阪隆一セブン-イレブン・ジャパン社長の退任案が同日の取締役会で否決(15人中、賛成7人、反対6人、白票2人)されたため「引退を決意した」とし、「慚愧に堪えない」と漏らしたが、口をついて出たのは周囲の批判ばかりで自らの責任には触れなかった。鈴木氏と共に退任の意向を示した村田紀敏セブン&アイ・ホールディングス代表取締役社長は、“井阪おろし”の提案を「(創業家の伊藤雅俊)名誉会長から断られ、判子をもらえなかった」とし、創業家との対立があったことを明かした。

鈴木氏の退陣は実のところ「突然」でもなんでもない。その背景については小誌連載「セブン-イレブン“鈴木帝国”の落日」(筆者・渡辺仁、2014年1月から15年2月まで計13回)で報じてきたが、ここではマスメディアが報じない退陣直前の舞台裏に迫る。

【問われるべきは経営手法】

昨年11月末にセブン-イレブンが「ブラック企業大賞」を受賞した翌月、セブン内部からと思われる怪文書が出回った。「祝! ブラック企業大賞 受賞理由は商品本部にあった!?」との見出し(前出の井阪社長が「商品本部」出身であることに留意)が付いた怪文書では、イニシャル入りで2人の幹部の「パワハラ」や「不正疑惑」「不倫」を暴露。「密会(不倫)現場証拠写真」のコピーもばらまかれ、「取引先有志一同」と称する文書もセブン&アイ本社に送りつけられた。怪文書の記事は「鈴木氏の神通力ももはやこれまでなのだろうか」と結ばれていた。

年明けには、鈴木氏が自身の保有するセブン&アイの株式のうち約30万株を売却したことをネットニュース「ソクラ」が報じた。十数億円の現金を手にしたとされる鈴木氏は、売却目的を明らかにしなかったという。同年3月末にはセブン&アイの大株主で米国の投資ファンド「サード・ポイント」が、井阪社長の更迭と息子(鈴木氏の二男でセブン&アイ取締役の鈴木康弘氏)への世襲の噂があるとして、懸念を示す異例の書簡を公表したことが報じられた。

鈴木氏は会見の中で、「息子に継がせるつもりだったのでは」との質問に、「びっくり仰天。そんなことひと言も言ったことはない」などと否定したが、関係者によれば「(株売却は)継がせるための軍資金か?」などと、まことしやかに囁く声もあったという。

サード・ポイントと創業家が手を組み、株式を大量取得したとの情報も流れた。伊藤家の資産管理会社・伊藤興業と伊藤名誉会長個人を合わせて、セブン&アイの発行済み株式の10%近くを保有するが、同日の取締役会が近づくにつれ「サード・ポイントと合わせて30%超に」「過半数に」などと“数字”は上昇。取締役会の数日前には、ついに鈴木会長の解任動議が出されるとの噂も飛び交った。そうした中での「突然の引退」だったのだが、実際は、自ら去る決断をしないと「解任動議」により追い出される可能性があった。

マスメディアは5月中旬に開かれる予定の株主総会で提起される新体制の行方について取り沙汰するが、鈴木商法=セブン商法の問題点を追及する報道は皆無だ。

一方、「独立事業者」とされる加盟店オーナーの労働者性を中央労働委員会の場で争っているコンビニ加盟店ユニオンのメンバーは「鈴木さんはあまりにも自己中心的だった。新体制にはコンビニを支える現場への心遣いと真摯な話し合いを求めたい」と語った。

カネ(年間1600億円超の広告費)にモノを言わせメディアの批判を封じる企業体質と、奴隷的と言われる契約で全国1万8000店あまりの加盟店に過酷な労働を強いて利益を吸い上げる経営手法が、鈴木退陣をきっかけに変わるのかどうか。誰がトップになろうとも、問われるべきはそのことだろう。

(本誌取材班、4月15日号)

再審死刑囚・風間博子さんの絵画展を開催

風間さんの細密な絵が読者を物語に誘なう。(提供/深笛義也)

風間さんの細密な絵が読者を物語に誘なう。(提供/深笛義也)

死刑囚である風間博子さんの絵画の展覧会が、4月23・24日、「無何有」(東京都新宿区新宿3-34-3千草ビル3階)で行なわれる。蜷川泰司著『迷宮の飛翔』(河出書房新社)の挿絵として描かれたペン画が展示される。

1993年に起きた埼玉愛犬家殺人事件で風間さんは逮捕され、殺人と死体損壊・遺棄罪で、2009年最高裁で死刑判決が確定している。風間さんは逮捕以来、殺人については一貫して否認。元夫である関根元氏に犯行現場に呼び寄せられ、その場の恐怖から、死体損壊・遺棄を手伝ってしまったことは認めている。

もう一人の共犯者、山崎永幸氏の供述により風間さんと関根氏は逮捕された。だが、山崎氏は二人の公判に証人として出廷すると、「博子さんは無実だと思います」と風間さんの主張を認める証言を何度もした。風間さんは再審請求を行なっていたが、昨年12月に最高裁で棄却され、現在新たな再審請求を行なっている。

風間さんはこれまでも、限られた画材で絵を描き続けてきた。現在、風間さんと面会したり、手紙のやり取りができるのは、親族と東京拘置所が認めた限られた知人のみ。著者の蜷川さんと風間さんは直接のやり取りはできなかった。展覧会ではトークイベントの時間もあり、壁で隔てられた独房にいる風間さんとのコラボレーションの苦労も、蜷川さんから語られる。

(深笛義也・ライター、4月8日号)

南相馬・避難基準撤回訴訟――「若い人は帰ってこない」

口頭弁論に立った原告の平田安子さん。(提供/斉藤円華)

口頭弁論に立った原告の平田安子さん。(提供/斉藤円華)

東電原発事故で設けられた「特定避難勧奨地点」の解除撤回を求めて、福島県南相馬市の住民が起こした訴訟の第三回口頭弁論が3月28日、東京地裁で開かれた。

原告は証拠として、住民らが測定した空間線量の調査結果を裁判所に提出。地域が今も広く面的に汚染されていることを訴えた。

特定避難勧奨地点とは、警戒区域および緊急時避難準備区域(いずれも当時)の外で積算線量が年間20ミリシーベルトを超えるとして国が指定した地点。南相馬市内で152世帯が対象となったが、国は2014年12月、線量が下がったとして一方的に解除した。その3カ月後には、住民への賠償や様々な支援が打ち切られた。

線量調査は住民らでつくる「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」が実施。原町区片倉で14年夏、地域をメッシュ状に区分けして測定したところ、全ての箇所の空間線量が公衆の被ばく限度である年間1ミリシーベルトを上回った。この内、放射線管理区域レベルである年間5ミリシーベルトを超える箇所が半分を占めた。

口頭弁論後の報告会で、原告代表の菅野秀一さんは地域の現状を語った。「若い人は一人も帰って来ておらず、75歳以上の限界集落になってしまった。子どもたちがいないのは本当に寂しい」。

また、口頭弁論を行なった原告で原町区片倉に住む平田安子さんは、線量調査時の出来事を振り返った。「ある住宅で調べた際、そこに住む老夫婦に『子どもや孫が帰って来られる線量か』と尋ねられた。祈る思いで測定したが、子や孫がいた2階の部屋は期待を裏切る線量で、特に畳の表面汚染には驚いた。老夫婦は心配そうな表情をしていた。こういう高齢者が多くいることに胸が痛む」。

空間線量が高いにもかかわらず国が解除を急いだことで、復興とは名ばかりの現実が生じている。

(斉藤円華・ジャーナリスト、4月8日号)

米軍キャンプ・シュワブ前で――目取真俊氏が不当逮捕

4月1日、作家の目取真俊さんが米軍キャンプ・シュワブの軍警備員に拘束されたとのメールが友人から届いたのは、エイプリルフールの冗談ではなかった。

3月4日、安倍政権は沖縄県との「和解」を受け入れ、辺野古新基地建設工事を中断したにもかかわらず、新年度になっても辺野古・大浦湾の立入禁止区域を示すフロートは設置されたまま、3隻のクレーン付き大型作業台船もそのまま居座り、いつでも作業再開できるぞと言わんばかり。

カヌーチームの一員として活動する目取真さんはこの朝、いつものようにカヌーに乗って大浦湾の監視に出かけたところ、辺野古崎の岩場付近で米軍の警備員に基地の陸上部に引きずり込まれて拘束され、濡れたウェットスーツのまま8時間近くも米軍基地内に監禁された。彼の身柄引き取りを名護警察署と海上保安庁が押し付け合っていたとみられ、その間、弁護士を含め外部との連絡は一切途絶えたままだったという。「いったい今はいつの時代か!」と彼は憤る。

午後5時頃、刑事特別法違反の容疑で海上保安庁に引き渡された目取真さんを一刻も早く取り戻そうと、辺野古弁護団をはじめ海上・陸上の仲間たちが動き出した。

翌2日朝、キャンプ・シュワブゲート前には火を噴かんばかりの怒りの声が渦巻いた。その後、多くの人々はゲート前から、目取真さんが拘束されている中城海上保安部前へ移動。島の中南部から駆けつけた人々も含む250人以上が同保安部を囲み、午後7時半過ぎに処分保留で彼が釈放されるまで、歌やシュプレヒコールで激励を続けた。

「芥川賞作家」の不当逮捕は、米国の沖縄文学翻訳家S・ラブソン氏が「不正義に抗議する作家の行動」を支援する声明を出すなど内外に大きな反響を呼び、目取真さん自身も抗議行動の継続とともに、さまざまな場で発言、執筆していきたいと語っている。

(浦島悦子・フリーライター、4月8日号)

都立学校卒業式不起立など処分への抗議・支援集会――不服従教職員3年間監視も

3月31日の卒業式処分発令抗議・該当者支援総決起集会。参加約80人。(撮影/永尾俊彦)

3月31日の卒業式処分発令抗議・該当者支援総決起集会。参加約80人。(撮影/永尾俊彦)

今年の都立学校卒業式の君が代斉唱の際の不起立などを理由に戒告の懲戒処分にされた3人の教職員の処分発令に抗議し、支援する集会が3月31日に都内で開かれた。もう一人まだ処分が発令されていない教師がおり、今年の卒業式の不起立など不服従は合計4人。

東京都教育委員会が2003年に卒業・入学式などの君が代斉唱時に都立学校教職員に起立斉唱やピアノ伴奏を義務付けた10・23通達を出してからこれまでの被処分者はのべ477人にのぼる。

集会では、この13年間毎年処分された教職員がおり、今年初めて処分を受けた人もいたことから、「これは、都立学校の教職員が13年たっても10・23通達を何とかしたいと思っているということだ」という全体状況の説明があった。

処分を受けた教員は、「君が代は侵略戦争のシンボル。君が代斉唱の際、最初は立っていたが、(やっぱり立てないと)途中でへたりこんでしまった。生徒には正しいと思うことを伝えたい」「10・23通達が出されてから教職員は言いたいことが言えなくなってしまった。こういうのをファシズムと言うんだと思った。戦争する国にする流れに加担したくない」などと起立できない理由を語った。

だが、都教委の管理は異常なほど強まっている。今年初めてのこととして、処分された教職員に対して、3年間「実績・行動記録報告書」を校長が作成し、学校経営支援センターに提出させるようになったことが報告された。これは、不服従の教職員を3年間監視するということだ。

処分された教職員側は次々と処分取り消しの裁判を起こし、戒告までは違法ではないが、減給以上は裁量権の逸脱という判決を勝ち取ってきた。加藤文也弁護士は、「戒告もやりすぎという判決を取りたい。これは憲法を守り、次の世代を育てるためにも重要な闘いだ」と語った。

(永尾俊彦・ルポライター、4月8日号)

与那国島に陸自が配備 本土復帰後、沖縄では初の新設――防衛省の「説明」に食い違い

防衛省当局(左側)と面談する、宮古・石垣両島の自衛隊配備計画撤回を求める要請団ら(右)。(撮影/黒島安央)

防衛省当局(左側)と面談する、宮古・石垣両島の自衛隊配備計画撤回を求める要請団ら(右)。(撮影/黒島安央)

沖縄県の先島諸島地域で進められる自衛隊配備問題。与那国島で3月28日、陸上自衛隊沿岸監視部隊が発足し、160人の部隊が編成された。本土復帰後の沖縄県内の基地新設としては初となる。未だ島民の4割は反対しており、地域社会にわだかまりが残る。前日の式典に出席した中谷元防衛相は「与那国への陸自配置は厳しい安全保障の中、防衛空白地域を埋め、防衛力強化を示すもので、大きな意義がある」と隊員らに訓示した。

しかし、3月28日地元『沖縄タイムス』は、式以外の様子もつまびらかに報じた。中谷防衛相は、駐屯地施設内を案内した担当者から地図上で島の位置関係などの説明を受けている最中に、突然〈説明に割って入る形で「南西諸島ってどこまでかな?」〉 と質問。答えも聞かず、地図上の沖縄本島から与那国島までの距離に腕を広げ〈「この距離に本州がすっぽり入る。広いよね」〉 と同意を求めた。すかさず〈周囲から「(南西諸島は)奄美、鹿児島も入ります」〉 と注意を受けると、思わず〈「あっ、鹿児島……」とつぶやいた〉 という。

また、塩満大吾監視隊長は、屋内練習場について「射撃訓練を行なう」と説明。後から、西部方面隊広報が「屋内練習場と説明した」などと答えたが、外間守吉与那国町長は「射撃訓練を行なうとは聞いていない」と首をかしげた。

配備を誘致してきた外間町長は「うれしいが複雑な気持ち。反対住民への丁寧な説明が不十分という感じ」と述べた。

この半面、外間町長は、3月17日、長らく不在となっている副町長に、地方創生人材支援制度を通じて登録のあった30代の防衛省職員を起用する人事案を議会に打診。野党側の反対により提案は取り下げたが、反対派の田里千代基町議は「行政と基地が一体化し、役場の空気も変わる可能性がある」と警戒する。

【東京で配備撤回を要請】

一方、石垣島への自衛隊配備を止める住民の会の下野栄信共同代表ら4人と、止めよう自衛隊配備! 東京行動宮古島実行委員会の清水早子さんら5人は、3月30日、合同で防衛省当局者と面談した。同月26日の市民集会で各地で採択された決議書と、1万1571筆の署名(石垣)を手渡し、計画の全容についてすみやかな情報開示などを求めた。面談には赤嶺政賢氏(日本共産党)、仲里利信氏(無所属)ら沖縄県選出の国会議員5人が立ち会った。

面談では、防衛省が現在候補に上げている各地域について、地下水(宮古)や騒音など、住民の生活環境に与える影響や、有事の際の住民保護への不透明さに対して懸念が噴出した。

保坂益貴整備計画局防衛計画課班長は、配備についてはあくまでも「お願いする立場」としつつ、「市長をはじめとする、土地取得の土地を所有している地権者や関係者方に不都合があるので調整が必要」、両島で開催されていない全住民向けの説明会も「現段階で具体的にいつやるとは言えない」などと述べ、不明瞭な回答に終始した。

また、自衛隊配備の必要性については、「特定の国を対象とするものではない」(保坂氏)と、「仮想敵国」の存在を否定。ところがこれについては、防衛省の見解と違う「説明」がある。昨年7月28日、宮古地区自衛隊協力会が一部住民を対象に行なった「説明」会で、自衛隊沖縄地方協力本部の山根寿一本部長(陸将補)は、〈中国の国防費がこの10年で4倍に伸びていることや、同国の海洋進出を含め領土的な野心が強いことを訴えた〉(『宮古毎日新聞』7月29日、傍点は筆者による)。住民側はこの行動を、いたずらに中国の脅威を煽っているとして問題視。保坂班長は発言を「確認していない」としたが、赤嶺氏は住民が収めた映像をもとに、4月1日の衆議院外務委員会でこの食い違いについて追及した。

一方、30日の夜に東京・中央区で行なわれた「宮古島・石垣島の自衛隊配備を止めよう! 3・30東京集会」(同実行委主催)には、200人超の市民が参加した。

(黒島安央・ライター、4月8日号)

ヘイトデモ抗議中、警官に暴行されけがした女性らの告訴を受理

4月15日。東京都の警視庁新宿警察署には、大勢の人々が集まっていた。3月27日、新宿区で在日コリアンを攻撃するヘイト・スピーチ(差別扇動表現)をする差別デモが行なわれた。その差別デモに対し職安通り周辺で抗議活動をした際に、警備の警察官から首を絞められるなどして怪我をした女性3人が氏名不詳の警察官を傷害罪で刑事告訴し、受理されたのだ。

告訴には50人程が同行し、民進党の有田芳生参議院議員、社民党の福島瑞穂参議院議員、共産党の池内さおり衆議院議員も駆け付けた。

新宿警察署は事件直後、女性の被害届を受理せず取り合わなかった。しかし、この事件は報道やインターネット上で話題となり、国会議員からの申し入れや、国会でも追求されたことで態度は急変したという。4月5日の参議院法務委員会で、警察組織のトップである河野太郎国家公安委員長は「警備に行きすぎた点があったとしたら、それは誠に申し訳ない」と謝罪するまでに至った。今回の被害女性たちによる刑事告訴を、反差別集団『男組』組長の高橋直輝氏(43歳)は、「超圧力だ」と語った。

今までも差別意識が根底にある犯罪(ヘイト・クライム)は数多く起こっていて、早急な対策が急がれている。3月20日には、神奈川県川崎市で人種差別団体の街頭演説会に抗議した40代男性が、警備をする警察官の目の前で演説会参加者に暴行をされる事件が起こっている。それにもかかわらず、犯人は現行犯逮捕されず、国会で追求された後の3月29日、いずれも右翼団体構成員の男3人が傷害容疑で逮捕されたのであった。30日には、さらに右翼団体構成員の男1人が逮捕されている。

ヘイト・スピーチをおこなうヘイト・デモ参加者を守り、差別反対の抗議をする人々を守らない警察のあり方は是正されて然るべきだ。現在、国会ではヘイト・スピーチを規制する法案を、野党に続き与党も提出し審議されている。
(山口祐二郎・フリーライター)