週刊金曜日公式ブログ 週刊金曜日ニュース

安倍政権にNO! 1万人が参加し渋谷を大行進――「民主党はハッキリしろ!」

集会後、デモの先頭に立って歩く野党の5人。ひとりおいて左から、樋高剛(生活)、初鹿明博(維新)、小池晃(共産)、菅直人(民主)、又市征治(社民)の各氏。(2月14日、撮影/林克明)

集会後、デモの先頭に立って歩く野党の5人。ひとりおいて左から、樋高剛(生活)、初鹿明博(維新)、小池晃(共産)、菅直人(民主)、又市征治(社民)の各氏。(2月14日、撮影/林克明)

2月14日、「安倍政権NO!☆0214大行進in渋谷」が東京の渋谷で行なわれ、約1万人が参加した。首都圏反原発連合、アジア太平洋資料センター、原発をなくす全国連絡会に事務局がおかれる「安倍政権NO!☆実行委員会」の主催だった。

原発・秘密保護法・安保法制などに見られるような、「一人ひとりが大切にされない政治にノーを突きつけ、今年夏の参院選で形を現そう」(集会司会者)という趣旨で、「野党共闘を!」が市民運動の中の合言葉のようになっている。当日参加した菅直人元総理は、「民主党はハッキリしろ! という声が皆さんの中から聞こえてくる。今日は、党を代表して集会に出席してくれと岡田(克也)代表から言われてきた」と語ると、会場はどっと沸いた。

今年1月5日に新宿で行なわれた市民連合(安全保障法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)主催の集会に参加した蓮舫議員が野党共闘について一言も触れなかったのに比べ、明らかに共闘に前向きの姿勢といえるだろう。

同じく集会に参加した小池晃参院議員(共産党)は「菅直人さんが民主党を代表して来たように、皆さんの声が確実に政治を動かしている」と述べた。当日の集会には、このほかに社民党の又市征治幹事長、樋高剛前衆院議員(生活の党と山本太郎となかまたち)、初鹿明博衆院議員(維新の党)が参加、野党5党の政治家が揃った。

この日は、全国規模の労組がいくつか参加したほか、多数の個人、地元で活動する小グループなどが参加したため1万人に膨れ上がった。子ども連れで都内三鷹市から参加した女性は、生活を守るために「安倍政権はいらないと女子たちの元気会の集いをアピールするためにやってきました」と周囲に呼び掛けていた。また、東京の町田市から参加した男性は「大きな団体に参加して仲間をつくり地元で活動できるようにしたい」と仲間を募るためにやってきたと言う。

今回のような大規模集会と居住する地元で運動を連携させようとする動きも最近注目される傾向だ。安倍政権NOに反応しない人々への語りかけとして、集会に参加した上智大学の中野晃一教授は、「安倍政権は非現実的で私たちのほうが現実的。安倍政権は、『あなたのためにならない』、『安倍政権は、将来性がまったくない』ことを伝えよう」と強調した。「あなたのためにならない」「安倍政権は将来性なし」は二大キーワードになるかもしれない。

(林克明・ジャーナリスト、2月19日号)

入国拒否・長期拘束の末、イルカ漁反対の活動家で――『ザ・コーヴ』主演者を強制退去

イルカ漁に反対する活動家として知られ、2009年には和歌山県太地町における同漁の実態をテーマにして公開されたたドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』で主演を演じた米国人のリック・オバリー氏(76歳)が1月18日に入国した際、成田空港で東京入国管理局によって入国を拒否。19日間拘束された後、2月5日になって強制退去処分を受けた。

オバリー氏はもともとイルカの調教師で、「日本のイルカを救おう」と称した団体のディレクターを務め、米国内外に日本のイルカ漁中止を求めるキャンペーンを展開。この映画を見たキャロライン・ケネディ駐日米国大使も、イルカ漁に対して「懸念」を表明したとされている。

自身が創設した米国の団体「ドルフィン・プロジェクト」のホームページによると今回、成田空港に到着後、(1)太地町に滞在する反捕鯨の環境保護団体「シーシェパード」と関係を有している(2)観光ビザで入国したが、単なる観光とは判断できない――等の理由で、入国を拒否されたという。

次いで、空港内の入管の拘禁施設に入れられたが、その際にオバリー氏は一部の報道機関による電話インタビューで、「私は政治犯だ。日本政府内には、『イルカに対する戦争』に反対を唱える人々を弾圧しようとする上層部がいるのだと思う」と述べていた。

またオバリー氏は、入管当局が「観光目的で入国するとウソをついた」と非難している件については、「以前も観光で入国している」と説明。「私は(日本で)法を犯してはいないし、入管当局にウソを言ってもいない」と主張している。さらに、「これは言論の自由に対する侵害だ」としながらも、「それでも日本に対する私の愛着は揺るがない」と強調していた。

入管当局は「個別のケースについては答えられない」としているが、過激な行動で知られる「シーシェパード」との関係については、オバリー氏は以前、シーシェパードの顧問会議に名を連ねていたが、現在、そこから削除。また昨年、和歌山県那智勝浦町内で旅券不携帯容疑で逮捕されたほか、レンタカーでの交通事故を起こしているが、イルカ保護運動では平和的なやり方を貫いている。

【入管の措置は「世界の汚点」】

今回のオバリー氏の強制退去について、日本沿岸のイルカやクジラの現状調査と保護を求めている市民団体「イルカ&クジラ・アクション・ネットーワーク」の倉澤七海代表は、「入管のやり方はあまりにひどすぎる。強く抗議されるべきだ」と怒る。

倉澤代表は、「オバリー氏の熱心さは評価します。しかしながら私たちの立場は、国内でもっとイルカ漁問題を論議できる基盤をしっかり作るといった国内対応をまず優先します。それ抜きに、『かわいそう』といった次元で海外への発信を重視するオバリー氏の方法とは、残念ながら一致しません。これでは余分な国外との摩擦が生まれかねず、そのため、共同歩調は取っていません」と指摘。その一方で、「海外の人々も、日本のイルカ漁に抗議する権利はあるはず。この運動に関して何の違法行為も暴力的な行為もしていないオバリー氏を強制退去させるとは、いったいこの国には言論の自由があるのかと言いたいと思います。今回のことで、日本は世界的に見たら汚点を残したのではないか」と述べる。

さらに今回、オバリー氏の代理人となった高野隆弁護士も、前述の「ドルフィン・プロジェクト」のホームページで抗議文を掲載。

「オバリー氏が入国目的とした『旅行』とは、『観光』だけの意味だけではなく、たとえば虐殺やホロコーストの現場を訪れるといった行為も含まれる」と強調しながら、「『ザ・コーヴ』の舞台となった太地町や、イルカ業の現場を訪れるのは、正当な『旅行』として見なされるはずだ。日本をオープンで民主的な国だと信じていた人々は、今回の件でこんなことが起きるのかとわかってショックを受けるに違いない」と、入管当局の対応を強く非難している。

(成澤宗男・編集部、2月12日号)

「憲法に緊急事態条項は必要か?」めぐりシンポ

2月5日、東京・千代田区の会場は熱気に包まれた。左から長谷部恭男氏、石川健治氏。(写真/星徹)

2月5日、東京・千代田区の会場は熱気に包まれた。左から長谷部恭男氏、石川健治氏。(写真/星徹)

憲法・政治学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」は2月5日、「憲法に緊急事態条項は必要か?」をテーマとするシンポジウムを東京都内で開催。会場は約500人で超満員となった。
安倍政治・自民党が狙う「なし崩し改憲」のパターンの一つが、大災害や外敵侵攻を想定した緊急事態条項の新設だ。
このことに関し、長谷部恭男早稲田大学教授(憲法学)は基調講演で、「災害対策基本法や有事法制などが既にある。もし新たな制度も必要だと言うのなら、国会で法律を作ればよいだけの話」とし、「改憲の必要はない」と断じた。衆議院の解散中に緊急事態が発生した場合でも、「憲法54条2項の規定に従い、参議院の緊急集会を求めればよい」と述べた。
それでも緊急事態条項を憲法に入れるなら、裁判所によるコントロールが必要不可欠で、「高度に政治的な問題には裁判所は口を出さない」とする統治行為論を封印することを憲法に書いておく必要がある、とした。そうなれば、裁判所は安保関連法の憲法判断も避けられなくなる。
基調講演後の長谷部氏との対論で、石川健治東京大学教授(憲法学)は、「緊急事態条項の新設は、戒厳(令)の問題にもつながり、戒厳は独裁への大きな一歩になりうる」とし、「この問題は『戦後レジーム』を破壊する流れの中にある」と警鐘を鳴らした。

(星徹・ルポライター、2月12日号)

情報保全隊活動は不透明だが――仙台高裁も違法認定

陸上自衛隊の防諜部隊「情報保全隊」がイラク派遣反対活動をした市民を監視したのは違憲として、東北6県の住民が損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、仙台高裁は2月2日、一審に続いて国による人格権侵害を認める判決を下した。賠償責任の対象は、一審の原告5人から1人に減らされたものの、裁判所が自衛隊による情報収集の違法性を認めたことの意義は大きい。特定秘密保護法によって、防衛関係全般に秘密のベールをかけることが可能となる中、自衛隊の活動をチェックすることの必要性があらためて問われている。

訴訟のきっかけとなったのは、2007年に共産党が公表した保全隊の内部文書だ。文書には、市民団体などが各地で開いた自衛隊イラク派遣の反対集会やデモの様子などが記され、参加者の氏名や肩書なども把握されていた。

控訴審では、一審で賠償が認められた5人のうち、4人は地方議員としての活動を理由に請求を退けた。だが、引きつづき認められた1人は、イラク派遣反対の音楽ライブを開いていた宮城県内の男性アマチュア歌手で、公表していない本名や勤務先の情報を収集していたことが違法とされた。

判決を受け、防衛省は「大変厳しい判決だと受け止めている」とのコメントを出した。保全隊の業務は内部情報の流出やスパイからの接触を防ぐこととされている。控訴審では、当時の保全隊の隊長が証人として出廷したものの、守秘義務を理由に具体的な証言は拒否し、約1000人いる保全隊の活動は不透明なままとなっている。防衛省の関係者は「中国など外国からのスパイ活動の危険性は常にある。(保全隊の)活動の必要性は変わらない」と言い切る。

安全保障関連法の成立で、自衛隊を取り巻く環境は大きく変化しつつある。暴走を防ぐためにも、市民への監視活動を日常化させない取り組みが求められている。

(北方農夫人・ジャーナリスト、2月12日号)

福島県が避難者に意向調査――「追い出しを図るもの」

避難指示区域外からの避難者に郵送された「住まいに関する意向調査」票。(写真撮影/編集部)

避難指示区域外からの避難者に郵送された「住まいに関する意向調査」票。(写真撮影/編集部)

東京電力福島第一原発事故から来月で5年が経過する中、避難指示区域外からの避難者1万3000世帯を対象に、福島県が1月下旬に配布した「住まいに関する意向調査」に対して、抗議の声が上がっている。提出期限の2月7日には東京・中野区内で「帰還・生活再建に向けた支援策に関する説明会」が、福島県避難者支援課の主催で開かれたが、「帰還」させたい行政側と「仮設住宅からの追い出しを図るもの」として抗議する避難者との溝は埋まらなかった。

同調査は、「2017年3月末で避難先における住宅の無償提供を終了する」ことを前提に、「帰還や生活再建に向けた支援策」を打ち出している。これに対し、最多の避難先である東京都内の避難者を中心とした「ひなん生活をまもる会」(鴨下祐也代表)は1月29日付で内堀雅雄県知事宛に「抗議・要請書」を送付。同調査には「『仮設住宅』の提供を当面継続して現在の住宅に住み続ける旨の選択肢がない」ことから、住宅提供の延長を求める区域外避難者の意向を無視したものだとして調査の中止を要請。内堀知事との直接交渉の場を設けるよう求めている。

100世帯超で組織する「まもる会」の鴨下代表(47歳)は「住宅提供打ち切りをめぐっては13年から反対の声を上げ続けていますが、県の職員(避難者支援課)から直接、『決まったことだから無駄なことはやめろ』と言われました。その県の調査でも避難者の要望としてダントツなのが住宅の提供です。こんな一方的なやり方では支援ではなく迫害です」と話す。

その避難者支援課に、17年3月末の提供打ち切りの根拠を聞くと、「災害救助法(での応急的な支援)は原則2年。これまで何度か延長してきましたが、これ以上は無理」(菅野健一主幹)と説明した。しかし、同法のどこにも「原則2年」の記述はなく、「2年」なのはプレハブなどの使用期限だ。

(片岡伸行・編集部、2月12日号)

阪神・淡路大震災被災住民の「追い出し」を強行する神戸市――市営住宅造らず新庁舎建設

神戸市から退去を迫られている丹戸郁江さん。(2月5日、撮影/粟野仁雄)

神戸市から退去を迫られている丹戸郁江さん。(2月5日、撮影/粟野仁雄)

阪神・淡路大震災で不足した住居を、民間や都市再生機構(UR)から市や県が借り上げて、住民に提供していた「借り上げ復興住宅問題」。昨年9月に最初の「20年の期限」を迎えた兵庫県西宮市のシティハイツ西宮北口に続いて、同県神戸市内では、JR兵庫駅のすぐ南に立つキャナルタウンウェスト1~3号棟が同市内で最も早い1月30日に期限を迎えた。退去を拒否している3世帯の住民に対し、神戸市はすでに退去通知書を出し、法廷闘争も辞さない構えだ。

キャナルタウン2号棟に住む丹戸郁江さん(72歳)は、乳がんで抗がん剤治療を続け、すぐ近くに住む妹夫妻の助けを頼って暮らしている。「がんは少し良くなったけど頸椎の損傷で歩行困難になると言われている。妹と離れたら暮らしていけない。2年半前、私がインフルエンザで倒れている最中にインターホン越しに一方的に説明された」と話す。

化粧品の販売事業をしていた丹戸さんは自宅が全壊し、避難生活ののち、1996年3月にキャナルタウンに入居した。丹戸さんの持つ市との契約書には20年で退去しなくてはならないということは一切記載されていない。あくまで、市とURの契約が20年になっているだけだった。「年金生活ですが、いまも事業の負債が残っており、生活は苦しい」と訴える。

市は要介護3以上、85歳以上には継続入居を認め、該当しない入居者には他の市営住宅をあっせん、転居を求めてきた。一方、UR側は「市の方針通りにしているだけ」とするだけでUR側から退去を求めているわけではないという。

神戸市は2月2日に退去通告書を退去に応じない住民の弁護団に送った。「退去に応じなければ1月31日以降、市がURに払う家賃に相当する損害賠償を求める」とし訴訟も辞さない内容だ。

市は「応じて転居した他の入居者との不平等」を論拠にする。しかし、弁護団の吉田維一弁護士は、「市は脅迫的なやりかたで追い出すなど不公平なことを十分にやってきた。個人個人で事情は異なる。応じた人を引き合いに出して不平等論を持ち出すことは許されない」と指摘し「入居を続けられた時の市の経済的被害の説明も破綻している。今後も期限を迎えることになっている住宅を多く控え、市はここで譲歩するわけにはいかないと強硬になっている」と警戒する。

【賑わい名目も庁舎内に店】

その一方で神戸市は昨年12月、長田区の再開発地区に新庁舎(県市の合同庁舎)を建設することを明らかにした。だが具体的な内容やその予算すら明確にしない。

情報公開請求をしている兵庫県震災復興研究センターの出口俊一事務局長は「市は再開発の名目で長田区に高層ビルを乱立させ、現在、空き床だらけになっている。新庁舎を建てなくとも十分使えるはず。職員だけが来ればいい。都市部局に予算を聞いても数十億くらいとかいうだけ」と怒る。

建設の大義名分は「1000人ほどの職員が来る。長田区にかつての賑わいを取り戻し、商店などを活性化したい」というものだ。そうであれば庁舎内に食堂や喫茶店、売店などを造ることはおかしいはずだ。出口事務局長がそれを問うても市は言葉を濁すという。三宮の本庁舎に入っているレストランなどと、すでに契約ができている可能性もある。再開発地区の商店街で中華料理店『雲来軒』を営む染谷繁さんは「せっかく人が増えても庁舎内に食堂や喫茶店を造られては意味がない」と話す。

20年前に神戸市が民間からの借り上げをし、その後も借り上げ入居者のための市営住宅を造らなかったのは「新たに建設すれば金がかかる。借り上げの方が安い」が理由だった。市営住宅は造らず、自分たちのための豪華庁舎などを造り続ける神戸市は近く市主導で三宮の再開発にも着手する。

災害を奇貨として再開発名目に不必要に豪華な箱モノ造りに邁進、ゼネコンに奉仕し続ける一方で住民を追い出しにかかる。いったい行政は誰を向いているのか。復興災害は拡大し続けている。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、2月12日号)

 

太宰府天満宮の宮司が競馬で大儲け!?──「学問の神様」直系の子孫は神主ならぬ馬主だった!!(『週刊金曜日』取材班)

ことしも受験シーズンがやってきた。大学受験、高校受験、中学受験とステージはさまざまだが、志望校合格に向けて努力してきた受験生の真剣なまなざしは全国共通だろう。

この時期、全国から受験生が訪れる神社がある。「学問の神様」菅原道真公の魂が眠る太宰府天満宮(福岡県太宰府市)だ。現在の宮司は西高辻信良氏(第三九代、63歳)で、菅原道真の直系の子孫である。その西高辻氏について、ある宮司がこんな話を明かした。

「太宰府天満宮は全国津々浦々にある天満宮の総本社。西高辻氏は神社界の重鎮です。その西高辻氏がみずから競走馬を所有し、競馬で大儲けしています。彼の馬はダンディスタイル、ミカサハヤテオー、そしてユミチャンスマイル。2015年は川崎競馬などで数百万円を獲得していました」

小誌も調べてみると、たしかに西高辻氏が所有する馬ダンディスタイルは昨年、川崎競馬や浦和競馬で数百万円の賞金を稼いでいた。そこそこの実績ではないか。宮司が続ける。

「宮司が競走馬を持つことを禁じる法律はありませんよ。ただ、毎年多くの受験生が全国から訪れ、合格を祈願して『学問の神様』にお賽銭を投げている。おみくじをひいたり、お守りを買っている。そんな藁にもすがるような受験生の身銭が、西高辻氏の競馬遊びのカネに化けているわけです。宗教法人である神社は税制で優遇を受けていますし、なにより、宮司とは、神職とはそんなものかと思われたくないのです」

神社本庁の役員理事

日本には約9万もの神社があるとされている。神社に仕える神職は約2万人あまりと言われ、8万近くの神社を束ねているのが宗教法人・神社本庁(東京都渋谷区)だ。

神社本庁総裁の池田厚子氏は昭和天皇の娘で、現在の天皇明仁の姉。ナンバー2の統理、北白川道久氏もやはり皇族出身で、保守系団体「日本会議」の顧問も務める。皇族以外の人間が就任できるのはナンバー3の総長からで、現在の田中恆清総長(石清水八幡宮宮司)がそれにあたる。総長の下に副総長、常務理事、理事のポストがあり、西高辻氏は全国に十数人しかいない理事の一人である。それに加え、地元の福岡県神社庁の庁長も3期務め、異例の4期目に名乗りをあげる見通しだ。

「神社本庁の理事になるには一定の額の負担金(拠出金)が必要です。太宰府天満宮は西日本でも最有力神社の一つ。かなりの額を拠出しているはずです」(別の宮司)

学問の神様の子孫はなかなかの“重鎮”のようである。小誌は西高辻氏に事実関係と、神職でありながら競馬で儲けることについて見解を問うた。西高辻氏は秘書を通してこう回答してきた。

「かつて複数頭の競走馬を持っていたのは事実です。ただ、いまはダンディスタイル1頭だけです」

――獲得した賞金の額は?

「年平均で400万円ほど獲得していますが、馬を維持するのにも年間400万円ほどかかるのです」

――税制優遇されている神社の宮司が競馬遊びするのは?

「儲けすぎず大きな損も出していません。あくまで趣味の範囲ですから、問題はありません」

さすがは学問の神様らしい“ご名答”である。

(1月29日号)

都が市民との協議会でLGBTに関する意見交換

「私には夢がある。日本でもLGBTの恋人たちが堂々と手をつないで歩くことが普通になることです」

「市民と行政の協議会 東京都における性的指向および性自認に関する課題解決のために」が1月27日、東京・新宿区の都議会議事堂で開かれた。同協議会は超党派の都議会議員がよびかけた。

冒頭の言葉は、ラテン音楽の歌手YOSHIHIRO広石さんの発言の一部だ。広石さんは小学校入学時にゲイと自覚した以降の苦悩について発言した。

協議会では各団体や個人が都側の担当課長と意見交換した。このうち、終末期医療の決定プロセスの質問があった。

厚労省のガイドラインでは、意思決定の代行者としての「家族」は「法的な意味での親族関係だけでなく、広い範囲の人」を指す。そのため、「同性パートナーを成年後見人に指定した場合、家族よりも優先されるのか?」との質問だ。

都側は「成年後見人は手術や治療方針まで及んでいない」と説明、「親族とのコミュニケーションの中で、キーパーソンを決めていくしかない」と述べた。説明にはなかったが、「医療に関する意思表示書」をつくり、パートナーにあらかじめ意思を託すことはできる。

多摩市男女共同参画条例の策定に関わった浅倉むつ子・早稲田大教授は都条例に苦情処理システムがないと指摘した。

(渋井哲也・ジャーナリスト、2月5日号)

大阪地裁の靖国参拝判決――憲法判断せず「政権に媚」

安倍晋三首相による2013年12月の靖国神社参拝は憲法の政教分離原則に反し、信教の自由や平和的生存権を侵害するとして、戦没者遺族ら765人が安倍首相と国、靖国神社に損害賠償などを求めた訴訟の判決が1月28日、大阪地裁(佐藤哲治裁判長)であった。判決は憲法判断を避けて参拝の公私には触れず、「法的利益の侵害は認められない」として請求を棄却した。原告側は控訴する。

今回の訴訟は歴代首相の靖国参拝と違って、安倍首相が集団的自衛権行使を容認し安保法制を整備するなど憲法の平和主義に背いて「戦争できる国」への道を急ぐ状況にある。原告らは、かつて戦死を美化して国民を戦争へ駆り立てた靖国神社に安倍首相が参拝することを「戦争への準備行為」と位置づけ、憲法前文がうたう「平和のうちに生存する権利」を前面に出して訴えた。

判決は信教の自由などの侵害について、首相の靖国参拝は「他人の信仰生活などに圧迫や干渉を加える性質のものではない」とし、安倍首相が参拝後に「過去への痛切な反省の上に立って」と発言したのに照らして「参拝が合祀者の死を『国や天皇のために喜んで死んだ』と意味づけるものではない」と断定。平和的生存権についても「理念的・抽象的な権利であり、保障すべき具体的権利性はない」として退けた。また、小泉首相靖国訴訟で福岡地裁(04年)と大阪高裁(05年)が「違憲」と判断したことにより、原告が抱いた首相の憲法擁護義務に対する期待権について、「その後の社会・経済情勢の変動などによって裁判所の判断が変わりうる」として認めなかった。

判決を受けて原告団は「憲法秩序を破壊する現政権に媚を売るだけでなく、行政の違憲行為をチェックする司法の責任を放棄するものだ」との抗議声明を出した。安倍首相の靖国参拝は東京地裁にも提訴され、第7回口頭弁論が2月19日に予定されている。

(平野次郎・フリーライター、2月5日号)

日本軍「慰安婦」被害者が来日し、「合意」を全面批判――被害当事者の声を無視

一番右が李玉善さん。ひとりおいて姜日出さん。1月26日、東京・千代田区。(撮影/岡本有佳)

一番右が李玉善さん。ひとりおいて姜日出さん。1月26日、東京・千代田区。(撮影/岡本有佳)

日韓「合意」後初めて、当事者である日本軍「慰安婦」被害女性二人が韓国から来日した。「慰安婦」被害者が共同で暮らす「ナヌムの家」から来たのは、李玉善さん(88歳)と姜日出さん(87歳)。1月26日に衆議院第一議員会館で記者会見、同日と翌日に証言集会が開かれ、あわせて約400人が参加した。

「慰安所じゃない、死刑場だった」。李さんは数えの15歳で中国に連れていかれ、「一日40~50人も日本兵の性の相手をさせられた。抵抗すれば殴られ、刀で斬りつけられ、銃で殺されたり、あまりの苦しさに自ら命を断つ女性たちも多かった」。そこはまさに「死刑場」だったと語った。

今回最後だと思って来日したという二人は、日韓「合意」について「私たちを無視した『合意』は受け入れられない。まず被害者に会って、内容を説明してからするべきだ。ここまで来ても安倍首相は会おうとしない」(李さん)、「ほんものの謝罪はきちんと中身も含めてやるべき」(姜さん)と述べた。

記者からの「安倍首相が直接会って謝ったら受け入れるか」との質問に、「私ひとりの問題じゃない」と李さん。ナヌムの家の安信権所長は、「現在生きている46人だけでなく、亡くなった方や、訴え出ることができない方も含めて被害者である。日韓『合意』後の記者会見で、ハルモニたちは46人中ひとりでも受け入れないならナヌムの家の被害者は受け入れることができないと表明した」と説明した。「少女像」撤去について姜さんは、「撤去は私たちを殺すのと同じこと」と語った。

【朴裕河氏提訴の理由】

今回はもう一つ、朴裕河著『帝国の慰安婦』をめぐる一連の裁判について、原告側から初めて話を聞くことができた。原告とは、今回来日した二人を含むナヌムの家に暮らす9人の「慰安婦」被害者である。日本軍と「同志的な関係」、戦争の「協力者」、「自発的に行った売春婦」などという本書の記述について、2014年6月に(1)出版等禁止と被害者らとの接近禁止の仮処分(2)名誉毀損による損害賠償(民事)(3)名誉毀損(刑事)を提訴。その結果、15年2月、34カ所の記述削除の仮処分決定。同年11月、ソウル東部地方検察庁は、名誉毀損罪で被告を在宅起訴。16年1月13日、原告9人に対し合計9000万ウォン(約900万円)の支払いを命じる勝訴判決が出た(被告は控訴)。

ナヌムの家で15年余、被害者をケア、サポートしてきた安所長は裁判に至る過程を詳細に語った。

「刑事告訴についてはずいぶん悩んだ。しかし、被害者のハルモニたちは言ったんです。『私たちが生きているのに、私たちを見下したこんな本が出るんだから、もし死んでしまったらどう書かれることか。長年訴えてきたのに、しかも同じ韓国の女性がこんなことを書いていいのか』などと。それで法的にできることはすべてやろうと思った」という。「仮処分の裁判ではハルモニたちは体調がよくないのに4回の審議に交代で数人ずつ出た。でも朴さんは1回しか来なかった」。

日本ではあらゆる全国紙が在宅起訴を言論の自由への弾圧であると批判。知識人・文化人ら54人による朴氏起訴への抗議声明も出た。これらには被害当事者は不在で、被告側の声ばかりが目立つ。

「検察が国家権力を使い起訴したのではなく、ハルモニたちの権利である、裁判による請求権を行使して告訴し、それに応え検察が捜査したことを忘れてはならない」という安所長の指摘は重要だ。

「裁判係争中に日本語版も出版され、ハルモニたちはとても怒っていた」という。ちなみに、日本語版(朝日新聞出版刊)には、韓国語版から削除された34カ所の該当部分に類似の表現が散見される。

安所長は言う。「解決方法は一つ。彼女はハルモニたちのために書いたと言う。ならばハルモニたちが望まない本は廃棄すればいい」。

日韓「合意」も、『帝国の慰安婦』問題も、被害当事者の声、尊厳が無視されてはならない。

(岡本有佳・編集者、2月5日号)