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沖縄防衛局、「辺野古新基地」資料を改竄して公表――埋め立て「承認」正当性揺らぐ

写真上/昨年6月の第2回環境監視委で沖縄防衛局が配布した図面。写真下/同局が3月9日に「2014年6月20日」の同資料として公表した図面。仮設桟橋・岸壁計3本が1本に変更されている。(提供/沖縄タイムス社)

写真上/昨年6月の第2回環境監視委で沖縄防衛局が配布した図面。写真下/同局が3月9日に「2014年6月20日」の同資料として公表した図面。仮設桟橋・岸壁計3本が1本に変更されている。(提供/沖縄タイムス社)

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐり、防衛省が設置した環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大学大学院教授)の審議に使われた配布資料の一部を沖縄防衛局が改竄し、ホームページ(HP)で公表していた。昨年6月20日の第2回会合で各委員に配られた資料は、辺野古沿岸部に造る仮設桟橋・岸壁の本数を「3本」と明記していたが、3月9日にHPで公表された同じ資料では「1本」に。桟橋の施工手順についても、昨年6月時点で検討されていなかった工法がHP公表資料には書かれていた。

防衛省は「昨年6月20日段階は環境負荷が与えられる最大の案について委員会に諮った」と説明。現在は桟橋1本で工事が進んでいるとして「無用の混乱を招かないよう、現在の計画がいいと判断した」と言う。

たとえば、非公開の審議の発言要旨をまとめる際、各委員の申し出を受けて発言内容を修正することはあり得る。しかし、配布資料に手を加えることは審議の前提条件を変える行為であり、HP公表資料を見た市民は、その内容で審議が行なわれたと勘違いしてしまう。

中谷元防衛相は3月10日の記者会見で、公表のあり方について「配慮が欠ける部分があったかもしれない」と述べ、防衛省側の不手際を認めた。衆院予算委員会分科会でも、防衛省地方協力局の山本達夫次長が「委員会の信頼性に疑義を与え、県民に誤解を与えたとすれば本意ではない」と釈明。「訂正も併せて記載すべきだった」との認識を示した。

【数々の「隠蔽」事例】

本件は「辺野古埋め立て」の根幹からすると枝葉かもしれない。だが問われるべきは、防衛省が改竄した資料を説明せず公表していた姿勢にある。根強い反対がある辺野古問題をめぐり、同省の「隠蔽体質」が指摘された事例は枚挙に暇がない。環境影響評価(アセスメント)ではオスプレイ配備の「後出し」が批判され、海底ボーリング調査をめぐる海上作業では計画の一部が「防衛省秘」に指定され、今もって不明な点も残る。

今回は『沖縄タイムス』の指摘で事実関係が明らかになったが、非公開の審議を数多く抱える同省にとって、この行為が氷山の一角である可能性は否定できない。同省は資料書き換えを各委員にメールなどで事前に伝えていたとするが、取材に対して「知らなかった」と答える委員もいる。

そもそも環境監視等委員会は、埋め立てが予定される辺野古沖の環境保全を担保する役割を持つ。非公開であることを利用して、同省に都合のいい情報を公表し、事業を進めるための“隠れ蓑”にしているとの見方もできる。

改竄だけでない。工事区域を示すブイ(浮標)やフロート(浮具)を固定するため、辺野古海域に設置された大型コンクリートブロックが珊瑚礁を損傷している問題(本誌3月6日号で既報)を追及した市民団体に、防衛省は、同委員会の審議を受けた設置だと説明していた。複数の委員によれば、ブロック設置の提案はあったものの、具体的な重さや設置地点の説明はなかった。珊瑚礁損傷を問題視する委員が相次ぎ、2月に環境監視委の中村委員長が同省に説明の場を求める事態に発展した。そして3月9日には、副委員長の東清二琉球大学名誉教授が辞意を表明。「委員会は(基地建設を進める)結論ありきで、専門家のお墨付きをもらうための意味がない組織だ」と批判している。

賛否ある環境保全策の担保措置として、委員会設置を条件に埋め立てを認めた仲井眞弘多前知事の「承認」の正当性も揺らいでいる。

(西江昭吾+篠原知恵・『沖縄タイムス』記者、3月20日号)

「慰安婦」問題めぐり名誉毀損――『文春』事件で提訴へ

大高未貴氏が出演し、山下英愛氏について話すユーチューブ動画の一幕。(撮影/編集部)

大高未貴氏が出演し、山下英愛氏について話すユーチューブ動画の一幕。(撮影/編集部)

昨年4月に『週刊文春』(以下、『文春』)が掲載した「慰安婦」への聞き取り調査は失敗だったと断じた記事に関連して、文教大学教授の山下英愛氏が3月6日、フリージャーナリストの大高未貴氏を相手取り、600万円の損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こした。『文春』は昨年の4月10日号で、聞き取り調査に参加したソウル大学名誉教授の安秉直氏が「失敗を“自供”した」とする大高氏執筆の記事を掲載。山下氏は安氏の依頼を受けて、記事に対する反論文を日本語に翻訳し自身のツイッターに掲載したところ、今度は自らが大高氏に攻撃され、インターネット上でも誹謗中傷にさらされるなど、名誉を傷つけられたとしている。

発端となった『文春』の記事は、1990年代に韓国で行なわれた「慰安婦」に対する聞き取り調査について、安氏が「実質的な調査失敗」を認めたとする内容。『文春』はこれを目玉記事の扱いで4ページにわたり掲載し、反響を呼んだ。

だが、この記事では、安氏の発言の趣旨がねじ曲げられているなど、大高氏の取材姿勢に問題があったことが本誌の取材で明らかになっている(本誌昨年9月12日号)。安氏によると、大高氏は仲介人のO氏とS氏を通じ、「慰安婦」の関連著書を出版するため話を聞きたいと依頼してきた。これに対し安氏は、純粋な研究目的であり、報道目的でないことを条件に依頼を受け容れると回答。昨年1月に、韓国で大高氏らと面会した。

だが、大高氏は安氏に何の断りもなく『文春』に記事を掲載した。記事を見た知人からの連絡で、安氏は面会時に話した内容が歪曲されて伝えられたことを知った。安氏は「報道しないという当初の約束が破られ、完全にだまされた印象だった。記事の内容も私の発言を意図的に解釈し、切り貼りしており、悪意に満ちている」と強く反発し、旧知の関係にある山下氏に相談を持ちかけた。

山下氏は、安氏が『文春』記事への反論として書いた「反駁文」を翻訳し、ツイッターに掲載した。だが、大高氏はこれらを山下氏による捏造文書であるかのようにユーチューブの動画で批判を展開。ここで大高氏は、山下氏を、かつて「慰安婦」に関する証言をしたが、後にその一部が創作だったことを自ら認めた吉田清治氏になぞらえ、「日本国内には詐話師が多い」などと発言している。

さらに大高氏は『文春』の昨年10月2日号に「安秉直のウソを暴く!」とする記事を掲載。山下氏が安氏に断りなく、一方的に記事への批判をツイッターへ掲載したととれるような内容を書いた。

これを受け、インターネット上では、山下氏に対し「ウソ吐き朝鮮系アホ教授」などの誹謗中傷が相次いだ。山下氏は、「事実でないことが流布され、社会的信用が著しく低下し、人格的価値の毀損を受けた」としている。安氏は、「『文春』記事掲載後の私とO氏とのメールのやりとりを通して、『反駁文』を書いたのが私であることを大高氏がO氏から聞き知っていたことは間違いない。それなのに、大高氏は山下氏に関するウソをばらまき続けた。このウソの意図がどこにあるのか探っていくことが必要」と語った。裁判の第一回口頭弁論は4月21日の予定だ。

(渡部睦美・編集部、3月20日号)

外国特派員協会でバトル!?――「右翼」主張に反論続々

『朝日新聞』が戦時中の大日本帝国陸軍の悪行を強調したことで日本の名誉を損ない、国際社会における日本の評価を低下させたとして、同紙を訴えた「朝日新聞を糺す国民会議」の会見が2月23日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で行なわれ、「頑張れ日本! 全国行動委員会」幹事長の水島総氏と「史実を世界に発信する会」代表の加瀬英明氏は、外国人記者に対し「日本について無知で不勉強」などと糾弾。しかしイタリア人記者から個人的意見として「あなた方の主張には憤慨している。侮辱すべきではない」と反論されるなど、日本の右翼・歴史修正主義者たちの、海外メディアと国際社会に対する認識と対応が相変わらず見当外れであることを示した。

AFP通信社東京副支局長ヒュー・グリフィス氏は自身のツィートで「従軍慰安婦を否定する連中は全然分かっちゃいない。連中がおかしなことをするほど、日本の戦争犯罪の記事が書かれるのに」と述べている。グリフィス氏が言いたいのはこうだ。日本在住の外国人記者の多くは、日本の記事を書く際、何十年も前の歴史にはあまり興味がなく、政治や経済の現状に焦点を当てようとする。だが、日本の右翼・歴史修正主義者たちがこの問題を掘り起こし、国際世論を敵に回し続けるからこそ、外国人記者は戦時中の「従軍慰安婦」の悲劇について取り上げるのだ。

日本の右翼が、帝国陸軍が犯した残虐行為を否定することで日本に対する国際世論の改善に尽力しているという認識も誤っている。実際、世界の人々は彼らが思うよりも事情に通じている。「自分たちには何の罪もない」と主張する子どもっぽい人よりも、たとえ過去に過ちを犯しても自らの行ないを悔い、その経験を糧に成長した人のほうが広く尊敬を集めるのである。水島氏と加瀬氏は、自分たちこそ世界の道徳的常識を知らないことを露呈しただけだった。

(マイケル・ペン/ジャーナリスト、3月13日号)

警察がデモ参加者を不当逮捕か――公安へ市民が苦情書

天皇制の強化に反対している「2・11反『紀元節』行動実行委員会」は3月5日、東京都公安委員会に対し、先月11日に都内で行なわれた同「実行委員会」主催のデモに対し、氏名不詳の警察官が参加者を不当に逮捕したとして、苦情申立書を提出した。

申立書によると、「実行委員会」側は事前にデモを申請した原宿署に対し「参加者の写真やビデオ撮影を行なわないこと」を要請。だが同日は「赤いチョッキを着た公安警察官」が「デモの隊列にまで割り入って、参加者を押しやりながら堂々と撮影を続けた」という。

さらにこの「公安警察官」が、「参加者からの抗議に逆上し、参加者の一人の女性を突き飛ばして横転させ……転倒した女性が『公務執行妨害』を行なったと虚言に基づく指示を出し」たと指摘。その結果、女性が逮捕されたとしている。このため公安委員会に対し、警察側に「事実の調査」を行なわせ、謝罪させるとともに、今後こうした「事態が二度と発生しないよう」にと、強く求めている。

また5日には、同「実行委員会」のメンバーが原宿署前で「逮捕はデモの自由に対する弾圧だ」と抗議。メンバーのうち二人が署内で警備課長と苦情受付係の職員に対し、2月11日の逮捕事件に関連して、今後は「参加者の監視行動や、デモ時、デモ参加者の写真やビデオ撮影を行なわないこと」などの4点を求めた要請書を提出した。

これに対し署側は「申し出の趣旨は対応します」とのみ回答し、2月11日の逮捕事件については何も触れなかった。

ここ数年、都内で行なわれる「反天皇制」や「反靖国」のデモに対し、“右翼”による参加者への襲撃や宣伝カーの破壊等の暴力行為が続出している。野放し状態の警察には批判が出ているが、一方でデモ参加者を監視・撮影する警備のあり方も論議を呼びそうだ。

(成澤宗男・編集部、3月13日号)

政府の「残業代ゼロ」法案に反対する院内集会――「女性活躍どころではない」

集会で「高度プロフェッショナル制度」の不備を指摘する竹信三恵子さん。(撮影/村上朝子)

集会で「高度プロフェッショナル制度」の不備を指摘する竹信三恵子さん。(撮影/村上朝子)

政府が今国会に提出予定の「残業代ゼロ」法案に反対する集会が3月9日に東京都内で開かれ、会場では「子育て支援に逆行し、女性活躍どころではない」「一日8時間労働制度が崩壊し、過労死が増加する」と懸念の声が上がった。

衆議院第一議員会館で開かれた「子育て・女性活躍から残業代ゼロ法案を考える」集会には約150人が参加。労働基準法改正案の危険性を生活者の立場から捉え直そうと、労働政策の専門家や弁護士、子育てや過労死の問題に取り組む人たちが登壇した。

同法案には「高度プロフェッショナル制度」が盛り込まれている。高度専門職・高収入の人々を対象に、労基法で定められている労働時間の上限規制をなくし、長時間労働でも残業代を“ゼロ”にできるというものだ。

竹信三恵子・和光大学教授は、高収入で高度な専門職の人だけに関係すると思われているが、収入の線引きや専門性の内容は、法案が通ったあと省令で決まる。幅広い生活者層に影響を及ぼす可能性があると指摘し「子育てにとって、一日8時間という規制はとても重要です。成果をあげるまで帰さないと言われたら子どもはどうやって生活するのか」と疑問を呈した。

父親支援を通して社会変革を目指すNPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さんは、女性活躍を掲げるのなら父親が育児できるよう長時間労働を規制する方向に進むべき、と述べた。

また、過労による自死で1999年に小児科医の夫を失くした「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子さんは、「高収入の人なら過労死してもいいのか。残業代も支払われず、働いても、働いても、成果をあげることを求められる。この働き方は夫の働き方だ」と訴えた。

その危険性を身近な問題として捉え、多くの人が反対の声を上げることが大切だろう。

(村上朝子・ライター、3月13日号)

大手新聞やテレビキー局の上層部「メシ友」の実態――安倍内閣を支えるメディア

「首相動静」から浮かぶ各種メディアと安倍首相との「交遊」記録。(資料作成/本間龍、撮影/編集部)

「首相動静」から浮かぶ各種メディアと安倍首相との「交遊」記録。(資料作成/本間龍、撮影/編集部)

「昔ならとっくに内閣が吹っ飛んでいる」と言われるほど不祥事が続くが安倍晋三内閣は倒れない。昨年からすでに3人の大臣が辞任し、閣僚らも「補助金迂回献金」とも言える金を任意の企業・団体から受けている。

本来ならば役職の任命責任を問われて内閣総辞職に至ってもおかしくはない話だ。だが安倍首相は危機に陥るどころか、2月19日の衆院予算委員会では質問中の玉木雄一郎衆院議員(民主)に対して本筋と関係のないヤジを執拗に飛ばし、身内の大島理森委員長に注意されるありさまだった。このように“やりたい放題”でも安泰なのはなぜか。要因の一つに挙げられるのが、大手メディア(特に新聞社とテレビ局)の追及の甘さだ。

山本太郎参院議員は昨年12月24日、「安倍首相の『会食』に関する質問主意書」を政府へ提出した。この文書で山本議員は〈安倍首相は第二次安倍内閣発足以降、全国紙やテレビキー局といった報道各社の社長等の経営幹部や解説委員、論説委員あるいは政治関連担当記者らとの「会食」を頻回に行っている〉とした上で、〈政権のトップとメディア関係者の親密な関係、政治家とメディアの癒着が、報道の中立公正公平、不偏不党の観点から批判の対象となる〉などと指摘した。

2013年1月から15年1月にかけて、安倍首相とメディア上層部らとの会食は実に60回を超える。新聞各社に掲載される日々の「首相動静」を丹念に拾うと浮かび上がる事実だ。

新聞社やテレビ局には「総理番」記者がいる。安倍首相は実質的に日本の“最高権力者”だから、言動は逐一チェックされる。しかし、その記者の上司らは首相の元へ頻繁に通い、酒食を共にしているのである。各社は「情報収集のため」などと説明するが、首相の意見を知るだけなら番記者の取材で十分だし、高級料亭で飲み食いする必要はない。「本音を聞き出すには酒も必要」といった主張も欧米メディアからはバカにされている。

そもそも上層部と首相が「メシ友」の状態で、容赦なき批判ができるのかどうかも疑わしい。

【「首相動静」が示す事実】

安倍首相との会食がもっとも多いのは(株)読売新聞グループ本社の渡邉恒雄会長・主筆で、確認できただけで15回におよぶ。首相のご意見番気取りだろうか。次は(株)フジテレビジョンの日枝久会長で9回、大半はゴルフだ。

『朝日新聞』『毎日新聞』『産経新聞』は歩調を合わせたかのように各6回で、全国のローカル紙にニュース配信する「共同通信」は4回、「時事通信」は8回となっている。『日本経済新聞』は2回で、『東京新聞』は1回だ。「動静」にはこの他、社名記載のない懇親会も複数回、記録されている。

こうしてみると、やはり回数が多いメディアは政権追及が甘いという関係性が見えてくる。

『読売』は政権に無批判な「自民党広報紙」となっているし、『産経』も、フジサンケイグループとしてかねてより自民党寄りだ。深刻なのは、『読売』には全国で17社もの関連テレビ局・ラジオ局があり、それらも本社と同じ論調となり、政権批判をしないことだ。

『読売』と対峙することが多かった『朝日』も、昨年の日本軍「慰安婦」報道記事取り消しや、福島第一原発事故の「吉田調書」をめぐる記事取り消しなどの後から妙に弱腰だ。批判記事も扱いは小さく、インパクトに欠けることが多い。「補助金献金問題」に火をつけたのは『毎日』だが、現時点で政権を追いつめる勢いの追及はない。『東京』は質・量共に圧倒的な政権批判調の紙面作りだが、発行部数の関係もあり、孤軍奮闘の感がある。

先述した玉木氏へのヤジ問題では、安倍首相の非論理性や、批判されるとムキになる幼稚さが明らかになった。大手メディアは早急に権力者との「メシ友」をやめ、本来の責務である権力監視の姿勢を鮮明にしなければ、やがて、信頼は完全に失われるだろう。

(本間龍・著述家、3月13日号)

 

“金まみれ自民党”に対抗する野党共闘の動き――「企業・団体献金の全面禁止を」

浅野目義英埼玉県議(写真左・民主)の国政報告会に駆けつけた上田清司知事。(撮影/横田一)

浅野目義英埼玉県議(写真左・民主)の国政報告会に駆けつけた上田清司知事。(撮影/横田一)

国の補助金を受けた企業からの政治献金問題は、発端となった西川公也農林水産大臣の辞任で収束するどころか、上川陽子法務大臣や望月義夫環境大臣にも飛び火し、3月3日には安倍晋三首相のケースも発覚した。民主党の後藤祐一衆院議員が予算委員会で指摘した通り「金まみれ内閣」と呼ぶのがぴったりだが、安倍首相は反省するどころか、「少し言葉には気をつけた方がいい。とんでもない決めつけだ」と“逆ギレ”で、自身への疑惑も「補助金を受けていることを知らなかったので違法性はない」と開き直った。企業・団体献金の違法性に対する認識が欠如しているのではないか。

6日の衆院予算委員会で塩川鉄也衆院議員(共産)は、前回の参院選前に大手ゼネコンでつくる「日本建設業連合会」に自民党が4億7100円の献金要請した文書を示した上で「企業が政治に金を出せば“投資”に見合う“見返り”を政治に要求することは避けられない。だから企業献金は本質的にワイロ性をもつ」と追及した。

端的に言えばギブ・アンド・テイクの関係だ。自民党は建設業界から政治献金を受け取り、公共事業をばら撒く土建政治を得意としてきた。そして安倍政権もこの“金権腐敗政治”を継承した。実際、自民党の献金要請を受け大林組や大成建設、清水建設や鹿島建設はいずれも1200万円を献金しており、安倍政権はその恩返しのように、入札不調が相次いでも「国土強靱化」の旗を降ろさず、高速道路や防潮堤など“大型公共事業バラマキ”を続けている。同党の政治体質を追及してきた立花隆氏も『田中角栄研究 全記録』(講談社)で「企業は営利を目的とする以上、見返りのない献金は絶対にしない。その意味で、政治献金はすべて汚職まがいか恐喝まがいのものであるといってよい」と指摘している。

また、租税特別措置では適用企業が補助金と同じ恩恵を受ける。法人税などを減免されるが、こちらは企業名の公表さえ義務づけられていない。

【“埼玉方式”の連鎖なるか】

この情勢下、野党は結束して攻勢を強めようとしている。民主党と維新の党は6日、幹事長・国会対策委員長会談を開催し、政治資金規正法改正を目指す協議会を設けることを決め、企業・団体献金禁止に賛成の共産党や社民党にも呼びかけることになった。

枝野幸男幹事長(民主)は「違反企業への罰則強化などから規制強化をした上で、企業・団体献金の全面禁止を目指す」との二段階の改正案を提示。これに対し、すでに禁止を掲げている維新の党は「一気に全面禁止すべき」との考えを示した。協議会で改正プロセスを詰めると見られるが、全面禁止の目標(方向性)は共通する。

地方でも野党共闘で自民党に対抗する動きがある。埼玉県の浦和市内で7日、浅野目義英・埼玉県議(民主)の国政報告会に上田清司知事が駆け付け、実質的な支持表明をした。浅野目県議は1カ月50万円の政務調査費の情報公開(領収書公開)をいち早く実践した改革派県議だ。県政ウォッチャーはこう話す。

「これまで上田知事は県議会第一党の自民党と友好的な関係でしたが、議会改革や行財政改革に消極的で横暴な自民党県議団に堪忍袋の緒を切らし、非自民県議を増やすと決別宣言をしたのです」

2月13日、政治団体「プロジェクト・せんたく」(代表は「刷新の会」鈴木正人県議)の結成会見が開かれた。議会改革や脱原発などの「せんたく」の政策に賛同する県議選候補者を上田知事が応援し、非自民勢力を増やすのが狙いだ。上田知事が浅野目県議を支持表明したのはこの一環と言える。

この“埼玉方式”が連鎖し、中央と地方で野党共闘が次々と成立する可能性もある。「政務調査費の情報公開」は維新の会が訴える重要政策で、「脱原発」も安倍政権との対決姿勢を明確化する“旗印”になる。統一地方選で自民党に激震が走るのかが注目される。

(横田一・ジャーナリスト、3月13日号)

原発事故を機に問い直す――40周年の入浜権宣言

「古来、海は万民のものであり、海浜に出て散策し、景観を楽しみ、魚を釣り、泳ぎ、あるいは汐を汲み、流木を集め、貝を掘り、のりを摘むなど生活の糧を得ることは、地域住民の保有する法以前の権利であった……」

高度経済成長期終盤の1975年2月、海の埋め立て公害に反対する住民らが東京に集まって「入浜権宣言」を採択した。それから40年が経過した今年2月21日と22日、その意義を問い直そうと入浜権運動の発祥地である兵庫県高砂市で記念集会が開かれた。

同市の海岸は謡曲「高砂」に謡われ、白砂青松の地として知られた。だが60年代に海を埋め立てて工場群が進出し、コンクリート護岸で覆われた海岸線は住民が立ち入れなくなった。73年、PCB(ポリ塩化ビフェニル)や水銀の海域汚染に公害告発運動が起き、企業が海浜を占拠することへの疑問から、入浜権の思想が生まれた。

ただ、入浜権運動は公害反対運動の下火とともに休止状態になり、2010年には市総合計画基本構想からも入浜権の記述が消えた。宣言文の起草者で入浜権運動推進全国連絡会議代表を務めた高崎裕士さん(84歳)は運動継承の必要性を感じ、今回の集会を企画した。

集会では「宗教と環境」をテーマに早川和男・神戸大学名誉教授、岡田真美子・元兵庫県立大学教授(ビデオ参加)と高崎さんによるトークがあり、海浜はレクリエーションだけでなく、民俗行事や神事の場として住民の精神生活とかかわりが深く、信仰に由来する諸行事の発掘が入浜権の主張を補強したことなどが指摘された。また、辺野古新基地(沖縄県)の埋め立て土砂が瀬戸内から搬出される計画の報告もあり、最後は「福島第一原発の事故以来、環境問題は経済などのあらゆる局面を超えて第一に考えねばならない」との声明が採択された。

(平野次郎・フリーライター、3月6日号)

加害と被害の事実は東京地裁が認定――重慶大爆撃裁判で原告敗訴

請求棄却に憤る栗遠奎原告団長(右から二人目)ら。2月25日、東京地裁前。(撮影/鈴木賢士)

請求棄却に憤る栗遠奎原告団長(右から二人目)ら。2月25日、東京地裁前。(撮影/鈴木賢士)

日中戦争のさなか日本軍が中国の臨時首都重慶に対して5年半にわたり空から無差別爆撃を行なった重慶大爆撃――。その時の被害者・遺族188人が日本政府に謝罪と一人1000万円の損害賠償を求めた重慶大爆撃裁判の判決が、2月25日に東京地裁であり、村田斉志裁判長(河合芳光裁判長が代読)は原告の請求を棄却した。

河合裁判長は「主文、原告らの請求はいずれも棄却。裁判費用は原告負担とする」と読み上げた。言い終えるや3人の裁判官は法衣をひるがえし法廷を後にしたが、その間わずか30秒ほど。満席の傍聴席には30人以上の中国人の姿が見られたが、日本語がわからない人たちの間でざわめきが起こった。国際化の時代に、原告が中国人の民事裁判で、裁判官の発言が日本語だけで済まされていいのかなどの疑問の声も上がった。

ただ、判決書には注目すべき内容が含まれている。判決書では80ページ以上にわたり、200回におよんだ重慶大爆撃の加害の事実と、それによって原告一人ひとりに重大な被害を与えた事実について、「当裁判所の判断」として事細かに記述されているのだ。裁判の弁護団事務局を担当した一瀬法律事務所によれば、「判決書にこれほど長文で具体的な事実確認をした例は、極めてまれ」だという。市街地=非軍事施設への爆撃を国際法違反と認定したことも重要だ。

だが個人への請求権は認めず、1947年に国家賠償法が施行される以前の行為に関し国は賠償責任を負わないとする「国家無答責」などの法理論で、請求は退けた。

ほかの原告・支援者らと来日した栗遠奎原告団長は「188人の原告と10万人の被害者を代表して、不当判決に抗議する。控訴します。日本政府が謝罪するまでたたかいます」と話した。原告団の意向を踏まえて弁護団は、東京高裁に控訴の手続きを開始した。

(鈴木賢士・フォトジャーナリスト、3月6日号)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橋下大阪市長の入れ墨調査――大阪地裁で二度目の違法判決

大阪地方裁判所の中垣内建治裁判長は2月16日、大阪市が市職員に対して実施した入れ墨調査のアンケートは、市の個人情報保護条例に違反するとして、アンケートを拒否し戒告処分に処せられた市立十三市民病院の看護師、森厚子さん(58歳)への処分取り消しを命じ、市の違法性を認めた。入れ墨調査を巡る訴訟では、昨年12月の市交通局の男性に続く二度目の違法判決となる。原告の森さんは裁判所の玄関前で「今度も勝訴」と書かれた幕を掲げた。

「これは私だけの勝利ではありません。私を含めアンケートを拒否した6人、職場でものも言えず押さえつけられているすべての職員、そして橋下市政にノーと言う市民全体の勝利だと思っています」

森さんは、2年を超す闘いを経て、同じ気持ちで闘っているのは自分一人ではないと実感したという。入れ墨調査のアンケートへ回答を拒否した職員6人は、それぞれが加盟する労組や支援団体が違うため別々に闘っていたが、この2年で6人の共闘が進んだことは森さんの励みになった。さらに心強かったのは、他県から職場宛てに届いた励ましの手紙であったという。森さんはこう続ける。

「手紙には、私へのエールの他に、どうして大阪市民は皆、橋下市長が好きなのかと書いてあるのです。そんなことはない。だから私一人でも闘って、その闘う姿を見せることは大切だと思いました」

本件について大阪市は控訴の構えであり、森さんは「長い闘いを覚悟している」と語る。控訴審はもちろんのこと、職場での不利益扱いも予想される。現に人事考課では、突然の最低評価を受けた。アンケートへの回答拒否が反映されたのだ。職員を“報復人事”で縛る息苦しい体制で結局困るのは、サービスを受ける市民である。橋下市長は連敗を重く受け止め、市長の座から退くべきであろう。

(真野きみえ・ライター、3月6日号)